「君が天から遣わされた英雄だね?話は聞いているよ、ウルフィアス率いる騎士団を圧倒したそうだね」
立て続けに喋る王の表情はどこか楽しそうだった。
楽しそうと言っても、子供たちが喜んでいるのとはわけが違う。
敵を目の前にして余裕を持って愉しんでいる、というような感じなのだ。
経験上、こういうタイプはさりげない会話でこちらを誘導しようとしてくるはずだ。
これだから知的なイケメンは……
「あなたが王様?」
その通り、王は言った。
「さて、いきなりだけど客人の君達にはおもてなしをしないとね。一緒に食事をしよう、今昼ごはんにしようとしていたんだ」
そう言うと王は持っていた本を王座に置いて、階段を降りてくる。
ようやく陽の光から王が舞い出てきた。
ほとんど白髪のような銀髪に、やっぱりイケメンで知的な表情……しかし王と言うには少し若い、まだ40手前だろう。
「初めまして王様、私、天使のミカと申します」
「おっすオラ悟く……河原 郁葉です」
急にミカとウルフィアスとクリームヒルデに睨まれたからふざけるのやめよう。