警戒しながら走っていると、案の定屋根の上に弓をもった奴らが待ち伏せしているのが見えた。
そりゃそうだ、誰だって目標の周りは固める。
流石に奴らは俺達の存在に気が付いていて、小型の弓を構えているのが見えた……狙いは先頭を走るミカに違いない!!!
「クソッ!」
バシュッと弓兵の一人をガリルで撃ち抜く。
殺せはしなかったが、肩を撃ち抜いたんだ、無力化はした。
そしてもう一人、ACOGサイトが弓兵を捉えた……が、もう撃つ寸前だ、間に合わない。
幼女は絶対に守る、それが誰であっても。
「ミカッ!!!!!!」
「ちょっ!!?」
1メートル手前のミカに飛びつき、その華奢な身体を護る。
直後にどすっと、右肩に鈍い痛みが走った。
恐らくベストを破って矢が刺さったに違いない。
俺は起き上がり痛みをこらえてガリルを弓兵に向けて撃ちまくるが、怪我のせいか当たらない。
だが制圧射撃程度にはなったらしく、弓兵がうわっと言って逃げて行く。
「郁葉、怪我してます!」
珍しくミカが俺の心配をしてくれているが、そんな彼女の手を振りほどく。
「聞け!!!お前だけでもここから逃がす!俺が囮になるから身を隠すんだッ!!!」
それだけ言うと俺はガリルを捨ててCz75を取り出してミカに背を向けた。
「何言ってるんです!?いくら自信があっても死にますよ!!?」
「大丈夫だ、問題無い!ほら、早く行かねぇとぺろぺろすんぞ!!!」
不敵な笑みを作って彼女に向ける。
その笑みを見て決心したのか、
「……死んだら股間蹴り上げますから」
「ナイスツンデレ。……じゃな」
このやり取りを最後にミカが走り去る。
残された俺は右肩に刺さった矢を無言で引きぬくと、白い布に染み渡る血の量を確認した。
ベストがダメージを緩和してくれたようだ、そこまで痛くは無い。
「いたぞッ!!!」
正面から追手が迫る。
やれるだけやってみるか、クソッタレ。