今度は一転してウルフィアスは急にきりっとした表情を見せる。
その表情に思わず身体に力が入りそうになる……つまり殺気がにじみ出ていて人殺しの顔をしているのだ。
ピリピリと張り詰めた空気の中、俺はぎりぎり前髪で隠れている目で相手の瞳を見つめる。
直に見てしまうとその殺気に飲み込まれてしまうかもしれないからだ……ボカすように見つめる事で殺気をそらす。
「ほう、その覗き方……まるであの娘を見ているようだ」
奴はにやりと不敵に笑って見せる。
「その通りだ。貴公には今から我々と戦ってもらう……なぁに、模擬戦みたいなものだ」
クソ、なんか嫌な予感はしてたよッ!!!どうしてこういう奴らは好戦的なんだ!
心の中で悪態を吐き捨てながらも表情に出すだけでぐっと我慢する、マジ勘弁。
しかし「我々」って……ざっと30人はいるんですが。
「……全員と戦うのか?」
「もちろんだとも……楽勝だろう?」
何が楽勝だよふざけんなよ楽勝どころか絶望しかねぇよこのハゲ頭っつーかスキンヘッドが。
待てよ。
何か裏がある。
もしかして俺が天使の使いだって事を見越してこんな鬼畜行為に至っているんじゃないだろうか。
うわめんどくせー超めんどくせ。
マジでファックな5秒前だっての……ミカも居ないし。