小説『ばあちゃんのケーキ』
作者:たまちゃん(たまちゃんの日常サタン事)

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白血病の少女がいたんだ!

ばあちゃんがいつもお見舞いにきてくれるんだ

病院の食事だけじゃアレだと思って、手料理を作ってくるんだよ

かぼちゃの煮物とか…

キンピラごぼうとか…

ブリ大根とかなんだけどね…

少女はとても喜んでいたんだ


でもさ、

抗がん剤とかの副作用で髪の毛とか抜けちゃって…

ガリガリに痩せちゃって…

ストレス溜まってイライラしてたんだろうね

ある時、

思わずワガママ言っちゃったんだ


「もぅ、ばあちゃんの料理、食べたくない!

 わたしまだ17歳なんだからケーキとか食べたい!」

そして、

そこにあった料理、ゴミ箱に捨てちゃったんだ!

ばあちゃん

背中をまぁ〜るくして、悲しそうに帰っていった…

その背中を見て少女は反省した

あぁ…ばあちゃん。

いつの間に、あんなに腰が曲がっちゃったんだろ?

今まであたしのせいで苦労してきたんだもんね…

何であんな事、言っちゃったんだろ?

…ごめんね、ばあちゃん…




明日、ちゃんと謝ろうって思ったんだ…




























でも次の日

おばあちゃん

死んじゃった













となり町のスーパーに行く途中

ダンプに撥ねられて

死んじゃった






おばあちゃんの右手にしっかりとメモが握られていたんだって…















ケーキミックス

生クリーム

バニラエッセンス





ケーキ作ろうとしてたんだろうね…






車が多いからって…



いつもは行かない

となり町まで行って

死んじゃった






少女は泣いた

泣きじゃくった

看護士はとめたけど、昨日捨てたゴミ箱の料理食べながら、

泣いてたんだって…






煮物とか、

きんぴらとか、

ブリとか…全部混ざっちゃたけど、

すっごく美味しかったんだ




「もう、食べられないんだ…ばあちゃんの料理」


「おばあちゃんのかぼちゃ・・・」


「おばあちゃんのごぼう・・・」


「おばあちゃんの煮物・・・」




ごめんねばあちゃん。いつも心配させてたね…

ごめんねばあちゃん。ひどい事言っちゃったね…

あんなの嘘だよ…


ばあちゃんの料理…大好きだよ




ばあちゃん…





ばあちゃん…





ばあちゃん 。。。











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