――数時間後、食堂――
結局、具体的な策を編み出せないままミーティングは終わってしまった。
しばらくは様子見だろう……きっとすぐには手を出せないはずだ。
念のため寝室には侵入された時に役立つ罠もあるし、腰にはUSP.45と折りたたみのナイフもしまってある。
食事にも薬を盛られないように気を付けている……ここまでしなくちゃならんとはな。
一応ウルフィアスは警護を回してくれるそうだが、誰がスパイか分からない以上断っておいた。
「今日は煮込みハンバーグですねっ!」
わくわくしながら列に並ぶ俺とミカ。
クリーム達は雑用を片付けてから来るらしいので今は二人きりなのだ。
「この世界の料理って、名前から何まで似通ってるよなー、味も上手いものばっかりだし」
煮込みハンバーグをうまそうに食べている兵士を見て呟く。
給食とは思えないくらいのレベルだからなぁここの料理。
「そりゃあそうです。世界は無数にあるんですから、似通るのは当たり前でしょうこの変態」
「頭ごなしに否定しないでよ、あと変態関係ねぇだろロリ天使」
いつも通りの会話を、いつも……と言っても一週間程度一緒に居るミカとする。
普段は肝が据わっているように見える彼女も、きっと不安に違いない。
また誘拐されるかもしれないし、もっと酷い事態になることだってあるのだ。
……そうならないように、絶対に守らなくては。
ミカの背中を見る視線にその思いを込める。