とりあえず、屋根の上はクリアのようだ。
俺はそのまま屋根伝いに他の捕虜がいるはずの広場まで向かう。
50メートルほど進むと屋根が途切れて広場が見えた……俺は身を屈めてこっそりと様子を覗き見る。
敵と捕虜の位置関係をしっかりと把握しておかないと、救出作戦なんて出来たもんじゃない。
ざっと見た限りでは、70メートル四方、そして中心に噴水がある広場のあちらこちらに上機嫌な盗賊共……数は25人。
全員接近戦タイプだが、一人で排除するには少々手間がかかるし人質の身も危うい。
だが奴らのほとんどは酒に酔っていてまともな判断は出来ないはずだ。
ただリーダー格の男はやや冷静みたいだな……排除するならこいつからだ。
俺はサプレッサー装着型のガリルを今一度点検する。
この銃なら不具合が起きる事なんてめったにないだろうが、確認しておく事にデメリットは無い。
マガジンの残弾は27発、他の不具合は無し……やるか。
そう考え、ACOGスコープ越しにリーダーの男の頭を捉えた、その時。
「痛いよぉ!!!やだよぉ!!!」
「おらぁ!!!こっちこいや!おい、もうこいつ殺しちまっていいか?」
広場の中心。
盗賊の一人が幼女を殴って無理やりどこかへ連れて行こうとしていたのだ。
その瞬間、ブッチンと音を立てて俺の理性を繋ぎとめていたセーフティーが吹っ飛んだ。