小説『ロリコン勇者のファンタジー』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

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俺は一人思い出話にしゃれ込む。

ミカも空気を読んで口を開けない。


「俺さ、日本人なのにシェパードから教えてもらうまでは富士山知らなかったんだよ。そんでこんな綺麗なもん見せられたからさぁ……思わず感動してたら、振り返った時に見たシェパードまだすっごい綺麗でさ」

笑いながらも、俺の心には昔のような虚無感が漂っていた気がする。

「それぐらいからかな、変にあいつの事気になりだしたの。馬鹿だよな、ほんとは好きなのにいっつも興味無い振りして。
どっちがツンデレだよ!!!ってさ」


一人、むなしく笑う。

夏の澄んだ空に声が響いた。


「馬鹿だよなぁ、ほんと馬鹿」

「えぇ、馬鹿です、大馬鹿です、このロリコン、犯罪者」


ふとミカエルが罵倒し出した。

俺はなんとか笑い、ミカの頭をなでる。

ため息がこぼれる。


そっと、ミカの頭の小さな羽をなでた。


「行こう、ミカ。もう思い残すことは無い」

「うそつきは地獄に落ちますよ。……じゃあ、行きましょうか」



ばさりと、ミカが大きく翼を開き、俺を包む。

しばらくすると、そこにはまっ白い羽がただただ散らばっているだけで、人間は誰もいなくなっていた。












この日、俺はこの世界から居なくなったのだ。

そして、激動の世界が俺と天使を待ち受ける。







―― The end of this chapter, get ready for the next tale ――


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