第一話 始まり
俺は一人だった。昔、この世界に生を受けたときから、今に至るまでずっと。
曾爺さんだかのあたりが外人で今の父さん母さんはクオーターにすらみたない見た目は日本人。
だが俺はその曾爺さんあたりの血が濃く、日本人としてはありえない姿で生まれた。
その上、物心ついたときにはかなりの身体能力があったからな。
人間離れしてたって自分でも思ったよ。
父さんはそんな俺を嫌い、遠ざけた。
周りのやつらもほとんどが異端である俺を遠ざけようとした。
何かあったら俺のせい。人を助けても、俺が悪いように言われてきた。
俺がなにをしたんだ。
俺はただみんなと仲良く、普通の友達のように過ごしたかっただけだった。
俺の唯一の理解者は母だった。異端といわれた俺が言うのもあれだが、母さんは変な人で、俺のことをよくかばってくれた。
ある日どうして俺のことを遠ざけようとしないのか聞いたんだ。
そしたら、なにがあっても俺は自分の子供、見捨てることは無い。心配しなくて良いと言ってくれた。
柄にも無く、俺は泣いちまったんだよな。なんせ俺は初めて家族を家族だって思えたからな。
そっから出来る限り母さんと一緒に過ごした。手伝いもしたし言うことはちゃんと守った。
母さんもそんな俺と一緒にいてくれた。
母さんが病気で死ぬその日までは。
原因が何だったのか、本当ははわからない。病気だったとは思うからそう考えてはいるけど大人は教えてくれなかった。
そん時俺は小学校、高学年だか中学年だかぐらいだったか。けどあん時は、どうしても死ってのがどういうのかわからなかった。
けど、いつもいてくれた母さんが居なくなったことがわかるたびに、これが死ってことなのか、なんて思ってたわけだ。
俺は母さんが最後に言った言葉を忘れず、ずっとそれを守って生きていこうと思った。
『他人になにを言われても自分がやってきたことを後悔しないように生きなさい』
その言葉を胸に生きてきた。そしてこれからもそう生きると俺は決意していた……。
もっとも今まで苦労の連続。
葬式の数日後には転校する羽目になった。
しかもかなりの田舎。いや、嫌いじゃないけど、むしろ堅苦しくない分良いけど。
そんときに一応伯父が自分で家事ができるようにになるまでは面倒見るよう母さんに言われてたらしく、しばらく、といっても数ヶ月くらい一緒に生活してたが、義理は果たしたと実家に帰っちまったし、この容姿のせいでいろいろあった。
なんせ友達が殆どいねぇんだ、はっはっはっはぁ……。
それでも俺はがんばってる。世の中ままならないことばっかりだけどな。
ただ伯父の車で一回だけ車酔い体験したことあるんだよな〜。あれは辛かった。
ああ、俺の名前は闇討護ってんだ。よろしく。
そして俺の住んでる田舎の名は―――――
――――――八十稲羽市。