――『退屈』
それはこの世で一番恐ろしいものだ。
ある奴は幽霊が怖いのだという、またある奴は近所の不良が怖いという。
だが、退屈にはその怖いという感情の変化すら訪れない。
まるで一枚のディスクのリピート再生のように、ケツまで行ったら頭に戻され
る、そんな日常のループ。
俺はそれを何よりも嫌った。
中には代わり映えしない毎日に嫌気がさして、停止ボタンを押す奴もいる。
だが、そんな奴等の仲間入りなんて、さらさらする気はない。
人間は欠陥品だ、止めれば最期、二度と再生ボタンは押せない。
なら、俺は何をすればいいのか。
明確な答えなんてあるはずもなく、投げかけた問いは宙に浮いたまま……
だから俺は赴く―
―変化をもとめて