――数分前、カフェのトイレ――
先程の襲撃者を縛りつけてトイレの個室に閉じ込めた後、そいつの持っていた通勤鞄の中身に目を通す。
襲撃者はかなり訓練されており、いくら殴って問い詰めても何も言わなかった。
これはチンピラとかそういう次元の輩ではないのは明らかだろう。
「SKAG……なんだか厄介だな」
所々に散在するSKAG(スカッグ)というワード……
文脈や状況から判断するに、SKAGは襲撃者達の事で、どうやらミカの誘拐が目的らしい。
そして一番の問題は、こいつらがオーレシアの非正規戦闘部隊であるらしいと言う事。
つまり、SKAGとは米軍のNavy SEALsやデルタのように裏の仕事を専門とする特殊部隊らしい。
こいつはマズイ。
下手したらこの国に追われるかもしれん……クソ、馴染んできた途端にこれだ。
だが背に腹はかえられん、なんとしてでもミカを助け出す。
その過程で敵を何人殺そうが知ったこっちゃない、それは奴らが悪いんだ。
俺は今現在の装備を確認する。
まずは拳銃のUSP.45、それの予備マガジンクリップが一つで合計24発。
あとは先程使用した強度の高い折りたたみナイフのみだ。
相手の規模は分からないが、少なくとも2個分隊から1小隊は動いている可能性がある。
おまけに敵は特殊部隊員と来た。武器が足りないな……調達しないと。
襲撃者を放ってカフェを離れる。
監視されている可能性だって十分ある……まぁ奴らの目的はミカの誘拐だけみたいだから、成功した今それが確実とは言えないが。
資料から読み取るに、ミカはこの近くの倉庫に監禁されているようだが、詳しい場所までは分からない。
なので、一度屋根に登って周囲の状況を確認する。
日没までに発見しないとまずい……焦りながらも近くに教会を見つける。
これで武器の心配は無い。
「……ん?」
と、その時何かを見つけた。
遠くからでも何故かはっきりと目に入るなにか小さい光り物……あれはもしや。