――五分前、城の廊下――
今すぐにでもマリアお嬢様を助けなければならない。
あの資料とクリームヒルデの予測から俺達の意見が一致し、とにかく彼女の部屋へと急ぐ事にした。
俺とクリーム、テオはマリアの部屋へ、ウルフィアスとミカは増援を呼びに行く事にしたのだ。
俺達は廊下を疾走する。
しかしこの城はかなり広く、更にマリアの居る部屋は3階、今俺達のいる部屋は7階である。
これではだいぶ時間が掛かるのは明白だ。
「クリーム、近道は無いのかッ!?」
「無いッ!空を飛べれば別だがなッ!!!」
クソ、いつぞやの天使化が出来れば飛べるんだろうが、今の俺じゃ無理だ……!
どうしようか、このまま走るのじゃ10分以上掛かるだろう。
もし今、奴らが行動を起こしていたらマリアはひとたまりも無い。
今まさにマリアが襲われるという確証は無いが、その逆もまた然りなのだ。
逆に今まで襲われていないのが不思議なほどだ。
……もしかしたら、あの隊長はそれを予期してこのタイミングで資料を渡したのだろうか?
だとしたら回りくどいにもほどがある。
「クソッタレ……いや待てよ待て待て待て、そうだ!」
ハッと、俺は閃いた。
飛べなければ、ただ落下すればいいのだ。
「お前らはそのまま部屋へむかえ!」
「あんたはどうすんだ、旦那!?」
テオの問いに、走りながら答える。
「ちょっと特殊部隊ごっこしてくるっ!」
俺は目的の物を取りに自室へと戻る。
たった100メートル走って7分短縮出来るなら、やるしかない。