小説『ロリコン勇者のファンタジー』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

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あらかじめホワイトボードに張り付けられたコピー済みの資料を用いて今回の情報を説明する。

「今回SKAGの隊長が持ってきた資料で大きく事が進展した……が、最悪の事実も判明した訳だ。資料によれば、今回の騒動は大物議員のテランス コシェによる王暗殺計画の一端であるらしい」

言いながら俺はたまたま持っていたナイフで、指示棒代わりにホワイトボードの写真を指し示す。
そこに映るのは見覚えのある顔……誘拐当日にテラスからこちらを睨んでいた小物臭あふれるファッキンデブだった。

「ハッ、共和党のトップが黒幕とは世も末だな」

テオの悪態に共感してナイフの先端が写真の表面を削るがそんなのお構いなしに話を続ける。

「本来共和党は王族支持層の集まりだが、そいつだけはどうも裏では王を嫌っていたらしいな……クソ、共和党だからと言って安心してられんな」

補足説明と共にウルフィアスが言った。
この国には中道右派の共和党と左翼に偏り気味な労働党が主に議会を盛り上げている。
王様も共和党で、もちろん政党も共和党である。


「どうやらコシェは労働党と前々から計画していたようだ、不自然な金の流れを見る限り癒着しているのは明白だからな。加えてここ数年で大量の軍事兵器を株で儲けた資産で購入している……こりゃクーデター一歩手前だな。贈賄疑惑も表沙汰になりつつある」

「なんで今までばれなかったんだ?こんだけの金を動かしてりゃエスピオン(諜報部)の奴らが気付くだろ?」

テオの疑問ももっともだったが、それをミカとウルフィアスがが解決してくれた。

「コシェは王宮に仕える人間でもあります。買収したり脅したり、SKAGを動かせば握りつぶすくらい容易いでしょうね」

「その通り、SKAGは情報戦にも優れている……だから今回の件も判明したのだ」


確かに諜報部が割り出せない事を平然とやってのけるのは流石だろう。


「待て、その流れじゃSKAGが偽の情報を流してるって事もありえるのでは?」

「いや、封筒に王直々のサインと封蝋がある。これはまぎれも無く王が検閲したものだ」

クリームヒルデの疑問にウルフィアスが答えた。

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