突然掛けられた制止の声に思わず俺は考える。
なぜだ?なぜミカは俺を止めるんだ?
お前を殺そうとしていた奴だぞ?相応の報いを受けさせてやるべきだ。
なのに……
俺は彼女の行動が何一つとして理解できなかった。
いくら彼女が慈悲深い天使だからと言って、戦いがつまらなかったぐらいで人を殺すような奴に容赦するとは思えないからだ。
「はぁ、まったく……郁葉!!!」
怒ったようにミカが俺を呼ぶ。
俺が何をしたってんだ?むしろB級映画のヒーローよろしくヒロインを助けようとしていたのに。
……まぁ一応ミカがヒロインと仮定して、という事だ。
「貴方ちょっとやりすぎです!!!まぁいい感じに力を発現したのは良しとして!」
良しとするんですかそうですか。
……ん?
そういやいつの間にかミカを押さえ付けていた騎士たちが離れてる。
「さすがに若い輩には勝てぬな……いてて」
と、その時少々ボロボロなウルフィアスが剣を杖代わりに立ちあがった。
「まったく……ミカ殿!もう良いですかな!?年寄りには少々きつい仕事ですぞ!!!」
「……は?」
今度はウルフィアスがなんか言いだした。
なんだ、今までのミカへの態度と全然違うぞ。
まさか。
「あ、お疲れ様です!それじゃあ魔術師のみなさん結界を解除して下さい!」
ミカの一言で、周囲を覆っていた結界が解かれる。
え、なんで皆そんなのんきに帰ろうとしてんの?
ガチな戦闘状態俺だけ?羽とか恥ずかしいんだけど、ねぇ?