「おやおや、何かお探しですかな?」
ふと、店の奥から年季の入った御老体がニコニコと微笑みながらやって来た。
一瞬不意を突かれたので右手がUSPを触ってしまうがすぐに離す……この人が店の主人のようだ。
「あぁ、ちょっと妹の服をね。貴方が店の主人?」
流石に妹って設定は苦しいかな……まぁ今のところ翼は透明化してるし義理の妹って言えば大丈夫、多分。
……なんか義理の妹ってエロく感じるよなデュフフ。
店主はミカを一目見ると俺とミカの間にただならぬ何かがあると悟ったようだった。
「……可愛らしい妹さんですねぇ、さぞかし成長したら美しくなるんでしょう」
あえて俺達の間柄を詮索しないようだ。
良い人なのか、それとも何か策を練っているのか、まだ分からんが信用はしないでおく。
話しが止まってしまったため、とりあえず俺は話題を服の事へと変える事にした。
「ここの服はどれも面白い。ドレスと今時の服がうまく釣り合ってるようにみえるよ」
そんな一言に店主は「ほっほっほ」、とおじいさんらしく喜んでみせる。
「なぁに、良いとこ取りみたいなものですよ。それにこんな寂れた店じゃ良い所すら引き立たせてやれないですわ」
そうは言うものの、このおじいさんは服を誇っているようにも見えた。
老いた瞳の奥は未だに輝きを失っていないのが見て取れる。
「服は全部貴方の手作りで?」
俺の問いにYesで答える。
「えぇ、昔から手先だけは器用なものでねぇ。ばあさんが生きてた時にはもっと良いのを作れたんですが、今じゃあそれも叶わない。歳には勝てませんなぁハッハッハ」
笑うおじいさんの目はいつの間にか輝きを失いつつあった。
ちょっとだけ気まずさを感じた俺は、未だに服を漁るミカに助けを求める事にする。
「おーい、決まったか?」
その問いに首だけを横に振って自分だけのお洋服を探し続ける……あぁ、心が癒される。
そんなミカを見て老人が頬笑み、
「どれ、妹様に合いそうなものを探しますかねぇ」
と言って彼女の横へと移動した。
おじいさんがミカと服を選んでいるのを見て、ちょっとだけ胸が痛くなる。
――家族って、あんな感じなのかな。
俺は入口近くの椅子に腰かけると、ゆったりとリラックスしておじいさんに服を選んでもらい喜ぶミカを眺める事にした。