小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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神殿の最深部の内部に侵入した俺とリインフォース、オーフィス。侵入した際に俺たちの視界にはグレモリー

眷属、ディオドラ、壁に埋め込まれた巨大な円形の装置で、あちこちに宝玉が埋め込まれ、怪しげな文様と

文字が刻まれ装置の中央にアルジェントが張り付けられていた。そして成神がディオドラと戦っている最中

だった


ドゴォォオオオオオオオオオオオオオオンッ!


あいつが勢いよく拳を床に叩きつけた。神殿そのものが大きく揺れた。ディオドラが床にできた巨大な

クレーターを見て、目元をひくつかせていた。ガチガチと歯を鳴らし、震え上がった。成神の奴はわざと

外して精神的に攻撃をしたのか?


成神 「二度と、アーシアに近づくなッ!次に俺たちの許に姿を現したら、そのときこそ、本当に消し

    飛ばしてやるッ!」


ディオドラを睨みつけ、全身から赤いオーラを激しく発しながら脅しの言葉を言った


一誠 「よぉ、終わったみたいだな」


朱乃 「貴方・・・・・」


リアス 「何しに来たの?」


声を掛けグレモリー先輩たちに近づく。グレモリー先輩は俺たちの存在に気づき、怪訝な顔に成った


一誠 「見学だ。それとゼノヴィア、そいつを殺そうとするな。一応そいつは現魔王の血筋だ。いくら

  『禍の団』に加担したからって下級悪魔が殺したらサーゼクスとグレモリー先輩に迷惑を掛けるぞ」


グレモリー先輩も俺の言葉に眉を顰め、瞑目していた。ディオドラはサーゼクスたち、上の奴らに任せた

ほうが無難だ。


「・・・・・わかったよ。恩人であるキミがそう言うなら私は止める。―――だが」


成神 「ああ、そうだ」


ゼノヴィアと成神は剣と拳、それぞれをディオドラに向けた。


『もう、アーシアに言い寄るなッ!』


あいつらの迫力ある声音にディオドラは瞳を恐怖で潤ませながら何度も頷いた。そしてディオドラから離れ、

グレモリー先輩たちもアルジェントのほうへ足を向ける。成神はアルジェントといくつか応答したあと、

装置に手を掛けアルジェントを装置から解放しようとグレモリー眷属全員が手さぐりに作業をし始めた。

―――だが、外れる様子が全く感じなかった


木場 「・・・・・手足の枷が外れない」


成神 「クソ!外れねえ!」


赤龍帝の力でも外れないようだ。俺はディオドラに近寄り「アレは何なんだ?」と尋ねてみるとディオドラは

成神たちに向かって言葉少なくつぶやいた


「・・・・・無駄だよ。その装置は機能上。一度しか使えないが、逆に一度使わないと停止できない様に

なっているんだ。―――アーシアの能力が発動しない限り停止できない」


成神 「どういうことだ?」


ディオドラは淡々と答えた。


「その装置は神滅具所有者が作り出した固有結界の一つ。このフィールドを強固に包む結界もその者が作り出

しているんだ。『絶霧』、結界系最強の神器。所有者を中心に無限に展開する霧。その中に入った全ての物体

を封じることも、異次元に送る事すらできる。それが禁手に至った時、所有者の好きな結界装置を霧から作り

出せる能力に変化した。―――『霧の中の理想郷』、創りだした結界は一度正式に発動しないと止める事は

できない」


それを聞いて木場は問いただす


「・・・・・発動条件は僕か、他の関係者の起動合図、若しくは僕が倒されたら。結界の能力者は―――鎖に

繋いだ者、つまりアーシアの神器能力を増幅させて反転すること」


一誠 「おい、こいつの神器の能力が反転したらどうなるんだ?それと効果範囲は?」


「アーシアの神器の能力は回復、つまり反転すればダメージを与える能力になる効果範囲は・・・・・

このフィールドと、観戦室にいる者たちだよ」


―――っ!


グレモリー眷属は全員、ディオドラの答えに驚愕した。それにしてもコレが神滅具の能力によって作られた

ものか・・・・・。俺は装置に触り、眺めたその時だった


ギュゥゥウウウウウン。


一誠 「あ、装置が動いた」


『―――っ!?』


はあ、しょうがない。嘆息しながら手を一瞬の閃光に放ち『幻想殺しの籠手』を嵌めアルジェントの枷と

巨大な装置に触れた―――刹那、


バギンッ!ドオオオンッ!


金属音が儚く壊れる音と巨大な装置が大きな音を立てて崩壊した。これで装置は二度と動かない


アーシア 「イッセーさん!」


成神 「アーシア!」


アルジェントが成神に抱きついていった


アーシア 「信じてました・・・・・。イッセーさんが来てくれるって」


成神 「当然だろう。でも、ゴメンな。辛いこと、聞いてしまったんだろう?」


首を横に振り、アルジェントは笑顔で言った


アーシア 「平気です。あのときはショックでしたが、私にはイッセーさんがいますから」


「アーシア!良かった!私はお前がいなくなってしまったら・・・・・」


ゼノヴィアが目元を潤ませてアルジェントに言うとゼノヴィアの涙をぬぐいながらアルジェントは微笑んだ


アーシア 「どこにも行きません。イッセーさんとゼノヴィアさんが私の事を守ってくれますから」


「うん!私はお前を守るぞ!絶対だ!」


抱き合う眷属同士、・・・・・てか、俺に礼は言ってくれないの?


小猫 「・・・・・先輩、ありがとうございます」


一誠 「うん、お前は良い子だ。今度、お前に俺特製の弁等を作って持って来てやる」


唯一、お礼を言ってくれた小猫の頭を撫でながら言うと嬉しそうに耳をピコピコ、尻尾をフリフリと振った。


オーフィス 「・・・・・ん」


俺に頭を撫でられている小猫を見て不機嫌な表情になったオーフィスは頭をこっちに向けた。まるで

「撫でて」と訴えているかのように


一誠 「ははっ、ほら」


オーフィス 「ん♪」


その行為に苦笑しながらもオーフィスにも頭を撫でると嬉しそうな表情になった。するとそこに

「兵藤くん」と俺の名前を呼びながら近寄って来た


リアス 「アーシアを助けてくれてありがとう。心から感謝するわ」


感謝の言葉を俺に送った。でも、それ以上に言いたいことが山ほどある。俺はそれを言う


一誠 「グレモリー先輩、俺の警告を無視したこうなったんだ。なあ、俺は言ったよな?『アルジェントを

    次のゲームに出すな』と、どうして三度も警告を言ったのにアルジェントを出した?信用していな

    かったのか?」


リアス 「・・・・・イッセーとアーシアに必死にお願いされたの。それに私たちがアーシアを守れば

     大丈夫だと―――」


パンッ!


一誠 「『私たちがアーシアを守れば大丈夫』だ?なっていないからこうなったんだろうが。それにアル

   ジェントを最終的に助けたのは、成神でもないグレモリー先輩でもない。俺たちだ。ディオドラの眷属

   を倒したのは俺の家族であるヴォルケンリッターだ。グレモリー先輩たちはディオドラの眷属と戦う

   こともなくディオドラまで辿りつけた。俺は枷と装置を破壊してアルジェントを解放して各トップ陣の

   危機を救った。唯一したことと言えば成神がディオドラを倒したことぐらいだ」


ビンタをしてグレモリー先輩に冷たく淡々と言った


一誠 「ハッキリ言ってやる。グレモリー先輩、お前は弱いと同時に情愛が深すぎて甘過ぎる。

   そんなんじゃあ、ゲームを勝利するなんて夢のまた夢だ。時には厳しくするのも大事だ。覚えておけ」


リアス 「・・・・・っ」


紅髪の髪で顔が隠れて表情が解らないが歯をギリッと噛みしめた様子を窺えた


成神 「お前ッ!部長に何てことをするんだ!」


一誠 「聞きわけのできない悪魔に説教をしているだけだ」


成神 「この野郎ぉぉぉぉぉ!」


怒りに任せて猪突猛進如く真っ直ぐ背中の噴出口を瞬時に噴かして凄い速さでこっちに向かってきた。

―――だが


一誠 「遅い」


成神 「か、身体が!?」


俺は目を煌かせると成神は停止した。ギャスパーの神器『停止世界の邪眼』によってあいつの動きは停まった


一誠 「此処をこうして、足をこうやって・・・・・」


成神 「〜〜〜っ!」


停まった成神に近づき手足を停めたまま動かす。うん、等身大のハニワの完成だ。


オーフィス 「・・・・・」


一誠 「どうした?」


俺の隣に来たと思えば成神に近づき足の鎧部分を何故か壊した。しかもオーフィスは靴を脱がし靴下も脱がし

たと思えば


オーフィス 「コチョコチョ」


足の裏を擽り始めた。其れに寄り動きを停めたままの成神は抵抗もできず悶え、笑い続けるしか

出来なかった。一体あんなことを誰が教えたんだ?暫くするとオーフィスは飽きたのか擽るのを止めた。俺も

停止を止めて成神を解放すると肩で呼吸する


一誠 「オーフィス、誰から教えてもらったんだ?」


オーフィス 「クアットロ」


・・・・・納得した


成神 「こ、この野郎・・・・・」


一誠 「どうした?そんなに疲れて」


成神 「目の前で見ていたんだから解るだろうがぁ!」


はいはい、そんな大声で出すなよ。面倒くさいな・・・・・ん?


カッ!


突如、俺たちをまばゆい何かが襲う。視線を送るとアルジェントが―――光に包まれていた。その光の柱が

消え去ったとき、そこには―――。


成神 「・・・・・アーシア?」


アルジェントの姿がいなかった


「神滅具で創られしもの、未知なる攻撃で散る、か。これは計画の再構築が必要だ」


聞き覚えのない声だ。声のした方へ視線を送ると、そこには見知らぬ男が宙に浮いていた。軽鎧を身につけ、

マントも羽織っていた。グレモリー先輩がその男に訊く


リアス 「・・・・・誰?」


「お初にお目にかかる、忌々しき偽りの魔王の妹よ。私の名はシャルバ・ベルゼブブ。偉大なる真の魔王ベル

ゼブブの血を引く、正統なる後継者だ。先ほどの偽りの血族とは違う。ディオドラ・アスタロト、この私が

力を貸したと言うのにこのザマとは。先日のアガレスとの試合でも無断でオーフィスの蛇を使い、計画を敵に

予見させた。貴公は余りに愚行が過ぎる」


シャルバ・ベルゼブブ!まさか、こうも直ぐに会えるとは今日は運が良いな。それともドラゴンの力に寄せら

れて現れたか?俺の視界にディオドラがシャルバ・ベルゼブブに懇願するような顔に成った


「シャルバ!助けておくれ!キミと一緒なら、赤龍帝を殺せる!旧魔王と―――」


とディオドラが言っている最中にシャルバは腕に取りつけられた見慣れない機器を突き出した。俺は瞬時で

ディオドラの前に立ち『幻想殺しの籠手』を前に突き出したと同時に


ビッ!


シャルバが手から放射した光の一撃が俺に貫こうとしたが『幻想殺しの籠手』により無効化された


「どうやら、その籠手は無効化する能力を持っているようだな・・・・・。効果範囲は極端に狭いようだが」


顎に手をやり『幻想殺しの籠手』の分析をした。こいつ、その為にディオドラを狙ってやったのか?


「さて、サーゼクスの妹君。いきなりだが、貴公は死んでいただく。理由は当然。現魔王の血筋を全て

滅ぼすため」


シャルバは冷淡な声だ。瞳も憎悪に染まっている。よっぽど現魔王に恨みがあるんだろう。主張と家柄、

そして魔王の座を取り上げられ、冥界の端に追いやられた事を根深く恨んでいるんだろうな。


リアス 「グラシャボラス、アスタロト、シトリー、そして私たちグレモリーを殺すと言うのね」


グレモリー先輩の問いかけにシャルバは目を細める


「その通りだ。不愉快極まりないのでね。私たち真の血族が、貴公ら現魔王の血族に『旧』などと言われるの

が耐えられないのだよ」


シャルバは嘆息した。


「今回の作戦はこれで終了。私たちの負けだ。まさか、未知なるものが上位クラスのディメンション・ロスト

に勝つとは。想定外としか言えない。まあ、今回は今後のテロの実験ケースとして有意義な成果が得られたと

納得しよう。クルゼレイが其処にいる兵藤誠殿と兵藤一香殿の子供、兵藤一誠に何を吹き込まれたのかしらな

いが裏切り行為をした。だが問題ない。―――私がいればヴァーリがいなくとも十分に我々は動ける。真のベ

ルゼブブは偉大なのだから。さて、去り際のついでだ。―――サーゼクスの妹よ、死んでくれたまえ」


リアス 「直接現魔王に決闘も申し込まずにその血族から殺すなんて卑劣だわ!」


「それでいい。まずは現魔王の家族から殺す。絶望を与えなければ意味がない」


「―――外道っ!何よりもアーシアを殺した罪!絶対に許さないわッ!」


いや、殺したのか?何処かに転移されたような感じだったけど・・・・・?


成神 「アーシア?アーシア?」


あいつがふらふらと歩きながらアルジェントを呼ぶ。―――だから言ったんだ。アルジェントを連れてくる

なと、ある意味、お前等は自業自得だ


成神 「アーシア?何処に行ったんだよ?ほら、帰るぞ?家に帰るんだ。父さんも母さんも待っている。

   か、隠れていたら、帰れないじゃないか。ハハハ、アーシアはお茶目さんだなぁ」


アルジェントを探す様に見渡しながら、おぼつかない足取りで


成神 「アーシア?帰ろう。もう、誰もアーシアをいじめる奴はいないんだ。いたって、俺がぶん殴るさ!

    ほら、帰ろう。アーシア、体育祭で一緒に二人三脚するんだから・・・・・」


・・・・・あの状態は不味いな。俺は目を細め心の中で呟く


成神 「部長、アーシアがいないんです。やっと帰れるのに。先生が言っていた神殿の地下に隠れなきゃ。

    でもアーシアがいないと・・・・・。・・・・・と、父さんと母さんがアーシアを娘だって。

    アーシアも俺の父さんとお母さんを本当の親のようにって・・・・・。俺の、俺たちの大切な家族

    なんですよ・・・・・」


虚ろな表情で成神は呟き、グレモリー先輩はあいつの頬を何度も撫でてあげていた。


「・・・・・許さない。許さないッ!斬るっ!斬り殺してやるっ!」


一誠 「待てっ!ゼノヴィア!今のお前の状態と実力じゃあシャルバには勝てない!」


「放せ!私はあいつを殺す!斬り殺さないと気が済まないんだ!」


叫びながらゼノヴィアが二振りの聖剣でシャルバに斬りかかろうとしたところ背後から羽交い締めして

阻止する。それでも尚も暴れるからリインフォースに頼んで捕縛魔法をして貰う


「アーシアを返せ!私の友達なんだっ!優しい友達なんだ!誰よりも優しかったんだ・・・・・ッ!

どうして・・・・・ッ!」


シャルバは成神に向かって言った


「下劣なる転生悪魔と汚物同然のドラゴン。まったくもって、グレモリーの姫君は趣味が悪い。そこの赤い

汚物。あの娘は次元の彼方に消えていった。既にその身も消失しているだろう。

―――死んだ、とういうことだ」


次元の彼方・・・・・?という事は次元の狭間に転移されたのか


『リアス・グレモリー、いますぐこの場を離れろ。死にたくなければすぐに退去した方がいい』


オーフィス 「ドライグの声」


そうか、でも退去?どう言うことだ?グレモリー先輩と木場も俺同様に怪訝な表情をしていた。ドライグの

声はシャルバへと向けられる。


『そこの悪魔よ。シャルバといったか?』


成神がグレモリー先輩を振り払い、立ち上がる。


『―――お前は』


死人のようなおぼつかない足取りで、成神はシャルバの方へ向かっていく。そして、シャルバの真下に来た

とき、ドライグの声音は成神の口元から発せられた。それは無感情の人声だった。


『選択を間違えた』


ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッ!


神殿が大きく揺れ、成神が血の様に赤いオーラを発していく!そのオーラは次第に高まり、大きくなって

行って、神殿内全域を赤い輝きで照らして始めていた。肌に伝わるこのオーラの質で理解できる!・・・・・

危険だッ!成神の口から、呪詛の如き、呪文が発せられる。その声はイッセーくんのものだけじゃない。老若

男女、複数入り混じった不気味なものだった!


『我、目覚めるは―――』


<始まったよ> <始まってしまうね>


『覇の理を神より奪いし二天龍なり―――』


<いつだって、そうでした> <そうじゃな、いつだってそうだった>


『無限を嗤い、夢幻を憂う―――』


<世界が求めるのは―――> <世界が否定するのは―――>


『我、赤き龍の覇王と成りて―――』


<いつだって、力でした> <いつだって、愛だった>


(何度でもおまえたちは滅びを選択するのだなっ!)


成神の鎧が変質していく―――。更に鋭角なフォルムが増していき、巨大な翼まで生えていった。両手両足

から爪の様なものが伸び、兜からは角の様なものが幾つも形作られていく。


―――その姿はドラゴンそのものだった。そして、全身の宝玉各部から、絶叫に近い声が老若男女入り乱れて

発される!


「「「「「「「「「「汝を紅蓮の煉獄に沈めよう―――」」」」」」」」」」


『Juggernaut Drive!!!!!!!!!』


ゴオオオオオオオオオッ・・・・・。


成神の周囲が弾け飛ぶ!床が、壁が、柱が、天井が、その全てが破壊されていく!成神の鎧が放つ、血の様に

赤いオーラによって!


「ぐぎゅあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

ああああああっ!アーシアァァァァッァァァァッァァァァァァァッッ!」



―――――――――――――――――――――――――――――――



木場side



獣の叫びにも似た声をイッセーくんが発した。その場で四つん這いになり、翼を羽ばたかせる。


ビュッ!


空を切る音!速い!僕の目でも捉えきれなかった―――。


「ぬぅぅぅぅぅっ!」


シャルバの悲鳴が聞こえてくる。振り向けば、小型のドラゴンと化としたイッセーくんがシャルバに絡み

つき、肩に食らいついていた。兜に口の様なものが生まれ、その牙でかじりついたのだろう。



ブチブチブチ・・・・。(肉を引き千切る音。)


「おのれっ!」


右腕で光を作りだし、イッセーくんに放とうとするがーーー宝玉の一つから、紅い鱗に覆われた龍の手が

出現し、シャルバの右腕を止めた。更に宝玉のもう一つから刃が生まれ、その右腕を切断するっ!


ザンッ!


シャルバ 「ぐおっ!」


激痛に苦悶の表情を見せるシャルバ!鮮血が石造りの神殿の床に散っていく!


ブチンッ!


気味の悪い音を立てて、イッセーくんはシャルバの肩の肉を食いちぎって、床に降下していった。上手く両手

両足で着地すると、


「ぺッ」


シャルバの肩の肉を床に吐きだした。やっぱり不味いんだろうね・・・赤い鎧は鮮血と混ざり合い、不気味な

光沢を放っていた。


「ふざけるなっ!」


地に降り立ち、激高したシャルバが残った左腕で光の一撃を放つ!その帯状の一撃は極大と言える程の規模

だった。


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!』


それに対してイッセーくんは、手から巨大な魔力の波動を放ち光の一撃を相殺した。


ドォォォオオオオンッ!



「おのれ!だったら、これでどうだぁぁぁぁっ!」


吠えるシャルバが次に放ったのは光ではなく、大きな魔力の波動だった!大きい!絶大なオーラの波が

イッセーくんに襲いかかる!


バジイィィィィィッ!


それをイッセーくんは翼の羽ばたきだけで軌道をずらして弾いた。―――っ!あれほどの攻撃をたったあれだ

けの挙動で・・・・・なっ!僕はイッセーくんの変化に気付く。赤龍帝の兜に生まれた口が大きく開いた!

口内の奥にレーザーの発射口みたいなものを覗かせている。一瞬の閃光!マスクから生み出された赤い

レーザーが、直線に伸び、シャルバの左腕を吹き飛ばしていく!


「ぐあっ!」


レーザーの威力は留まる事を知らず、神殿の床、壁、天井に一直線の細い痕を残していった。刹那―――。


ドオオオオオオオンッ!


放たれた場所から爆発が起こった!爆煙が上がり、粉塵を周囲に散らしていく


「ぬああああああがあああああっ!」


イッセーくんが咆哮をあげ、全身に莫大なオーラを漂わせると床が大きく抉れて、巨大なクレーターが生まれ

ていった。オーラを漂わせただけで周囲がけし飛びそうになる!


「ば、化け物め!こ、これが『覇龍』だというのか!?冗談ではない!データ上の『赤龍帝の籠手』の

スペックを逸脱しているではないか!」


シャルバの顔がついに恐怖に包まれた。その瞳には怯えの色が強く、イッセーくんを恐怖の対象として捉えて

いる。僕もそう思う、アレは、怪物だ。もう、イッセーくんじゃない部長も朱乃さんもゼノヴィアも小猫

ちゃんもギャスパーくんも目を開き、全身を震わせてイッセーくんを恐れている。僕も全身の震えが止まらな

かった。イッセーくん―――赤龍帝は体勢を変えていく。両翼を大きく横に広げ、顔をシャルバに真っ直ぐと

向けた。

ガシャッ!


何かがスライドしていく音が聞こえた。見れば鎧の胸元と腹部が開き、何かの発射口が姿を現していた。静か

な鳴動の後、紅いオーラがその発射口に集まっていく。それは次第に大きくなり、寒気がするほどの圧縮され

たオーラがあの発射口にたまっている・・・・・っ!横に広がった両翼も赤く輝き、不気味な赤い光が辺り

一帯に広がって行く。


「くっ!私はこんな所で死ぬ訳にはいかぬのだっ!」


残った足で転移用魔方陣を描こうとするが―――その足が動きを止める


「っ!?と、停めたのか!私の足を!」


鎧の眼が赤く煌めいていた。あの眼は・・・・・ギャスパーくんの神器と同じ能力を発動したと言うのか!?

赤龍帝のスペックは一体どこまで隠されているというんだ!?


『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!!!!』


『Longinus Smasher!!!!!!!!!!(ロンギヌス スマッシャー)』


神殿内に幾重にも鳴り響く、赤龍帝の神器が発する音声。そして、チャージされた発射口から、膨大な量の

赤いオーラが照射されていく!まずい!このままでは僕たちも巻き込まれる!


木場 「部長、一時退却しましょう!この神殿から出るべきです!」


リアス 「イッセー・・・・・私は・・・・・」


部長はイッセーくんを求めようと歩み寄ろうとするが、僕はそれを制止する。


木場 「すみません!」


僕は部長を抱きかかえていく。朱乃さんも未だに捕縛されているゼノヴィアを抱え、小猫ちゃんとギャスパー

くんも僕の後に続いた!


「ば、馬鹿な・・・・・っ!真なる魔王の血筋である私が!まだヴァーリに一泡も噴かせていないのだぞ!?

こんな所で、この私が死ぬと言うのか!?おのれ!おのれっ!おのれぇっ!赤い龍めぇぇぇぇっ!!!」


ズバァアアアアアアアアアアアアンッ!


放射された赤い閃光にシャルバが包まれようとした―――刹那、地響きが神殿内に鳴ったと同時に弾かれた

ような快音が聞こえた。僕は足を止め背後に振り返ると


木場 「・・・・・え?」


一誠 「悪いな。コイツを殺させる訳にはいかないんだ」


凶暴で獰猛そうなドラゴンに変化した兵藤くんがいた!

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