小説『ロリコン勇者のファンタジー』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

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昼食を終えて自室で事件の事を四人で話す事にした。
本当ならウルフィアスの爺さんも居てほしいのだが、陸軍騎士団長という肩書きは相当忙しいらしい。
今後は彼抜きで何とかしなくてはならないかもしれない。


「状況を整理しよう」

黒板に張られた事件に関するメモや写真を前に、俺は皆へ注目を促す。
この写真はテオが諜報部から掻っ攫ってきたもので、メモは俺が色々と把握するために書いたものだ。

「俺が知る限り、事件の発端は昨日の夕方に発生したミカの誘拐に始まる」

昨日のハードな一日を思い出す。
そういやミカのやつ、ちゃっかり昨日買ったドレスを着てるな。

「誘拐の実行犯は第一特務暗殺騎士隊、通称SKAGによるものだ」

そう言って昨日生け捕りにした隊長の写真を指差す。

「この部隊は陸騎士に属しながら王宮直属でもあり、団長のウルフィアスが任務を把握できないなどと極めて秘匿性が高い。今回の件をウルフィアスが知らなかったっていうのも納得がいくな」

俺達の世界で言えば、アメリカ陸軍のデルタフォース(第一特殊部隊デルタ作戦分遣隊)のようなものだ……いや、将軍ポジションのウルフィアスが把握しきれていない事を考えると、もっと質が悪い。


「と言う事は、企てたのは王宮の者たちか?」

クリームの質問。
確かにそう考えるのが自然だ。


「明確には決まった訳じゃないが、恐らくそうだろう。もしくはそれと同等の権力を持つクソ野郎が王宮の人間を仲介役にさせて任務を与えたかもしれん。そこのところは、あの隊長は知らないそうだ……Needs to knowって奴だな」

つまりは知らなくていい事は知らされない、と言う事だ。
まぁぶっちゃけ下請けみたいなものなのだろう。


「エスピオンの奴ら曰く、SKAGの作戦報告書や計画立案書は王宮が管理していて一筋縄にはいかないらしいぜ。これじゃ迷宮入りもありえるな、まったく……」

苦笑いしつつテオが報告する。
まぁ、王宮の奴らも身内の人間が天使を誘拐したとあっては流石にマズイだろうからな。

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