第七話 Operation Counter Sabre
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どのような強敵であろうとも我々は決して屈しない。
我々には受け継いだ意志と、誇り、そして絆があるのだから。
レオナルド オーレシアの就任演説より
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早速部屋に戻った俺はウルフィアスを含む皆を招集し、SKAG(ミカを誘拐した特殊部隊)の隊長から貰った資料を開示する事にした。
ちなみに俺とミカは暇だったので先に見てしまったのだが、笑いごとでは無くなった。
まぁ、随分前から笑い事では済まされないのであるが。
なにやら城中が忙しいらしく、集まるのに二時間も掛かったがそれでも一度、皆でこの資料について話し合いたい、そう思うくらいに事態は深刻で急を要していたのだ。
まずテオが、次にクリームヒルデが、そしてようやくウルフィアスが息を切らし遅れた事を詫びながら参上した。
「それで郁葉よ、急な話というのは?」
ウルフィアスがいつもとは違ったシリアスな面持ちで尋ねる。
俺はまとまった資料を、テーブルの上で滑らせるようにして初老の騎士に渡す。
それを見るや否や、彼の顔は青ざめて行く。
見終わると次にクリームが、そしてテオが、同じように血の気の引いた顔を見せてきた。
バンッと勢いよくウルフィアスの大きな拳が机を叩きつける。
「狂っとる……これは狂っとるぞ、このド畜生めッ!!!!!!」
ウルフィアスはこの事を知らなかったか、早めに知らせて置いて正解だったな。
「えぇ、狂ってますよ、呆れるくらいにね」
ミカが、静かに怒りを漏らすように言う。
ここまで露骨に怒りを見せるのは初めてだったと思う。
俺は混乱する皆を落ち着かせる為に話を切りだす。
「状況を整理しよう」
裏っかえしておいたホワイトボードを回して皆に見えるようにする。
そこに大文字で書かれていたのは『Operation Justice Sabre』……
オーレシア王暗殺計画の作戦名だった。