小説『リリカルなのはの世界へ飛び込んだ少年の物語』
作者:ryo()

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 問題が起きた。なぜこうなっているのかわからない。何者か知らない女に蹴り飛ばされた後に見たものは縮んでいる自分の身体だった。こんなことが突然起こるとどうもパニックになってしまうな。そうしてもう一つの原因が、
「ねえ、これどういう状況なのかしら?」
 俺の隣で寝ている露菜が原因だ。こんな状況じゃ殴られても文句は言えん。しかしそれは杞憂だったようだ。
「どうせまたあの神の仕業でしょ。はぁ、本当に懲りないわね」
「え、あいつって神だったの!?」
 マジでか。俺神に次会ったら殴るって宣言したのか?それってかなりやばいんじゃ・・・。
「何で神でもないのに人の命を動かせるのよ。普通は気付くでしょ?」
 まあ、そう言われればそうかもしれないが認めたくないのも事実だった。あんなふざけた奴が神などと認めたらダメな気がする。
「そんなことより、大切なのはどんな能力を渡されたかでしょ?」
 露菜は寝室に在ったテーブルの上の本を手に取り確認する。
「え〜と、共通の能力は状態異常無効と無限の魔力、武器生成(ウェポンファクトリー)だって。個別能力で結弦が身体能力強化と神速、わたしは回復のレアスキルみたいね」
 俺はこの手のことに関してはあまり詳しくはないが、それでも異常だとわかるほどに強力な能力だ。もともと身体能力が高かった俺に身体能力強化など正直必要ないはずだ。(後から気付いたがこの考えは甘かった)
「デバイスもあるみたいね。ストレージとインテリジェント、ユニゾン全部あるじゃない!結弦、あんたもこっちに来てマスター認証してから名前を決めなさい」
 名前を決め終えた後に見つけた最後の一文にまた怒りを覚えた俺だった。
『さあ、一通り終わったから大事なことを連絡だよ〜。あのね、聖祥大付属小学校に行けるようにしてるから頑張ってね〜。三年生だよ!友達100人出来るかな〜』
 神だろうがなんだろうが必ず殴ると決意した。名前は追々紹介するぜ。



「何でまた小学校に行かなければならないんだ?本気で勘弁してほしいんだが!おい聞いているのか、露菜!おい、何で俺を引っ張るんだよ!」
「早くしなきゃ遅刻するわよ!ねえ、走ってよ、結弦!」
 今は7時30分なのにどうして遅刻するのだろうか。まだ登校している生徒もまばらだというのになぜか遅刻するから早く、と連呼している露菜が居る。周りの生徒に奇異の目で見られている。転校初日から目立つようなことは避けたいのだが・・・。無理かもしれないな。いったい何が目的なんだ?

 場所は変わり職員室・・・
「はい、宮部露菜さんと九条結弦さんですね。慣れないことも多いと思うからその時は先生たちに聞いてね。じゃあ、教室に行きましょう!」
 小学生だからだろうが話し方が無駄に優しい。こんなことを毎日しなきゃならないのか?本当に勘弁してほしい。
「教室に着いたから合図をしたら入ってきてね」
 自己紹介をしなければならないようだ。何を言えばいいのか全然分からん。
「しっかりしてよね。心配しなくていいわよ、自己紹介なんて誰も気にしないわ」
「それは言ってもいい事なのか。適当に済ませるがな」
「さあ、入ってきて。自己紹介よろしくね」
 教室に入り挨拶をするのだがすごく露菜が楽しそうだ。
「宮部露菜です。趣味は読書です。よろしくお願いします!」
 え、趣味とか言わなきゃいけないの?考えてなかったんだが。
「九条結弦だ。よろしく頼む」
「あのね、九条君?もう少し何かないかな?」
 やはり何か言わなきゃならんのか。何を言えばいいのやら・・・、あ。
「特技は木を足で蹴り倒すことだ」
「「「いやいや、そんなことしたらダメでしょ!」」」
 これもだめなのか。どうしろというんだ!
「分かりました。これ以上はいいですから開いている席に座ってください」
 ついに諦められた。俺の席は窓際の最後尾だった。心置きなく眠ることが出来るな。

 ホームルーム(以下HR)が終わった後はずっと寝ていたから質問攻めには遭わなかった。それだけが唯一の救いだ。つまり転校初日から授業には参加しなかったということだ。

 特に変わったことも起きずにその日は終わりこんな日が続けばいいと思っていた帰り道での出来事だ。変わった模様の猫を拾った。道端に倒れていたのだ。病院の位置もわからない俺は一度家に帰り様子を見ようと考え、家に連れて帰った。連れて帰ったのが失敗なのか、それともフラグを立ててしまったのかは分からないがどちらにせよ面倒事に巻き込まれたという事だけは確かだ。その猫は人の言葉を話したのだ。
「え〜と、ここは一体どこですか?」

 その猫の名はリニスというらしい。喋る猫など俺が生きてきた中で見たこともないためおそらくこの世界に存在する不思議生命体(?)の一種だろう。本当にしんどいな、休む間もなく色々なことが起きる。絶対あの神の仕業だろう。
「ここは俺の家だ。それとも町の名前か?それなら海鳴市だ」
「ご丁寧に説明ありがとうございます。あの、助けていただいたのは嬉しいのですがわたしはそろそろ消えてしまうのです」
「ん?どういうことだ?俺はほとんど何も知らないから説明してくれると助かるのだが、そんな時間もないか?」
「いえ、そのぐらいの時間はあるでしょう。では、少しですが聞いてください。」
 ここである程度の知識を学んでおくのも悪くは無いだろう。俺猫好きだからできればずっと居てほしいしな。
「この世界に魔力や魔法があることはご存じですよね?それを媒体にし動物の死骸などに意識を定着させ、自分が使役することが出来るという魔法があります。そうして生まれてくるのが使い魔というものです。私も使い魔です。しかしそれは誰かの魔力の供給があって成り立つものなのです。わたしが消えるといった理由は、その供給が断たれたからなのです。わたしの主人、プレシアは役目が終わったことと魔力消費が激しいことから魔力の供給を断ちました。大体の経緯はこのようなものです。お分かりいただけましたか?」
「ふぅん、なるほどな。なかなか面倒なことになっているが、お前は生きたいのか?」
 それが最大の重要事項だ。生きたければ俺の魔力を供給しても構わないからな。
「フェイトのことも気になりますし、生きたいです。しかし、方法がありませんから諦めるしかありません」
「そのことなら心配はいらない。俺の魔力ならおそらく使えるからな。」
「いえ、魔力譲渡はおそらく無理でしょう。魔力は人によって違いますから、似た魔力と言うだけでも成功する確率はかなり低いです。」
「だから、心配はいらないと言っているだろう?俺の魔力は透明なんだ」

「できました。あなたはいったい何者ですか?」
「さあ?俺が聞きたいぐらいだよ。まあ、これで今日からお前は俺の使い魔だ。お前のことは手伝ってやるから何でも言え。」
 なんだか今日はすごく疲れる日だな。露菜は帰ってこないし、もう5時何だぜ?

 リニス(猫バージョン)を愛でること約10分・・・。ようやく露菜が帰ってきた。
「ただいま〜。ごめんなさい、想像以上に店が混んでたのよ・・・え?」
「「おかえりなさい」」
 リニスを見て固まる露菜。なんでそこまで驚くのかがわからない。
「何でリニスがここに居るのよ!」
「は?何でリニスのことをお前が知ってるの?」
 まさか、こいつは原作キャラなのか?それってかなりまずいんじゃないか?
「結弦!よくやったわ!まさかこんなところで会えるなんて思ってもみなかったわ」
 うん、喜んでるから良しとしよう、頼むからそうしてくれ!

-3-
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