――ミカは興味なさげな目で、ウルフィアスと共にその戦いを眺めていた。
盛り上がっていた歓声はすでになく、誰もがそのえげつなさに口を閉ざす。
ウルフィアスは少し眉をひそめると、ミカは言った。
「娘同然の教え子が傷つくのは堪えますか?」
まるで人の心を嘲笑っているかのような口振りは天使ではないだろう。
だが、ウルフィアスは怒りもせずに苦笑いを見せてみるだけ。
「それだけ年をとったのかもしれません。……貴女は逆のようだが」
「………………」
ミカは答えず、ただいつもの表情で倒れ込むクリームヒルデを見ているだけ。
ウルフィアスはそんな状況に耐えきれず、審判としての役割を果たしに闘技場へと介入しようとし……
ミカに止められる。
まるでどちらかが死ぬまで終わらせないと言わんばかりの目で彼を威圧する。
「……可愛い子には旅をさせろって言うじゃないですか、ね?」
「……貴女は本当に変わってしまったようだ。そこまでするのはあの娘のためですかな?」
ミカは何も答えない。
ただただ見つめるだけ。