小説『リリカルなのはの世界へ飛び込んだ少年の物語』
作者:ryo()

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 これからは敵との戦闘もあるだろうことが予想される。訓練は必要ないかもしれないがせめて使う道具の確認くらいはしないとな。
「確認しなきゃならないとは思ったんだがな、いくらなんでもこの武器形態には無理があるだろう。何がどうなったら太刀が銃に変形することになるんだ!」
 かなり気になることの1つだった。常識的に考えればその変形はあり得ないはずだ。魔法だからと言い切られればどうしようもないがとても気になる。俺は結構面倒な性格なのだ。色々と思うところはあったが、これがインテリジェントデバイスの基本形態2つのようだ。『シューター』や『プロテクション』といった基本的な魔法も入っているようだ。
「こいつの名前は、なんだっけ?ヤバい忘れた」
『マスター、あまりにも酷過ぎますわ!わたくしの名前を忘れるなんて、ありえませんわ!わたくしの名は、アイウタンテですわ』
 そういえばそんな名前だった。自分でつけた名前を忘れてしまうとは本当に存在を忘れていたんだな。これからは比較的使っていくから大丈夫だろう。
「お兄ちゃん、一緒に遊ぼうよ〜。楽しいよ、おままごと!」
 そんなことよりは、ユニゾンデバイスが問題だった。俺たちがユニゾンデバイスを起動した直後にその現象は起こった。なんと、人の形を取ったのだ。しかもその再現された人格が小さな子供だった。というよりは、金髪の幼女だった。
「コンテッツァ、頼むからもう少し待ってくれ。後で遊ぼうな」
 俺の方のデバイスはコンテッツァという。初期動作の時に知識が豊富だと言っていたため名前は知識という意味にしたのだが、大変な間違いのような気がしてきた。武器ではないらしいので他の武器を用意する必要があるそうだ。強度がある武器さえ使えば魔法強化で様々な属性攻撃が可能になるらしい。そして、ストレージデバイスには使用者とうまく会話をする機能が無いことを知らなかった俺は、タチトゥルノという名を付けた。無口という意味なのだが・・・、ちょっとかわいそうではある。
「兄様〜、早く遊ぼうよ〜」
「露菜、それとリニス!この2人の面倒を見ていてくれ」
 1人ならまだ対処できたが2人はかなり厳しい。露菜の方はスペランツァという。補助の魔法に特化したユニゾンデバイスらしい。こちらは少年だが身長は大して変わらない。
「お疲れ様です、結弦さん。と言ってもあなたは何もしていないかもしれませんが」
「まあ、そうだがな。ヴォカッツィオーネはどうしてここに来たんだ?」
  露菜のインテリジェントデバイスであるヴォカッツィオーネがなぜかここに居る。ここに居ることそのものに疑問は無いがどうやってここまで来たんだろう。
「少し疲れましたので飛んできてしまいました、テヘッ」
 ここには安息の地は無いかもしれない。なぜこんなにもうざいんだ?こいつは砲撃魔法を基本とするらしい。杖の癖に先端に刃物がついていて切断武器としても使えるらしい。ストレージデバイスは笛と槍というまたどうやって変形しているのかわからないような構造になっている。ストラージェという名で攻撃に特化しているらしいが、笛による支援もできるらしい。使い手によってその性能が生かせるかどうかが決まってくる武器になっている。これで大体全部だろう。しかし、この状況はどうすればいいんだろうか。
「結弦、助けてくれないかしら?結構この状態しんどいのよ」
「や、やめてください。耳を引っ張ってはいけません!」
「ちょっと出かけてくる、リニスは留守を頼む。露菜行くぞ」
 不思議そうな顔をして俺を見ている二人だが、気付いていないのか。
「どこに行くのよ、そんなに急いで」
「やっぱり気付いてないのか、魔力反応だ。ほら、急げ」
 家を飛び出したはいいが地形を覚えていない俺は魔力の反応があったところまで一直線に突き進む。家があるところは飛び越えてだ。迷っていたのでは話にならんからな。

 目的地に到着したそこは、神社だった。遅れて露菜も到着する。
「ねえ結弦、なんで魔力も使わずにそんな高く跳躍できるのよ!」
「え、できないのか?30メートルくらいのジャンプだぞ?誰でもできるだろう」
「できないわよ!私だって魔力使わなきゃ無理よ」
 そんなもんか、じゃあ俺はどれだけ異常なんだよ。それは置いておくとしても、
「どうでもいいがなんなんだ、あの犬の大きさは。いくらなんでもおかしいだろう」
10メートルを軽く超えるほど大きい、犬と言っていいのか怪しいほどの化物がそこには居た。そこに、例のコスプレをしたなのはとフェレット、知らない少年が2人その化物と向き合っている。
「頑張ってるな、なのは。邪魔するのもなんだし俺は見ることに徹するか」
「ダメなの!わたしたちだけじゃ勝てないの、だから手伝って」
 やはりそうなのか、バリアを張って一応防いで入るもののかなり押されている。
「仕方がないな、頑張れよ、そこの少年2人。女の子に頑張らせちゃ駄目だろう?」
「黙れ雑魚が!ん?お前は同じクラスの九条じゃないか!」
「あ?誰だお前、少なくとも俺は知らないぞ。」
 またクラスメイトか。何でこんなにクラスメイト多いんだよ。まあとりあえず、
「吹き飛んどけ、化物が。」
 とりあえず蹴り飛ばす。そこへ露菜の追撃が入る。
「とりあえず50でいいかしら?行け、シューター」
 大きな爆音が響く。そこで気付いたが露菜の姿が変わっている。白のポロシャツに茶色のブレザー、紺のスカートといったどこかの学校の制服を思わせる格好になっていた。どこかで見た覚えがあるのに思い出せない。どこで見たんだろうか。そんなことより、
「着替えてくるとかお前どれだけ気合入ってんだよ。そんなに楽しみだったのか?」
「は、何言ってんのよ?まさかとは思うけど結弦、バリアジャケット着てないの?」
「バリアジャケットってなんだよ?不思議なことを聞くな」
「「「「「え?」」」」」
 なぜか全員が唖然として俺を見ている。何かおかしなことを言ったか?
「とりあえず、あいつを潰すか。じゃなきゃちょっとばかし危険だろう。」
 化物は体勢を立て直し、まっすぐ露菜の方へと走っていく。
「わたしをご指名なのね?じゃあ、炭にしてあげる&#10084;サンダーキャノン」
『了解、サンダーキャノンです。感電にご注意を』
 笑顔で強烈な魔法を放つとはかなりのサディストだな、あいつ。しかも仕留め損ねてやがるし、敵が強すぎるんだろうな。
「本気で攻撃しろよ、露菜。そのまま突進されたんじゃ意味が無いだろ」
「だって、5メートルくらいしか離れてないから本気で撃ったらわたしまで感電しちゃうじゃない。そんなの嫌だもの。それに助けてくれるんでしょ?」
 こいつ絶対わざとだ。仕留めるつもりが一切なかったんだろうな。
「今回だけだぞ、助けるのは。それにしてもまたデバイスを使わないなんて、いつ使うんだろうな。もっと強いやつ出てくりゃいいのに」
 そして、化物を蹴り上げる。それと同時に飛びあがり踵落としで顔を潰す。そうするとジュエルシードと呼ばれた宝石と媒体になったであろう子犬が分離して何事もなかったかのように周りが元に戻っていく。
「なのは、ずっと見てなくて攻撃してもよかったんだぞ?」
「無理よ、常識的に考えなさい。砲撃武器を使う人が味方に誤射で当ててしまうことだってあるのよ?そんな度胸があるわけないじゃない」
「そうなの、入る隙が無かったの。ねえ、デバイスを使ってないって本当なの?」
 そうだ、デバイスを使うほどの相手じゃなかった。
「デバイスは一応持ってきたんだがな。必要は無かったな」
『マスター、気付いてはいるかもしれませんが背後から魔力反応ですわ』
 暴走体は殲滅したが、俺に敵意を持つ輩は他にも居たというわけだ。
「これ以上のイレギュラーは必要ない!よって、ここで死ね」
 俺のことを九条と呼んだ少年は俺に向かって大剣で切り付ける。が、あまりに大振りすぎる。それでは簡単に避けられる。
「俺はこの物語知らないから何をどうすればお前らの邪魔をすることになるかがわからないんだが?あともう一つだけ言うとするなら、それじゃあ一生かかっても俺は殺せないさ」
 あまりにも単調過ぎる攻撃だ。場馴れしていないのもあるのだろうが型に沿って剣を振るだけでは当たりはしない。臨機応変に対処できなければそいつは死ぬだけだ。
「黙れ!お前がここで死ねばすべてが解決するんだよ!」
「そうなのかもしれないがな、俺はまだ死ぬわけには行かないんだよ。それと一番気になってることをなんだがな。お前、誰だ?」
「は、俺の名前を知らないだと?同じクラスだろうが!まあ、いいさ。俺は親切だからもう一度名乗ってやろう。俺の名は皇神新(こうがみあらた)だ!」
 なんていうか、おかしな名前だな。できるだけ覚えておくか。
「そこのスナイパーは名乗らないのか?それとも俺を撃つ気か?」
 木の陰から俺を狙っているであろう気配がするのだが、潰しにかかるべきなのだろうか。
「というか、お前らどけよ。何で状況についてこれないだけで放心状態になるんだよ!」
 さっきから周りを見るだけで一切動かないなのはと露菜だが、ついに邪魔になったので声を掛ける。
「鎌崎龍神(鎌崎龍神)だ。気付かれたならここから撃っても意味は無いからな。狙撃はやめて真っ向から戦うことにした。2対1でも構わないか?」
 今まで構えていた狙撃銃が姿を変え、2つの拳銃の形状へと変化した。しつこいかも知れないがいくらなんでもその変形はおかしいだろう。
「デバイスってどういう作りになってんだろうな。えと、2対1だっけ?いいぜ、それでもお前らが俺に勝てないことには変わりがないからな」
「あまりなめていると痛い目を見るぞ。さあ、武器を出せ!さすがに武器を持っていない奴を殺すのは抵抗があるからな。持ってないことは無いんだろう?」
 武器を出せと言われてもどうすればいいのか分からないんだが。
『あまりわたくしたちを蔑ろにするのはやめていただけませんこと?わたくしをお使いください。必ずやあなたのお役にたてるでしょう』
「アイウタンテか。じゃあよろしく頼もうかな。で、具体的にはどうすればいいんだ?」
『まずはバリアジャケットを設定してください。それが無ければ話になりません』
「よくわからんからお前に任せる。派手じゃなければ何でも構わないから早急に頼む」
 派手じゃなければ早々目立つこともないだろう。正直なところ必要はないと思うんだが、さすがに攻撃に当たるとまずいかもしれないからな。
「お前、本当にデバイスを使ってなかったのか!?じゃあさっきの攻撃は素の身体能力という事か。お前本当に人間か?」
「失礼なことを言うな、さすがにまだ人だよ。少し力が強いがな」
『マスター、製作完了しました。早速着替えてみてください』
 できたという事なので装着してみた。端的に言うなら今着ているバリアジャケットは、とにかく黒い。黒のズボン、黒のシャツに黒のコートだ。もはや殺し屋のごとく闇にまぎれることも可能だろう。極めつけは刀身の長めな太刀を背負っているという。
「うん、これなら動きやすいし十分だな。じゃあ、始めるか?」
「ようやく戦える準備が整ったか?いいぞ、さっさと始めようじゃないか!」
「俺はいつでも構わない。どちらが勝っても文句はなしだ」
 ようやくだが、2回戦スタートだ!

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