言葉すら発せずにぐらつくクリームヒルデ。
えげつないが、ここで追い打ちを入れる。
くるっと横回転しながら飛び上がり、心臓部分へローリングソバット。
鈍い音を発てて俺の脚が胸へと食い込む。
流石に防具を着けているため威力は落ちるが、それでも骨は折れるに違いないくらいの決まり方だ。
「ぐぁっ!!?」
一気に彼女の顔が苦痛に染まる。
恐らく、決着は着いた。並大抵の人間なら失神するか心臓が狂って死ぬか、どちらかだ。
どさりと、クリームヒルデが倒れ込む。
――これじゃあ、俺が悪者みたいじゃないか。
悪者は慣れているはずなのに、ちょっとだけ心が痛むのは、安っぽい偽善でクソッタレに違いない。
俺は、この段階で、彼女の決意と覚悟を憐れんでいるのだから。
俺はそれ以上追撃せずに、呆然と立ち尽くして悶える乙女騎士を見るしかなかった。