小説『魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

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 Side:ルナ


 管理局の嘱託となったとは言え、私達にできる事は現状無い。
 フェイトの家での話し合いも一段落したので、家に戻ってきた。
 で、昼間は突然の事で機能を把握しきれていなかったデバイス達の新機能を、デバイスから直接聞いているんだが…


 「あらあら、前よりも格好良くなったわねレイジングハート♪」

 『Thank you.Captain.』


 どうして桃子は嬉しそうなんだ?
 いや、まぁ彼女にとっても意思のあるインテリジェントデバイスはある意味家族同然なの……か?
 悪い事じゃないがな。

 「すまないが桃子、後にして貰って良いか?まだ機能全てを把握できてる訳じゃないんだ。」

 「何があるか分らないから、ちゃんと理解しておきたいの…ごめんねお母さん。」

 「あらあら…それなら仕方ないわね。又お話しましょうねレイジングハート♪」

 『All right.』


 …なんで桃子とレイジングハートは仲が良いんだろうな?


 「何でかなぁ…」


 う〜ん…謎だ。
 まぁ、桃子だしな。


 「お母さんだからね。」
 「モモコですから。」
 「モモコだからのう…」
 「モモコだからね〜♪」


 満場一致…ソレでいいのか高町桃子――良いんだろうなきっと。(納得)










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福44
 『絡み合う運命と…』










 それはさて置いてだ、今回のデバイス強化でなのはとフェイトは『カートリッジシステム』を手に入れたわけだな?
 そしてその新システムとは別に新たに全てのデバイスに『フルドライブ』形態が追加されていると…


 「だね。レイジングハートのデバイスモードとバスターカノンモード、スティンガーモードはノーマル形態。
  星奈も同様の形態がノーマルだよね?」

 「はい。ルシフェリオンもデバイスとバスターカノン、そしてスピアーモードがノーマルですね。」

 「我がディアーチェクロイツはデバイスモードとヤマトフォームがノーマルと言う事か。」

 「僕のは襲撃鎌(スライサー)と破砕斧(クラッシャー)がノーマルだって。」


 成程…で、私の場合は通常の四肢に展開されている状態がノーマルと言う事か。
 そしてその上の強化状態『フルドライブモード』…強化されているであろう暴走体との戦いでは必須か…

 ただ、気軽に使って良いものでもないから発動は殆どぶっつけか…此れは仕方ないな。

 「デバイスの方は大体分ったが…此れからどうする?
  管理局の嘱託とは言え、騎士達に大きな動きが無い限りは私達とて動きようがないんだが…」

 「うん…今は待つしかないと思うの。『急いては事を仕損じる』って言うしね。」

 「その通りだよ。良い心構えだね…『期』を待ち、『機』を見て、『気』を持って戦う。
  此れが出来れば、例え誰を相手にしたって負ける事はないよ…お姉ちゃんが保障します♪」


 ソレは又なんとも安心の保障だな。
 だが、確かに明確な一手が打てない以上は下手な動きは自分の首を絞めるだけ。
 必要な時に力を発揮できるように、鍛錬を怠らず、そして充分な休養をとることが何よりも大事か。


 「そうだね。まぁ、焦らずにやってごらん?なのは達なら出来ると、僕も桃子さんも信じているから。」

 「当然私と恭ちゃんだって信じてるからね?」

 「うん…ありがとう、お父さん、お母さん。ソレとお姉ちゃん、お兄ちゃん。」


 うん、信じてもらっていると言うのもこの上ない力になる。
 …で、どうかしたか恭也?


 「な、何故俺が一番最後なんだ!?」


 知るかシスコン。
 敢えて言うならお前だからだ!(断定)


 「…成程、納得です。」
 「まぁ、ナノハの中での貴様のランクは相当に低いだろうからのう…」
 「しょーが無いじゃん、だってキョーヤだもん♪」


 つまりそう言う事だ、分ったか?


 「分るかぁぁ!!なのは、俺のランクが低いなんて事はないよな!?」


 「それでねお姉ちゃん、又皆に稽古をつけて欲しいの。」(無視)

 「良いよ。その向上心は素晴らしいとお姉ちゃんは思うから♪」(勿論無視)

 「無視をしないでくれぇぇ!!」


 …此れはガチで嫌われる日も近いかもしれないな…まぁ良いか。
 取り合えず今日は色々あったからゆっくり休む事にしよう。

 私も治ったばかりで動いたから結構疲れたしな。


 「そうだね。それじゃあお風呂に入って休もうか?」

 「さんせ〜い!お風呂大好き!!」


 はは、まぁ先に入って来い。
 私はお前達の後に頂く事にするよ。




 ふぅ…さて、お前達は如何動く――騎士達よ?








 ――――――








 Side:ヴィータ


 結局、家に帰るのは朝になっちまった。
 管理局の追跡振り切って、更に傍受されないように慎重に移動してたから仕方ねーんだけどさ…

 けど、はやてには凄く悪い事しちまった…起きたらあやまらねーと。


 「お帰りなさい…皆無事ね?」

 「あぁ、私達は問題ない…主はやては?」

 「まだ眠ってるわ。ちゃんとベッドに寝かせたから其処は大丈夫。」


 そっか、わりーなシャマル1人でやらせちまって…


 「気にしないでヴィータちゃん。大変な状況だったもの…全員無事に揃っただけでも僥倖よ。」

 「そーかもしんねぇ…アレ?そういやはやてはまだ寝てるのか?」

 何時もだったら此れくらいの時間には起きて朝ごはんの準備してるのに…


 「そう言えば…起きてこないわね?昨日私達を待ち過ぎて疲れちゃったのかしら?」


 かもな。
 じゃあさ、アタシが起こしてくるよ――そんで昨日の事謝んないと……



 ――ガタン!!



 「「「「!!!!」」」」


 な、何だ今の!
 てか、今の音はやての部屋からじゃ…!

 まさか、寝ぼけてベッドから落ちたりしたんじゃ…

 「はやて、大丈夫か?」

 皆で部屋に…




 「う…ぐ…くぅぅぅぅ…!」




 …え…はや…て?


 「うぅ…はぁ…はぁ……」

 「はやて!しっかりしろ、はやてぇ!!」

 「此れは発作か!?…救急車…いや、直接連れて行ったほうが早い!」

 「海鳴大学病院の近くまで転移するわ!」


 急いでくれシャマル!


 ちっきしょう……発作が起きるくらいまで侵食が進んでんのかよ…!



 このままじゃはやてが死んじまう…早く、早く闇の書を完成させなきゃ!
 はやて……








 ――――――








 Side:はやて


 …………知らない天井や。

 うん、嘘です。
 此処は…病院?
 ドナイしてこんなところに…


 「はやて!」

 「ヴィータ?」

 ソレに皆も?


 「目が覚めた、はやてちゃん?」

 「石田先生…」

 え〜っと…何が…


 「はやてちゃん、発作を起こして倒れたのよ。」

 「発作?」

 なしてそんな事が…
 ん?そうなるとシグナム達が私を?


 「はい。救急車を呼ぶよりも直接来た方が早かったので…石田医師には無理を言ってしまいましたが…」


 そか…ごめんなぁ迷惑かけて。
 せやけど、もう大丈夫や。
 家に――


 「あのね、はやてちゃん。」

 「はい?」

 「今回の発作、少し気になるの。申し訳ないけれど、少し入院してもらう事に成るわ。」

 「入院!?」

 あ、いや…考えてみれば当然やね。
 原因不明の病気に犯されてる患者が発作起こしたとなれば無視は出来へんからなぁ…



 分りました…少しお世話になります。


 「ごめんね…」

 「石田先生のせいやありませんて。
  あーーせやけど入院すると皆の食事や洗濯が心配やなぁ?」

 ドナイしよか?


 「その辺は皆で上手くやるから……はやてちゃんはしっかり療養して?」


 シャマル……分った、ほなお願いするわ。


 「お見舞い、毎日来るから!」

 「あはは…うん、ヴィータは良え子やなぁ。無理の無い範囲で来てや。」

 まあ自分で言った以上、ヴィータは間違いなく来てくれるやろけどな。
 ホンマに良え子や…

 ううん、ヴィータだけや無い。
 シグナムもシャマルもザフィーラも……皆ホンマに最高の家族や。


 「では我々は、今日は一度…」

 「せやね…あんまし長居したらアカンからね。」

 又明日な?







 ふぅ…入院かぁ…検査入院言うても、これじゃクリスマスは病院やなぁ…


 けどそれ以上に行き成りの発作やなんて……私の身体、ドナイしてまったんやろ…
 一過性のモンで済んでくれるといいんやけどね……



 はぁ…少し落ち着いたら公衆電話ですずかちゃんに電話かけてみよ。
 ずっと病室じゃ気分も落ち込んでまうからな。

 「…そう言えばシグナム達って料理できたんやっけか…?」

 ま、まぁ冷蔵庫や戸棚に冷凍食品やレトルト品があるからなんとかなるやろ。(汗)
 アカン…こら、出来るだけ早く退院せんと悲惨な事になってまいそうや…








 ――――――








 Side:なのは


 リンディさんが襲撃されてから数日――あれ以来、騎士さん達はまるっきり動きがない。
 クロノ君に聞いてみても動きを補足しきれてないって……それじゃあ動きようがないの。

 でも『闇の書』との直接対決が有ることは間違いない。
 ソレに備えて今日もお姉ちゃんに稽古をつけてもらったの……うん、確実に強くなってる。

 「ん?」

 ルナ?
 2階のベランダで何してるんだろう?

 ルナ、何してるの?


 「なのはか…いや、この街を見ていたんだ――矢張り綺麗だな、此処は…」

 「そうだね…」

 ベランダに出れば、海鳴の街を全部じゃないけど見渡す事ができる。
 夕暮れの景色は一番綺麗かも…


 「私は此処が好きだ……穏やかで、優しい温もりに包まれたこの街が。
  だからこそ護りたい――この優しい世界を闇の書の呪いに破壊させたくは無いんだ。」

 「それは、私も同じかな。」

 発動すれば星一つを破壊し尽くすほどの力…絶対に止めないと。
 ううん、ただ止めるだけじゃなくて呪いも断ち切る事もしないと駄目だよね…

 「ねぇ、ルナ…騎士さん達が蒐集されない方法はないのかな?」

 でも、ソレとは別に騎士さん達が蒐集されないようにしたいの。
 書の完成の為に、最後は蒐集されるなんて……そんなの悲しすぎるよ…


 「…残念だが、方法は無いな――此れも書が内包している機能不全の一つなんだが、書の完成には騎士の蒐集が不可欠だ。
  更に、呪いを断ち切り、書の機能を正常に戻すには一度、闇の書が完成しなくてはならない。
  その上で書と防衛プログラム――ナハトヴァールの切り離しを行わなければならないんだ。
  それ以外の方法は……私にも思いつかない…。」


 やっぱり駄目なんだ…


 「だが、騎士達の蒐集は止められなくとも書と防衛プログラムの切り離しは確実に行えるから安心してくれ。
  ソレさえ出来れば、後は管理者権限で蒐集された騎士達も元に戻る事ができる。」

 「本当に!?」

 そっか…それなら…
 でも『確実に』って言うなら、秘策が有るんだよね?


 「勿論だ。私にしか出来ない――私だからこそ出来る反則ギリギリの裏技だけれどな。」


 裏技でもバグ技でもこの際上等なの!
 闇の書の呪いを砕いて、全てが丸く収まるなら!


 「そうだな…絶対にやり遂げよう。私達なら出来る。」

 「うん!私達なら絶対に出来るの!」

 ルナに星奈、冥沙、雷華にフェイトちゃん。
 アルフさんにリニスさん…ソレにクロノ君――皆が力を合わせれば不可能なんて無い。




 闇の書の呪いは、私達で絶対に断ち切ってやるの!












  To Be Continued… 


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