小説『ハイスクールD×D改』
作者:ダーク・シリウス()

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『番外編』三大勢力との運動会(1)




俺は何時も通り和樹、龍牙、シーグヴァイラ姫、レイヴェルと共にソーナが生徒会の仕事を終わるまで教室で

待っていた。そんな時にアザゼルが俺たちの教室に入って来て開口一番に言った


「兵藤!式森に神城!体を動かしたくないか、体!良いイベントがあるんだけどよー」


「イベント・・・・・ですか?」


龍牙は不思議そうにする。実際この場にいるメンバー全員もそんな表情をする。俺もその一人だ


「ああ、運動会だ!運動会に出ないか?」


「運動会?運動会ならもう既に終わりましたよ?」


「そっちじゃない。それはこの学校のことだろう?俺が言っているのはうちの組織のイベントで運動会をやる

ことに成ってな。お前等をゲストとして呼びたいんだよ」


組織―――グリゴリか。それのイベントで運動会?で、俺たちがゲストって・・・・・。


一誠 「アザゼル、俺と和樹と龍牙だけをゲストとして呼ぶのか?」


「いんや、幽幻龍騎士団眷属の全メンバーもゲストとして呼びたいんだ」


「あの、私たちは?」


レイヴェルがシーグヴァイラ姫を一瞥してアザゼルに問うた。シーグヴァイラ姫も同じ意見なのかウンウンと

頷いた


「あー、お前等も直ぐに呼ばれると思うぞ?悪魔側としてな」


「悪魔側として・・・・・ですか?」


グリゴリのイベントに悪魔側も参加するのか・・・・・?堕天使と悪魔が運動会?天界の天使たちは参加

しないのかな?


「ああ、だから心配するな―――と、話が逸れたな。そう言う訳だからこの登録用紙にサインしてくれ

ないか?堕天使は悪魔と天使たちと違って数が少ない。お前たち幽幻龍騎士団の全メンバーが俺たち堕天使

側に入ってくれれば大助かりなんだよ」


懐から一枚の用紙と筆を俺に渡した。まあ、禍の団とは関係ないみたいだし協力するのもいいかもな―――。

などと、登録用紙に名前を書こうとした刹那だった


「むっ!アザゼル!言ったはずだ!兵藤くんはこちら側の者にすると!」


突然、紅髪の男が教室に入って来た!って、サーゼクス!?どうしてこんなところにいるんだ!?そう疑問を

浮かべていたらアザゼルがサーゼクスと立ち向かうように俺の前に立った


「お前んとこは赤龍帝のイッセーがいるからいいじゃねぇかよ!兵藤は俺たち側に呼んでも問題ない筈だ!」


「大有りだ!彼も悪魔側として参加させると何度も言ったはず!」


「悪魔は欲望に忠実だな!何でもかんでも欲張って手に入れるところはまさしく悪魔だ!」


「こそこそと兵藤くんとイッセーくんを自分側に引き込もうとする堕天使の総督には言われたくないね」


俺たちを余所に堕天使の総督と魔王が喧嘩し始めた。おいおい、こんなところで喧嘩するなよ・・・・・


トントン


俺の肩を叩く人物がいた。和樹か?俺は後ろに振り返り「何だ」と尋ねるが―――


「やあ、久しぶりですね」


にこやかにほほ笑みながら俺にこそこそと声を小さく話しかけるミカエルがいた!龍牙突然のミカエルの

出現に動揺しながらも訪ねた


「ミ、ミカエルさん?どうして此処に・・・・・?」


「ええ、兵藤くんと幽幻龍騎士団のメンバーを我々天使側にゲストとしてトあるイベントに参加して欲しく

訪ねてきたのですよ」


一誠 「それって運動会のことか?」


「おや?よくご存じで」と意外そうにする


一誠 「アザゼルから運動会をしないからさ」


「なるほど、危うく出遅れるところでしたか。では、これにサインを―――」


『させるかあああああああああ!』


光の槍と魔力弾がミカエルに襲う!ミカエルは優雅にそれらを避けた!


「漁夫の利をしようなんて天使長の名が泣くぞ!ミカエル!」


「あははは、イヤですねぇ。兵藤くんを放っておいて喧嘩をしだす人が悪いんですよ?」


微笑みを崩さずミカエルは言うとサーゼクスが息を吐いていた。


「・・・・・油断も隙もない男だ。だが、兵藤くんを我等悪魔側に参加させる」


「いんや、堕天使側にだ」


「二人とも、何を言っているのですか?兵藤くんは私たち天使側に参加させるのですよ」


ピシィッ!!!


教室の空気が凍った音が聞こえた!しかも三人から凄いプレッシャーを感じる!


「やろうってのか?」


「やりましょうか?」


「やるのかい?」


光の魔力、光の槍、グレモリー先輩と同じ消滅の魔力を手の平に出して臨戦態勢に入った!此処で三大勢力の

トップが戦うって言うのかよ!三大勢力が和平を結んだこの場所で!?


ガンッ!


『―――っ!?』


突如、大きな金属のたらいが三人のトップの頭を纏めて鈍い音を立てて落ちた!うわ、痛そう・・・・・。

そしてそんなことをしたのは


「三人とも、いい加減にしてくださいよ」


世界一の魔術師、式森和樹。その人だった。しかも少し怒っているようだ


「三大勢力のトップたちが和平を結んだこの場所で戦闘なんて起こしたら和平の意味が無くなるじゃない

ですか。それに僕たちの気持ちを聞かずに自分たちの気持だけ押し付けて何様ですか?あっ、魔王と天使長と

総督でしたね。失礼しました。大体、トップの貴方たちが容易く下界に来ては良い筈がない」


「いや、俺は元々此処にいるんだけど?」


「私は仕事をOFFにしてきたのだが・・・・・」


「そうなんでしょうが、僕たちに迷惑をかけないでください。無能なトップに成りたくないでしょう?全く、

一誠の争奪戦はするのは構いませんけど今の貴方たちの立場を考えてください。よりによってこの場所で戦闘

なんて・・・・・ふざけているんですか?馬鹿なんですか?」


「・・・・・」


和樹の説教時間が始まった!和樹の説教が始まると俺が止めるまで何時間も続くんだよなぁ・・・・・


「ミカエルさん、貴方は天使のくせに悪魔みたいな行動して恥ずかしくないんですか?天使なら堂々と誘う

べきでしょうが。サーゼクスさん、貴方は既に赤龍帝である成神がいるから別に僕たちを誘わなくても十分

強いんだからいいじゃないですか。あまり欲張りするとグレイフィアさんが怒ると思いますよ?アザゼル先生

は―――」


「・・・・・」


「まあ、特に無いんで何も言いません」


ガタタタッ!


「無いのかよ!?いや、それはそれでいいんだけどさ!」


何て言われるのか緊張していたのか和樹の言葉に思わず滑ってしまった総督だった


「それと僕たちは運動会には参加しますが何処にも属す気はしませんから」


一誠 「は?おい、俺は運動会をするかどうかすらも言っていないぞ?」


「―――僕たちは第四の勢力として運動会に参加します」



――――――――――――――――――――――――――――――――――――



一誠 「と、和樹が勝手に決めたので俺たちも三大勢力の運動会に参加する事になった」


「うっ・・・・・ごめん」


学校から戻って数時間が経過した。和樹の言葉に三人のトップは残念そうにしていたが帰り際に

『楽しみにしている』と俺たちに向けて言葉を発して帰っていった


「そうですか。ミカエルたちが運動会をするとは意外ですね」


「理由は親睦を深める為だろう」


「悪魔も天使も変わってきているね!」


「私たちの頃の時とは大違いだ」


「そうね」


元魔王の四人と神のメイビスが冥界と天界に住む悪魔と天使の進境に少なからず驚いているようだ


「でも、私たちはその運動会に出れないよね?」


一誠 「うん、ごめん」


「ううん、気にしなくていいよ?私たちは一誠くんと一緒にいられるだけで十分だから!」


レヴィアタンが首を左右に振ったあと、嬉しい言葉を言ってくれた


一誠 「ありがとう。ところでシーグヴァイラ姫とソーナ、レイヴェルはどうする?」


「私は応援をするわ」


「私もです!」


「私は出ないといけませんね。ですからイッセーくんと敵に成りますね」


そうか、ソーナは出るのか。シトリー家の次期当主だから仕方がないな


一誠 「もし対立になったら勝負だ」


「ええ、受けてたちます」


挑発的な笑みを見せ合う俺とソーナ


「それじゃあ応援する側と参加する側に分けようよ」


「貂蝉と卑弥呼も呼ぶ?」


「仲間ですからそうしましょう。きっと喜ぶと思います」


「念の為に華佗も呼ぼう。医者が必要になるかもしれない」


「うん!そうしよう!」


「運動会かぁ、楽しみだよ!」


「やるからには勝たないとね」


「全戦全勝を目指そう!」


『おおおー!』


皆は運動会が楽しみのようでその話が夕餉の時間に成っても続いた。人間の底力を知らしめるのもいいかもな



――――――――――――――――――――――――――――――――――



パン!パン!パン!


運動会の花火が鳴る。俺たち幽幻龍騎士団全メンバー(元四大魔王のルシファーたちと神のメイビスは

お留守番)は三大勢力が開催する運動会の会場に来ていた。使われているのはレーティングゲーム用のゲーム

フィールドで、かなり広めな空間となっている。会場にはジャージを着た悪魔、天使、堕天使が大勢いた

悪魔が赤、天使が白、堕天使が黒となっている。俺たちは幽幻龍騎士団の紋章を印したジャージを着ている

(色はバラバラだ)


「幽幻龍騎士団・・・・・っ!」


「アレが噂の新たな勢力か」


「何と言う迫力だ」


その辺を歩くだけで様々な視線が俺たちに向く。・・・・・三大勢力のなかでも俺たちかなりの認知度なん

だな。まあ、どうでもいいけどさ。―――お、あそこにいるのはグレモリー先輩たちじゃないか。イリナも

一緒だ。イリナは天使側だからジャージが白だな。その傍にはミカエルがいた


一誠 「ミカエル、イリナ」


「あ、一誠くん!一誠くんも一誠くんの眷属たちもきたのね!」


「兵藤くん、あの時以来です。どうやら全員連れてきたようですね」


一誠 「まだ数人はいるけど参加できない理由があって連れてこられなかったんだ」


「そうですか」と呟き、皆の方へ顔を向ける


「幽幻龍騎士団の皆さん、久しぶりの方もいれば初めてお会いした方もいますね。改めて自己紹介をしま

しょう。私は天界の天使長を務めている四大セラフの一人、ミカエルと申します。よろしくお願いします」


『よろしく』


『よろしくお願いします』


皆も挨拶を済ます


一誠 「今日は正々堂々と戦って楽しもうな」


「ええ、そうしましょう。何より、幽幻龍騎士団の力を久しぶりに見れると思うとワクワクしてしょうがな

いんですよ」


戦いじゃないけどな。でも、それでも勝ちに行かせてもらうぞ


「クソ天使長!久しぶりっスねぇ!元気にしていましたかぁ!俺は元気にしていましたです!」


フリードがミカエルに話かける。フリードを見たイリナとグレモリー眷属が嫌そうな顔に成った


「フリード・・・・・。こんなところでまた出会えるとは複雑な気持ちですね」


「はいはい!追放されて堕天使に拾われてもクソ総督にまた追放されて禍の団に行きついた俺さまをイッセー

くんに救済されましてねぇ!今じゃあ、元気で過ごしていますよ!その上、昔の俺さまとは思えないほど強く

成りましたよ!このクソ天使長!」


一誠 「おい、フリード。ミカエルに喧嘩を吹っ掛けるな。今日は運動会だぞ?楽しまないと損するぞ」


フリードを窘めミカエルに謝罪する


「いえ、気にしないでください。追放された者の気持ちを受け止めるのもまた天使長の役目だと思ってい

ますから」


「だったら追放するなよ」と口に出そうだったが何とか飲み込んだ


「ミカエルさまーっ。開会式が始まりそうですわよー」


突然の声。そこに目を向ければ―――あの女天使が近づいてきた。久しぶりに見たな。ミカエルが顎に手を

やり、失念した様子だった


「おや、そうですか。要人とのご挨拶だけで時間は過ぎてしまうものですね。おっと、紹介が遅れましたね。

兵藤くんにも紹介もしていませんでしたね。こちら、私と同じ四大セラフの一人で―――」


「ごきげんよう、わたくし、四大セラフのガブリエルと申します」


ガブリエルって言うんだ。ミカエルの秘書かと思ったよ


「天界一の美女にして、天界最強の女性天使であらせられるガブリエルさまなのです!因みに冥界でも人気は

すんごい高かったりします!」


イリナが興奮気味に自慢げにそう説明してくれた。へー、冥界でも人気なんだ。俺はミカエルと一緒に天界に

遊びに来ないかと何度も誘われているけど自慢に成るのかな?


「ミカエルさまだけじゃなく、あのガブリエルさままで・・・・・」


「うん、今日は素晴らしい日だ・・・・・」


アルジェントとゼノヴィアが目を爛々と輝かせ手を会わせて恍惚とした表情になっていた。


「兵藤くん、天界に遊びに来ませんか?綺麗な湖や美味しい食べ物があるのですよ。是非、

遊びに来てください」


またか!またなのか!?会うたびに俺を天界に遊びに来させようとするんだよな!このおっとり天使は!

ミカエルも「そうですね。運動会が終わったら是非、遊びに来ませんか?」と誘うし!


「うん!一誠くん。一度ぐらい天界に来て見てよ!天界って綺麗なところよ!」


一誠 「イリナ、お前もかああああああああああああああ!」


「兵藤とイッセーじゃねぇか。っておー、ミカエルもいるじゃねぇか」


俺が叫んだところに黒いジャージに身を包んだアザゼルがロキとの一戦で一緒に戦ったバラキエルを引き

連れて現れる。こいつも久しぶりだな


「これはアザゼル」


「今日は負けんからな、天使長さまよ」


「それはこちらの台詞とだけ言っておきましょう」


アザゼルとミカエルが笑顔で握手しながらも異様なプレッシャーを辺りに放った。両者の間の空間が迫力に

よって歪みだしている。こんなところで喧嘩をするなよ?その近くに姫島先輩とバラキエルの間にも妙な

空気がなっていたが気にしなかった


『各勢力の選手の皆さま、中央グラウンドにて開会式を開始致しますので、集合してください。

繰り返します。各勢力の―――』


会場アナウンスだ。いよいよ。運動会の開会式が始まるようだ。俺たちは中央グラウンドに向かい集合しに

行った。数分後、中央グラウンドに集まる各勢力の選手たち。悪魔、天使、堕天使、そして俺たち

幽幻龍騎士団と四つのチームに分かれた


『えー、スポーツマンシップにのっとり、正々堂々と競い合うことを誓います』


選手の代表が選手宣誓をして、開会式も閉じようとしていた。そう言えば今日の運動会は日本式を倣っている

そうだ。各種競技もそれに合わせてプログラムされたみたいだった。何気なく手元のしおりを見る

・・・・・うん、学校でやった運動会となんにも変わっていなかった。そのまんまだった。悪魔と天使と

堕天使の運動会だから変わったものかと思っていたけどな。っと、開会式も終わったようだな。俺たちは指定

された応援席まで移動する。―――移動中、アザゼルが黒いジャージの堕天使軍団に力強く演説を

開始していた


「いいか、おまえたち。―――コレは交流会という名の戦争だ。今日だけは暴れても文句は言わん。協力態勢

を敷いたとはいえ、常日頃から天使や悪魔に言いたい事も沢山あるだろう。やれ天界アイテムの価格が高すぎ

るとか。やれ悪魔の持つ等価交換の意識がウゼーとか。溜まるものを溜まっているだろう。今日だけは存分に

暴れ回れ―――俺が許す!」


『おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!』


堕天使の選手たちが怪しい眼光を放ちながら気合と共に怒号を巻き起こした!日頃から天界や悪魔に対して

思うところがあったのだろうか?その光景を見ていた白いジャージの天使軍団を総括するミカエルが微笑んで

いた


「はははっ、堕天使の方々は元気ですねぇ」


堕天使の集会を見ていた天使たちから不満の声が上がる


「奴等のペースに全部合わせると我々は堕天するかもしれないと言うのに・・・・・!」


「一度堕ちたら天使として終わりなんだから、その辺、堕天使も悪魔も解って欲しいものだ・・・・・!」


「これだから堕天使と悪魔は嫌なんだ」


天使側も堕天使や悪魔に思うことがあるんだろうな・・・・・。


「いいですか、皆さん」


ミカエルがニッコリスマイルを浮かべながら、危険な金色のオーラを全身から迸らせていた。


「普段の教えの通りです。―――異端者には天の罰を与えなさい。我々は亡き神の代行者を果たす役目が

あります。―――彼等に『光』を」


『はっ!週末を彼等に!』


これ、運動会だよな?この天使たちは悪魔と堕天使を殺す気満々じゃないか・・・・・?そして最後は赤い

ジャージの悪魔軍団はサーゼクスを中心に集まっていた


「天界もグリゴリも元気いっぱいのようだ。我々も負けぬよう精一杯競い合おう。交流会の競技だからと

いって、手を抜いても失礼だ。―――本気でやるように」


『ハルマゲド――――――ンッ!』


危険極まりない掛け声だな!?本当に運動会なのか!このイベントは!?


「イッセー」


指定された応援席に着いた皆が俺の言葉を待っていた


一誠 「みんな、悪魔と天使、堕天使の演説を聞いたな?だが、俺たちは三大勢力たちに勝てない

   気もしない。負ける事もない。其れは何でだ?」


「私たちが一番強いからっス!」


「僕たちが最強だから!」


一誠 「そう!俺たちは強い、最強だ!誰にも負けない強さがある!誰にも負けない心がある!どんな時でも

    どんな事でも俺たちは勝つ!」


『全戦全勝!』


一誠 「お前等!勝ちに行くぞ!」


『勝利するのは我等、ファントムドラグーンッ!』


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