あぁクソ、話が進まない。
「それで……なんで俺が異世界とやらを護んなきゃいけないんだ?エロゲしてたいんだけど」
まだプレイしてないエロゲが一杯あるのに……
大事な妹たちがディスプレイの向こうで待ってるんだ。
「知りません。では、説明しますね」
結構すぐキレるんだね、仕方ないね。
「まず、異世界について話しましょうか。郁葉、パラレルワールドって分かりますか?」
よく漫画で見る奴だっけ。
実はこの世界はもう一つの世界のスペアだったんだよ!!! ナ、ナンダッテー!!!的な。
「あれだ、世界ってのは沢山あってそれが並行してるんだろ?」
「まぁかんたんに言えばそうですね、ですがそれは一面にすぎません。パラレルワールドは単なる似た者同士の世界ではないのです」
「と、言うと?」
よく分からない俺にミカは真面目に説明する。
「例えば、今この世界では科学がそれなりに発達していますよね?ですが他の世界ではそれとは真逆の魔術が発展していたりもします……ドラゴンなんかもいたり」
「……つまりだ、君が言いたいのはこの世界が中心じゃねぇって事でいいのかな?かな?」
するとミカはちょっとばかり驚いたように、
「ええそうです。人間は常に自分達を中心に置いて考える節がありますから、それを理解してもらえれば結構です」
なるほど。
天動説を信じる人間に地動説を吹き込んでるようなもんか。
……いやほんとにそうか?
「それで、その異世界とやらで何か問題が?」
「はい。その前に、郁葉」
「あ、やっと名前で呼んでくれたね、お兄ちゃん嬉しい」
「気持ち悪いです」
Oh……
落ち込む俺をよそにミカは続ける。
「あなたはこの世界が平和だと思いますか?」
突如として突き付けられる質問……少しだけ、嫌な記憶がよみがえる。
「……そうだな、一部を除けば」
「ですよね?でもそれはなぜだと思います?強い国々がある程度まとまって正義の味方ごっこをしているからです」
それについては「はげど」って感じだ。
愛国心満載の腹グロな大国とかゲロマズ料理の国とか。