小説『魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜』
作者:吉良飛鳥(自由気侭)

しおりをはさむ/はずす ここまでで読み終える << 前のページへ 次のページへ >>

 Side:ルナ


 ……よし、進入成功だ。
 なのは達の方にも、白夜を通じて詳細は渡っているはずだ。

 夢の空間もレジストしたし、後は…


 ――チュンチュン…


 「え?」

 此れは…海鳴?
 しかも此処は『八神邸』!?

 「…レジストに失敗した?」

 いや、ソレはない筈だ……外での戦闘なら兎も角、この空間では闇の侵食のない私の方が強い。
 実際に、取り込まれた瞬間に夢の再生は食い止めたしその手応えも有ったんだが…

 「闇の書の意志の仕業ではない…?」

 だとしたら一体…?――さて、如何したものか…










 魔法少女リリカルなのは〜白夜と月の祝福〜 祝福48
 『呪縛〜Nacht Wal〜』










 Side:なのは


 「…アイツは永遠の夢に捕らわれた。お前達も無駄な足掻きは止めた方が良い。」

 「悪いけど、ソレは聞けないかな。」
 『It's so.』


 ルナは態と吸収されたんだからきっと無事。
 だから、ルナが戻ってくるまで私達が貴女の相手をするの!


 「ならば、お前達も闇に沈め!」


 来た――皆散開!


 「うん!」

 「了解しました。」

 「OK〜〜!」

 「的を絞らせぬか…考えたなナノハよ!」


 うん、此処は数の利を生かす!
 空間攻撃にさえ気をつければ、5人を同時に相手にすることはできないはず。

 誘導射撃だって全員をくまなく狙うように操作したら絶対に隙ができるの。
 その隙を逃さずに叩く!!


 「無駄な事を…!」

 「速い!?」

 けど…レイジングハート!!


 『Protection.』


 ――ガキィィン!!


 「なに?」


 本気の雷華やフェイトちゃんと比べれば目で終えない速さじゃないの!
 それに間合いに入り込む『一瞬の加速』だけならお姉ちゃんの方がずっと上!

 「スマッシャー!!」

 だからそう簡単にはやられないよ!
 星奈!


 「抜かりありません!ブラストファイアー!!」

 「ディバインバスター!!」
 『Divine Buster.』


 追撃の砲撃!


 「く…!!」


 は、避けられるよねやっぱり。
 けど本命はソレじゃないの!


 「貴様の行動などお見通しだ下郎が!落ちろ、ヘルムブレイカー!!」

 「何時の間に!絶て!!」
 『Panzerschild.』


 冥沙の一撃も防がれるけど、これも計算のうち!


 「ライトニングバインド!」
 『Lightning Bind.』

 「うりゃ〜!超電磁バインド〜〜!!」


 「!!」


 本命の本命はこのバインド!
 私と星奈の砲撃と、冥沙のクロスレンジはその為の布石!
 それから…


 『Restrict Lock.』

 「ふっ…ルベライト!」

 「ひれ伏せ塵芥が!」


 私の『レストリクトロック』、星奈の『ルベライト』、冥沙の『ロードチェイン』で追加拘束!
 いくら闇の書さんが強くても、この5重バインドは簡単には解けないはず!

 「コンビネーション3!」

 「クラスターシンフォニー!」


 全力全開…!


 「「「「「シューーートッ!!!」」」」」


 多重拘束した上での、5方向からの直射砲。
 回避は不能!


 「ぐぅ…ハァ!!」


 ――バキン!バシィィィ!!


 「!!」

 うそ!?
 5重バンドを破壊してのバリア展開……防がれた…!


 「大人しく…眠れ!!」

 「「「「「!!!」」」」」


 バインド!?
 しかも此れは私達の…!!


 「騎士達が命を懸けて集めた魔法だ、お前達に破れはしない。
  もう眠れ、直に全てが終わる――最後の時くらいせめて、安らかな時間が合っても良いだろう…」

 「違う!!」

 まだ終わらない、終わりじゃない!!
 私達は負けてない、ルナだってマダ終わってない!
 ソレに何より、貴女自身が諦めてない!!


 「何を馬鹿な……救いも何も有りはしないことが私が一番良く知っている。」

 「だったらどうして泣いてるの!?そうやって泣くのは、諦めたくないからじゃないの?終わりたくないからじゃないの?
  もし、本当に全部諦めて終わりにしようと思うんなら……泣いたりなんか、しないよぉ!!!」

 「煩い……知った風な口をきくな!滅びの運命は最早誰にも変えられない!!」


 分からず屋!!
 白夜の魔導書展開!……あった!使用魔法『バインドブレイク』!!


 ――バキン!!


 「いい加減にしろよクロハネもどき!!」

 「ジャケットパージ!!」

 「まぁ、自分の魔導ですからね…」

 「外し方くらいはの。」


 私達は諦めない!
 絶対に貴女を止めて、ソレで救うから!!


 「…諦めないか…何とも厄介だな。
  それ以前にお前達くらいの魔導師を5人も同時に相手にするのは些か分が悪いか…」


 闇の書さん?


 「ならば…此れで如何だ?」


 ――ズズズズズ…


 な、此れは…そんな…

 「ヴィ、ヴィータちゃん?」

 「シグナム…!!」

 「守護獣に…」

 「緑のオバサンも!!」

 「おのれ…何の心算だ、貴様…!」


 現れたのはヴィータちゃん達だけど…なんか違う。
 表情は無いし、服も違うの。
 今のヴィータちゃん達が纏ってるのは本当に『鎧』。
 さっきまでのカッコイイ服とは違って、戦う為に身に纏う鎧…これって…


 「騎士達の幻影だ。だが、如何に幻影と言ってもその強さは本物と変わらない。
  此れでお前達も5人、私達も5人だ……行け、騎士達よ!」

 「「「「………」」」」


 来た………って、私はスルーなの!?


 「お前の相手は私だ。」

 「闇の書さん!!」

 一番強い人が私に…!!
 ヴィータちゃんは星奈、シグナムさんはフェイトちゃん、ザフィーラさんは冥沙、シャマルさんは雷華に…!
 此処からは1vs1の勝負!!


 「状況不利となっても諦めないか?…矢張りお前が尤も最初に処理しなければならないようだな。」

 「え?」

 「お前は、お前達の中で最も強い魔力を持っているが、戦闘技術は最も未熟だ。
  だが、単純な戦闘力以上にお前の存在が全ての中心、拠り所になっている。
  ならばお前を静めれば、残りは総崩れだ。」


 ソレで私を?
 …私が中心かどうかは知らないけど、やられないの!


 『Stinger.』


 「あくまで抵抗するか?…無駄な事を…」

 「無駄じゃない!諦めない限り、道は絶対に開ける!!」

 開いてみせる!!








 ――――――








 Side:ルナ


 「うん、何処もおかしい所は無いな。」

 『No problem Master』


 ブライトハートも使って自分自身に異常が無いか調べてみたが何も問題ない。
 となるとこの空間は一種のバグか?

 う〜ん……よし壊そう♪加減無しの集束砲で。
 バグなら壊してしまっても問題ないだろうしな。


 「ちょっと待った〜〜〜!!!!」

 「ん?」

 ヴィータ?…私の記憶か?それとも蒐集された騎士の思念か?


 「オメーの記憶の方だ!つーか、何アブねー事しようとしてんだ!」

 「行き成り集束砲を撃つという考えに至るとは、少々あいつの影響を受けすぎではないか?」


 将もか?
 ん?私の記憶の方の将達が現れると言う事は、此れはバグじゃないのか?


 「バグじゃねーよ。ま、色々制限あって、出てこれるのはアタシとシグナムだけなんだけどな。」

 「そうなのか?…ソレは少し残念だな。」

 バグじゃないのなら、シャマルやザフィーラにも会いたかったんだがな。


 「まぁ、ソレは言っても仕方の無い事だ――そんなに時間が有る訳ではないので簡単に説明する。
  私とヴィータが現れたのは、お前に渡すものが有ってな、その為に出てきたのだ。」


 渡すもの?


 「あぁ、オメーが殆ど意識失っちまってる状態なら夢でアタシ等がオメーに会う事は可能だ。
  けど、何か物を渡したりすんのは、夢と現実が融合してるこの空間じゃないと行えねーんだ。」

 「…自分の事でアレなんだが、この空間はそんなことも出来たのか…」

 意外と便利だな。
 と言う事はつまり、将とヴィータは蒐集された私の魔力が、私自身が蒐集された事で再生されていると言うことか?


 「端的に言えばそうなるか?まぁ、魔力の状態でもある程度のコミュニケーションはとる事が出来る。
  もっとも、その辺はお前やマテリアルと呼ばれたあの3人が特殊な存在だからだろうがな。」


 マテリアル…星奈達か。
 それで、私に渡すものとは一体なんだ?


 「此れだ。」

 「此れは刀と……魔力カプセル?」

 「おう。そっちの刀がお前ので、2つのカプセルはマテリアルの記憶のなのはとフェイトから預かったもんだ。
  赤い方を理に、蒼い方を力に渡してくれだとよ。」


 星奈と雷華にか…。
 それよりもこの刀は…?


 「お前の魔力が蒐集された後、書の中で皆で話し合って決めた贈り物だ。
  非人格搭載型のアームドデバイス『月影』――受け取ってもらえるか?」

 「『月影』……あぁ、ありがたく頂くさ。この魔力カプセルも星奈と雷華に届けよう。」

 思わぬ贈り物だが、嬉しいものだなこう言うのは。
 ……会えるのは此れが最後なんだな?


 「あぁ、アタシ等はあくまでオメーの記憶と魔力から構成されたもんだ。
  防衛プログラムと完成ユニットの切り離しが行われれば其処で消えちまう存在に過ぎねー。」

 「だからこそ、少し強引だがこういった手段をとらせて貰った――と、時間のようだな。」


 将、ヴィータ…消えてしまうのか?
 いや、お前達が消えても私が忘れない限りは一緒だな。


 「たりめーだ。こっちのアタシ等と、はやてに宜しくな!
  ぜってーやり遂げろよ?負けんじゃねーぞ、『リインフォース』!!」


 ――シュゥゥゥ…


 消えたか……ふふ、最後の最後で名を呼んでくれたか。
 空間も海鳴から独特の混沌のような、浸食を受けた闇の書内部に変わった様だな。


 思いもよらない事だったが…ありがとう、将、ヴィータ、皆。
 お前達から貰ったこの『月影』、大切に使わせてもらうぞ。

 「ふぅ……よし、始めるか。」

 此れだけの事をしてもらったのならばしくじる事は出来ないな。
 全てを私の、私達の手で終わらせる!

 悲しみの連鎖を断ち切って、皆が笑顔で暮らせる未来を必ず掴むんだ!








 ――――――








 Side:なのは


 「撃ちぬけ、ナハト!!」

 「シュート!!」

 く…やっぱり1vs1じゃ結構キツイ。
 白夜の魔導書を独立機動砲台にして多角攻撃かけて漸くギリギリの状態…やっぱり凄く強い…!

 けど退かない!!

 「アクセルシューター!シュートッ!!」
 『Accel Shooter.』


 「魔導書からもか!貫け…ブラッディダガー!」
 『Blutiger Dolch.』



 ――ガガガガッガガガガガァン…!!



 全弾、相殺…!
 合計24発、多角操作までしても、撃ち落すなんて…


 「正直恐ろしいまでの空間把握認識力と並列思考だな。
  あれだけ動き回りながら、12個もの魔力弾を操り、更にその操作とは別に魔導書を操り、更に魔導書からも誘導射撃。
  おおよその演算能力で出来るものではない…が、ソレをもってしても私を、ナハトを止める事などできない。
  何故分らない?抵抗を止め、もう眠れ…」

 「いつかは眠るよ……でも、ソレは今じゃない!!まだ何も終わってない!ううん、始まってすらいない!
  本当の貴女はまだ始まってない!だから始まるために貴女を止める!レイジングハート!!」
 『Load Cartridge.』


 止めてみせる!
 ううん、絶対に止めるんだ!皆の手で!!


 『I think so.It can be done.』


 うん、行こうレイジングハート!!


 『All right.』











  To Be Continued… 


 

-49-
<< 前のページへ 次のページへ >> ここまでで読み終える




キャラクタースリーブコレクション 魔法少女リリカルなのはViVid 「八神 はやて」
新品 \2850
中古 \
(参考価格:\699)