小説『神のミスでONE PIECEに転生させられた男』
作者:八咫()

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『転生』



「ん……ここは」

一条健が目を覚ますとそこは何もない白い空間だった。

彼には全く見覚えのない場所である為、頭が働くようになると当然戸惑うようになる

「どこだよここ……俺、たしか登校中だったはずだけど」

体を起こして周囲を見渡すがあるのは白のみ、他は何も見当たらなかった。

「くそっ、なんなんだよ……」

健が下唇を苛立ちながら噛んでいると、

「申し訳ない!」

突然どこからか現れた老人が健に対して謝罪をしてきた。それも土下座で。

「…………」

突然のことで何も返すことができない健は呆然と立ち尽くしていた。

「儂のミスでお主を殺してしまった! 本当にすまぬ!」

「えっ……」

健は老人が何を言っているのか理解できなかった。

「どうか償いをさせてほしい!」

「ちょ、待ってください。俺、死んだんですか?」

「そうじゃ、お主はこの先長生きできるはずじゃった」

「けど、どうして」

「お主自身が運命を変えてしまったんじゃ」

老人は顔を上げて健を見た。

「えっ?」

「お主は登校中に死んだ。しかし、その時死ぬのはお主が助けた女子生徒だった。
 本来あの時は誰も助けに入れはしなかった。
 しかし儂が少しばかり目を離してしまったがゆえに関係もないお主が死んでしまった。
 こんなミスをするのは初めてじゃ、しかし、言い訳はせん。どんな罵倒も甘んじて受けよう。
 そしてお主に償いをさせてほしい」

いきなりとんでもないことを聞かされて健は混乱していた。しかし、頭ではその時の情景が思い出されていた。

「あの、一つ聞いていいでしょうか?」

「なんじゃ?」

「俺が助けた女子生徒は無事なんでしょうか? この先生きていけますか?」

「お主の寿命を引き継いで生きることになるの……あと八十年ぐらい」

「そうですか……ならいいです」

「は?」

老人は素っ頓狂な声を出して健を見ている。

「さすがに死んだのはきついですけど、目の前で女性が死ぬのは見たくなかったので」

悲しそうであるが、健は気丈に笑った。

「お主は優しいのぉ……」

「よく言われますよ」

「はは、そうか……さて、償いにことじゃが」

「天国にでも連れて行ってくれるんですか? 神様」

「なんじゃ分かっておったのか」

「こんなことができるのはさすがにそういないでしょうから自然と絞られますよ」

「そうか……まぁ償いは天国ではない、こんなことをお主に言うのはなんだが」

「なんです?」

「転生してみないか?」

「はい?」

「転生じゃよ、よくあるじゃろマンガとかゲームとかの世界に行くあれじゃよ」

「はぁ……」

思考がやや停止しかけた健だが、

「えっと、どこに転生するんですか?」

「そうじゃな、儂的にはどこでもいいんじゃが……ONE PIECEの世界はどうじゃ?」

「死亡フラグが立ちそうなんですが……」

「大丈夫じゃ、お主をそう簡単に死なせはせんよ、色々とつけておくし、好きなように原作をかき乱しても構わん。お主の世界じゃ、好きに生きよ」

「えっと、他の世界は……」

「ない」

「さっきはどこでもいいと言ったじゃないですか……」

「まぁそう言わずに楽しんで来い」

そう神に言われたとたん健の体はゆっくりと消えていく。

「新たな人生に幸あれ」

神に微笑まれた健は一言、

「ありがとう」

と、一言だけ言った。

しかし、神にとって自身の過ちによって殺めてしまった健に礼を言われる筋合いなど無い。それにもかかわらず、彼は神に礼を言った。

「優しい奴じゃのう……」

こりゃいいもん送ってやらんとな、とつぶやきながら白い空間から姿を消した。

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