――第四話 この国にはツンデレしか居ない――
――オーレシア王城内の大浴場、1530時――
この時間帯、城の人達は皆仕事中か訓練中のどちらかで風呂に入る人なんかいないようだ。
25メートルプールほどもある浴場には俺一人だけしかいないが、貸切状態のVIPみたいだから別にいい。
しかし流石は城の風呂、隅々まで綺麗にされていてとても快適だ。
「あ〜生き返る……」
俺はお湯に浸かりリラックスしながら、ここ二、三日の間に起きた事を思い返す。
急に現れたロリータ天使に脅されて異世界へ行き、そこで人を殺して村を救い。
ツンデレ隊長に捕まって城に連れて行かれ、ガチムチのおっさんと戦い。
本当に濃い二、三日だよな。
……シェパード、元気かな。
ふと、残してきたツンデレ一号の事を思い出す。
いつもはすっごくツンツンしてるのに、たまに異常なくらい優しくて、俺のそばにいてくれて。
アンタなんて好きじゃないとかいいながらちょくちょく家に来ては掃除したり、ご飯作ったりしてくれて。
ちょっとでもからかうと怒るくせに、すぐに笑顔になってて。
あぁクソ、俺泣きそうだ。
柄にもなく涙をこらえてブクブクとお湯の中へ沈んでいく。
……あいつ一人で大丈夫かな。
まぁ俺がいなくても別にどうってことないだろうけどさ。
「ブクブクブク……」
やっぱり俺、好きだったのかな。
と、俺が一人感傷に浸っていると。
ぴちゃり。
不意に誰かがお湯につかった音がした。
おや、今の時間男湯に入ってくるなんて。