不意に後ろの気配がもぞっと動く。
咄嗟に横へかわすと、今さっきまで俺がいた場所へ騎士のロングソードが降り下げられた。
「ぬぅん!!!」
騎士の悔しそうな声が響く。
不意打ちとは騎士らしくないが、いかにも実戦的である……それほど戦いに慣れているのだ。
俺は攻撃動作のせいで身動きが取れない騎士の頭をCz75の9mm弾で撃ち抜く……が。
「おぉッ!!?」
「効かぬッ!!!」
なんと9mm弾が兜に弾かれてしまったのだ。
なんて固さだこの石頭……クソッ。 見た感じだとただの薄い鉄板だが、フルメタルジャケットが弾かれてしまったのを見るとどうやら魔術的な何かで補強されていたようだ。
9mm程度の威力では貫けない。
かと言って今更ガリルを拾い上げるのも格好が付かないし、近接戦闘でライフルを使うのは剣などと違って結構危ない。
まさかの事態に一瞬俺の思考が鈍る。
その隙を騎士が狙ってくる。
「終わりだッ!!!」
目の前の騎士が突き刺そうと迫る。
だが甘い。
「ステップ1」
Cz75の銃剣で受け流すように捌くと、そのまま銃剣を甲冑と甲冑の隙間に突き刺す。
鈍い音が拳銃越しに伝わる。
どうやら銃剣は騎士を貫いたようだ、騎士は驚いたような声をあげる。
そのままトリガーを引くと9mmFMJ弾が放たれ、騎士の意識を奪った。
「チャンスは確実にモノにする事、OK?」
OK! ズドンッとはならず、騎士は倒れる。