少女とその母がキッチンで料理している間、俺とミカは二人だけでこれからの事をひそひそと話し合っていた。
どうやら俺がこの村を救ったのは想定外だったようだ、まぁ想定外だといってもどうってことは無いんだが。
「まぁこれも平和のためですから目をつむりましょう……ですけどね、後先考えずにぶっ殺しまわればいつかツケがですね」
「そういう言い方は無いだろ、誰だってあんな光景見たらなぁ……ていうかこの村の切り替え早すぎだと思うんだが、まぁそこはなんも言わねぇ」
そんな話をしていると、少女が母と一緒に暖かいスープとパンを持ってきてくれた。
どうやらこの土地は欧州みたいにパンを主食とするらしい……スープはオニオンスープに黒コショウを振りかけてある。
ということは、どっかの女王陛下の国みたいにコショウのせいで戦争が起きることは無いみたいだ。
「いただきます」
「いただきますわ」
俺達は木製の、そしてごく普通の形であるスプーンを手にスープをすくい上げ、口へ運ぶ。
「うん、おいしいよ。いいお嫁さんになれるね」
なかなかの味に思わずベタな褒めをする。
すると少女は顔を赤らめて母の後ろへと隠れてしまった……俺、なんかまずい事を!?
「なにフラグ立てようとしてんですかこのロリコン……あ、おかわり貰えますか?」
何時の間に完食してやがるこの天使は。
パンも食べてみよう。
うん、良い固さのフランスパンだ……ちょっと味が付いてるな、シナモンでも入ってるのかな?
「いいパンですね」
「お、お父さんが焼いてくれたんです」
少女が言うと親父さんはにっこりと笑った……すげぇな、パン工場のおじさんになれるよ。
そういえばさっきからこの人喋らないな……もしかして、何か事情があるのか。
深くは探らないでおこう、プライバシーって奴だ。
今はこの食事を楽しむ、そうしよう。