――その日の夜。
風呂に入ってウルフィアス達と夕飯を食べ、与えられた上質な自室で休息を取る。
何はともあれ、今日は疲れた。
ウルフィアスとの戦いに始まり、クリームヒルデとの決闘。
もちろん回復魔法みたいなものはしてもらったが、精神的にくるものがある。
ちなみにミカにも部屋があるようで、部屋には俺一人だ。
「ふぅ……」
決して賢者タイムではない。ただベッドに転がっているだけだ。
俺は仰向けになって自分の手を上に掲げるようにする。
魔力で灯る電燈の光が、俺の手を照らす。
その光景を見た俺の心は少し淀んだ。
今日はそんな事ばかりだ。忘れようとしていた事がやたらとぽっと出てくる。
「あぁクソ……」
らしくない、そう考えて頭を何度も横に振って払拭する。
ふぅ……今日はもう疲れたな。
風呂も入ったし寝よう。
……シェパード、元気かな。
彼女の事を思いながら、俺は久しぶりに深い眠りにつく。
でも、俺は知らなかった。
まさか、彼女があんな思いをしているなんて。
俺は、軽薄だったんだ。