と、まぁそんなロリコン+オタクが抱く切実なイケメンへの恨みは置いといて、連れて行かれるついでに城内を観察する。いずれ機会が出来たら存分に恨みをぶちまけてやる、主にこのイケメンに。
「ずいぶん立派な城だな、王城か何かか?」
古いがしっかりした柱、更に高い天井や幅の広い造りなどからして、相当な金が掛けられているはずだ。
すると説明するのか、イケメンが爽やでうざったいスマイルを俺に向けてくる。俺は隊長と話してるのにね、このイケメンが掘られちまえ。
「そういやあんたよそ者なんだってな。ここは王国首都に位置するオーレシア王城さ」
「オーレシア……」
さしずめこの国の名前もオーレシアとかそれに準ずるものなんだろう、と俺はイケメンの方を一切向かずに想像する。
王国なんて長く続いた例が無い。最後はあっけなく民衆のフラストレーションが風船みたいに溜まって内側からぶっ壊れちまうんだからな。
歴史ってのは実にいい教科書だ。
「あんた、その口ぶりじゃ何も知らなさそうだな。ほんと何処から来たんだ?エスピオンの奴らでさえ身元を割り出せないし」
エスピオン……なんかフランス語っぽいな、諜報活動なんかをしてる奴らだろうか?
だとすると、こいつらは並以上の部隊なのか、コネクションを持っているという事なのだろう。
……ふむ、少しくらいこのナイス害と親密になっても悪くはなさそうだ。
「遠い国だ。あんたらが知らないような素晴らしい萌え文化がある」
間違ってはいないし、間違えたつもりもない。
萌えは素晴らしい。
「萌え?なんだそりゃ、強いのか?」
「下手したら戦争の原因になるくらいヤバイ」
昔見た「最も萌えるものは何?」スレは戦争だった。
結局「妹系ツンデレだけどややデレ強くて実は義理の妹で銀髪ロングなロリ」に漕ぎつける事が出来た……あの時はほんと、参ったよ。
「へぇ、そんなにすげえのか……面白そうだ!」
ぐっと拳を握りしめるバカなイケメン。
せいぜい萌え豚として調教されてくるがいいこのナイス害。