――郁葉、ほら起きて下さい。
ふと、誰かに眠りを妨げられる。
俺は何してたんだっけ……あぁ、異世界見学ツアーに申し込んだんだった。
って事はこの声はミカの声か?
俺は重いまぶたを開けて声の主を確認する。
「ハロ〜、お目覚めですねロリコンさん!」
「寝起きロリコン頂きました……ここは?」
辺りを見回してみるが、どうやらここは草原のようだ。
空は曇っていて今にも雨が降りそう……洗濯物取り込まなくちゃ。
するとミカは立ち上がり、得意げな顔で説明し出す。
「ここは異世界を再現した仮想空間です。貴方が言うところのヴァーチャルシュミレーションですね」
「いやわざわざ英語にしなくても分かりますからね?そこまで厨二じゃないからね?」
きっとこいつ、俺を馬鹿にしてるよな……そのうちおしりペンペンしてやる、ジュルリ。
とりあえず、立ちあがってみる……どうやらここは高台のようで、ここから広い草原を見渡せるようだ。
すげぇな、北海道の草原と同じくらい広いぜ、多分。
「しかしめぼしい物は何も見えないな……お前、実はここ北海道でしたとかいうオチじゃないよな?」
「あなた天使と北海道、馬鹿にしてます?まぁ仕方ないでしょう、必ずしも異世界が科学的に発展しているとは限りませんから」
ううむ、ってことは夏もクーラーガンガンに効いた部屋でアイス食べながらオンラインFPSしてボイスチャット越しに暴言吐くなんて事は出来ないかもしれないのか……いや俺は暴言なんて吐かないよ?キャンパー死ねとか言った事も無いからね、Understand?
「まず異世界でFPSしようとしないで下さい。あと私はBF派です」
「いや知らないからね、俺もだからね、つーか天使がFPSやってていいのか?」
だから異世界の管理がおろそかなんじゃね?