「ウルフィアス達は何か言ってたか?」
「えぇ、今中止を王に掛けあっているそうです……あの王は何を考えてるのかしら……」
心配そうな目でミカは遠まわしに王の身を案じる。
普段気だるそうにしているミカが誰かの身を案じるなんてのは珍しいが、それは彼女の内面の良さなんだろう。
まぁとにかく、今回のパレードはなんとか中止するしかない。
「ちょっとウルフィアスの所に行ってくる。ミカは待機して何か連絡が入るのを待っててくれ」
そう言うと俺は駆け足で部屋から出ていく。
今はウルフィアスやSKAGの隊長ブッチャーと話し合うのが得策だ。
出来れば王と話せるのが一番いいが、きっと王は聞く耳を持たないだろう……ああいう性格だし。
「行ってらっしゃ〜い……ふぅ」
一人、ミカはため息をつく。
「まったくあの人は何を……え?」
ふと、ミカは言葉を止める。
人間では感じ得ない、何かの信号をキャッチしたのだ。
ミカはしばらくポカンとした後、顔をしかめて思い切り空を睨んだ。
この日、もう一人の天使の遣いがこの世界へとやって来たのだ。
俺が、一番苦しむであろう形となって。