店を出た俺達は、それから街中を散歩する事にした。
町並みは美しく、歩いているだけでも飽きる事は無い。
俺は様々な建築物を眺めながら、この国の成り立ちや歴史なんかを想像してみる。
少し歩いて、ミカがカフェで休憩しようと言ってきた。
もちろん断る理由も無いし幼女と二人きりでカフェとか夢みたいな事なので行く事にした。
――カフェ――
「お決まりになりましたらお呼び下さい」
店員がそう告げてカウンターへ消えて行く。
ミカは早速置いてあるメニューを開いて何を飲むか、そして食べるか悩んでいる。
俺はその間、窓から見える街を眺める。
もうすっかり夕方で、綺麗な夕日が昼間とはまた違った町並みを演出してみせる。
この国は結構な高低差がり、今まで平地にあると思っていたこのカフェから、まだ俺が行っていない城下町が見渡せる。
城は一番高い場所にあるようで、更に周り三方は山が囲んでいて攻め入られにくくなっている。
全体的に城と城下町は上から下に細長い形であるようだ。
これだけ標高と距離が長ければ、いささか物資の運搬や移動などが大変だろうがそれもちらほら見受けられるロープウェイで難なく行っているらしい。
俺の居たハイテク(笑)世界と同じくらいの技術があるのだろうか、それとも魔法の恩恵なのだろうか?
「郁葉、私は決まりましたよ」
ふと、考え耽る俺の頭にミカの声が響く。
そういえば何にも決めてなかったな、どうするか……
「あぁ、そうだな……コーラ貰おうかな」
「貴方カフェってどういうお店か知ってますか?」
冗談だよ、そう言って俺はカフェラテの文字を指差す。
「もう……あ、すみませーん!」
ミカが笑顔で手を振り、店員を呼ぶ。
適当に注文すると、しばらくゆったりとしながら今日あった事を振り返る事にした。
正直、楽しかったよ。
だけどこの時、俺は気付けなかった。
そして腐抜けちまっていた俺は後悔することになる。