小説『ロリコン勇者のファンタジー』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

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白い男、つまり俺は少女を救出するとまわりに誰もいない事を確認して、ナイフを使い猿ぐつわ以外の拘束を解いた。
この娘が混乱していた場合、パニくって叫んでしまう事があるからだ。

「いいかい、今から猿ぐつわを外す。絶対に叫ぶなよ?」

その問いに少女は頷いた。
どうやら言葉は理解できているようだ、これなら叫ぶ心配もないだろう。

俺は彼女の口を解放してあげた。
少女がめい一杯息を吸い込む。


「あ、あ、あの……」

やや混乱気味の少女がなにか言おうとしているが、俺はそっと彼女の口に指を添えて黙らせた。

「落ち着いて、俺は敵じゃない。今から他の人たちを助けるからそれまでどこかに隠れてるんだ、いいね?」

少女はまた頷くと、一礼して立ち上がり、まだ燃えていない民家の中へと入っていく……一人助かったがまだまだ人質はいる。
全員助けなければ……そのためには素早く盗賊を殲滅する。


俺はガリルを背中に背負い、両手で二つの死体を路地裏へと引きずる。

引きずった跡に血がべっとり付いているが、この暗さなら何の問題も無い。


俺は両方の死体を静かに放り投げると、再びガリルを構えて路地へ赴く。

まだ見つかっていないし、見つかる気も無い。

他の捕虜は反対側だ。

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