小説『ロリコン勇者のファンタジー』
作者:Ciel(Eエブリスタ、ふらん(Ciel)のページ)

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――数分後、大庭園――



 ツンな隊長とテオに連れられてやって来たのは素晴らしいくらいに整った庭園だった。
だだっ広い敷地に、腕の良い庭師が整えたのであろう花壇がならぶその光景は、そういった趣が無くとも心が洗われるような気分になるに違いない。





……大量の騎士諸君がこの場に敷き詰められていなければ、だが。


そんな騎士たちの中央にいる、初老の人物の前まで隊長は進む。

そしてピタリと止まると、日本人よりも綺麗なお辞儀を見せた。


「御指示通り、例の者を連れて参りました、マスター」

「うむ……御苦労であったクリームヒルデ。そしてテオもな」


気がつくとテオまで律儀に礼をしてやがる……こいつとんだ猫かぶりだな。
つーか女騎士がマスターとか言うとつい最近やってたアニメを思い出すな……この雑種がッ!!!だっけ。


あいさつが終わると団長と呼ばれたおっさんはテオと隊長を下がらせ俺と向き合う……え、なにこの閉鎖空間ならぬゲイ鎖空間。

おっさんは俺をいやらしい目つきでジロジロと舐め回す……あれ、これジャンル的にも対象年齢的にもノーマルだよな?あ、俺ロリコンだわ。


「ふむ……貴様が例のよそ者か」

「……だったらなんですかおっさん?」


つい強がる反抗期なボク。

だけどもここでへっぴり腰になっちゃなめられる。


「口を慎め愚か者ッ!!!」

「落ち着けクリームヒルデ」

剣に手を掛け声を荒げる隊長……クリームヒルデを優しく制する。
あのツンデレが一瞬の内に黙ったぞ。どうやら相当な実力者らしい。


再び団長がこちらに向き直ると、彼は力強い笑みを見せる。


「立派な言葉遣いだな。名はなんと言う?」


今のは皮肉じゃない、それだけは俺にも分かる。
こいつ、俺を試してるのか。



「……河原 郁葉。あんたら流なら郁葉が名前だ」

素直に答える。
こういう人に言葉で挑んでも意味が無い。


「良い名だ。村を救ってくれて感謝する、郁葉」

一体何が目的なんだ?
クソ、こういう人は苦手だ。




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