「わぁ〜!やっぱりいつ来ても可愛いですねっ!」
ガラス扉を開けると、ミカは年相応のはしゃぎっぷりで駆けて行く……俺の前でもこのくらい可愛らしかったらなぁ。
あ、いや今が可愛くないとか言ってる訳じゃないよ?俺の適応力なめんなよ?
やや狭い店の中には人がおらず、貸切状態だった。
俺は辺りを見まわしながらゆっくりとミカの後を追う。
「あんまりはしゃぐと転ぶぞ〜いやむしろ転んでくれスカートの中が見えそうだからフヒヒおぉぉぉおっと痛い、スネは反則だよミカちゃん」
うずくまる俺を無視して、蹴った張本人であるミカは鏡の前で服と自分を重ね合わせている。
しっかしここにある服は変わってるな。
さっきから服屋をチラ見したが、あっちのは何て言うか、俺の居た世界でも十分ありそうなカジュアルな服装だった。
ここのは何て言うか、人形のドレスを今風にアレンジしたような感じだ。ゴスロリとはまた違うようだ。
きっと、どれもこれも上質な素材を使っているのだろう。ちょっと触ってみたが、なんだか肌触りが良すぎて怖い。
絶対高いぞこれ。俺お金ないからね?
ちょっとだけ、子供におもちゃを買い与える親の気持ちが分かった気がする。
うわーちょっと値札見たけどC140000って書いてある。何Cって?ていうか140000とか絶対高いよね?
「あのぅ、お金は……」
はしゃぐミカに恐る恐る尋ねる。
「気にしないで下さい、昨日の賞金でおつりが来ますから……あっ!あれ可愛い!」
すっかり乙女だなぁ……俺なにしてればいいんだろ。