小説『ロリコン勇者のファンタジー』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

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そして、時は少し前。
ドアが吹っ飛びフラッシュバンが投げ込まれる直前へ。

観察した結果、この倉庫の侵入口は正面玄関と裏口のみ。
屋上からのラペリング(垂直降下)で二階の窓を破って侵入する事も考えたが、それをやった場合敵のど真ん中へ舞い降りる可能性が高いので却下。

ミカは裏口に近い場所に椅子に縛り付けられている。
よって突入は裏口からだ、それしかない。


「クソッタレ共が……」

そう呟き背負っているアサルトライフルを取り出す。
教会で調達したこのライフルは、SA58 OSWというショートライフルだ。
原型はFN FALという旧型のアサルトライフルだ。
防御用の魔法を使っていた時に備え、ハイパワーの7.62mm弾を使用し、銃身も11インチと短い近接戦闘に優れたライフルを選んだのだ。

コッキングレバーを半分開き、銃弾が装填されている事を確認すると俺はドアブリーチャーと呼ばれる爆薬と閃光音響手榴弾を取り出す。

40センチ四方の正方形の板のようなそれは、指向性の爆薬でドアを丸ごと吹っ飛ばすのに最適である。
そして閃光音響手榴弾、通称フラッシュバンはまばゆい光と轟音で敵の視覚と聴覚を奪うのだ。


俺はドアブリーチャーを裏口のドアのど真ん中に設置して時限信管を作動させる。
5秒後にはドアは完全に吹き飛ぶだろう。


すぐにドアの横に身体を寄せ、フラッシュバンのピンを抜いてセーフティレバーを握った。


「Kaboom(ドッカーン)」


ドッガァアアアアン!!!!!!

言った直後、ドアが爆音と共に内側へ吹き飛んだ。
すかさずフラッシュバンを投げ込む。

そして2秒後、これまたドでかい破裂音と悲鳴がしたのを確認して銃のセーフティを解除して一気に突入を試みる。


湧き出るアドレナリン。
時間の流れが遅くなる。



まず目に飛び込んできたのは椅子に縛りつけられたミカの前で跪いている男。
資料の写真にあったがこいつは部隊長だ、まだ撃たない。

部隊長を除き、残り9人。
右側の兵士から順番に、線を描くように射撃を開始。

ダァンと短い発砲音とともに右端の兵士の頭を撃ち抜く。
続けて隠れようとする二人を正確に頭を狙って射殺する。

残り6人。

次の兵士はこちらにクロスボウを向けていた。
まずはクロスボウを撃って破壊、貫通した弾が胸に当たりよろけ始める兵士の頭を撃つ。

残りの五人はこちらに突撃を仕掛けようとしている。距離は4から6メートルとまばら。

一番近い奴の頭を射ぬき、二番目に近い奴の足に二発撃ち込む。


一人は足を撃たれ倒れる仲間を避けようと身体をそらし、もう一人は仲間を踏んで乗り越えようとし、もう一人は身体強化で3メートル近くまでジャンプしようとしている。

まずは乗り越えた兵士の頭を、次に身体をそらした兵士の首と心臓を、次に3メートルまでジャンプした兵士の胴体と頭を撃ち抜いた。


ここまでで4秒、残るは部隊長のみ。

俺はライフルを手放しスリング(ひも)に釣る下げた宙ぶらりんの状態にすると、USP.45を取り出して短剣を振り上げる部隊長の腕を撃ち抜いた。

ダァン!短い銃声。

「グァッ!?」

ひるんで剣を落とす部隊長にすかさず走り込み、左ストレートを一発。
ぐしゃりとえげつない音を発てて拳が部隊長の顔面にめり込む。
それだけで部隊長はその場にひれ伏した。


「ブ、ブッチャ……」

ダァン!
足を撃たれて倒れていた兵士の言葉は45口径の発砲音にかき消され、代わりに頭に風穴を開けていた。
これで9人を殺害、部隊長を生け捕り。


オールクリアだ、なんとか手遅れになる前にミカを救出したのだ。


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