九話 魔法大戦、勃発
〜真紅狼side〜
ドゴォーーーン!!
目覚めると、いきなり轟音から朝が始まった。
外を見てみると、ヘラス帝国の艦隊が精霊砲をオスティアにぶっ放してた。
「何事?」
「う〜〜ん、うるさくてかなわん」
「まったくだ、取り敢えずキティ。着替えような」
「ああ」
俺とキティは着替えた後、部屋を出て、近くの人に状況を聞いた。
「すまないが状況を教えてくれないか?」
「状況もないさ! 帝国が突然攻めて来たんだよ!! アンタ達も早く逃げな!!」
ヒュ〜〜、ドシーーーン………
空からなんか降って来た。
って、鬼神兵かよ。
ん〜〜、この戦いは俺達には関係はない………、が!!
ちょっとうるさいので八当たりしてこよう。
そうして、準備をするとキティも俺がしようとすることが分かったらしい。
「真紅狼、やるんだろ?」
「よくお解りで………」
「私は真紅狼の……つ……妻だからな」
顔を赤くしながら言うキティ、ああもう可愛いなぁ。
「取り敢えず、艦隊とかその辺を叩き落とすぞ?」
「分かった」
俺は魔力を足に込めて空中に足場を造り、キティは浮いた後、『闇の魔法』で自身の身体強化を行っていた。
俺は、全身に『剄』を通し、鋼糸を展開した。
「じゃあ、行くぞ!!」
俺とキティはたった二人でヘラス帝国の艦隊に喰いかかった。
〜真紅狼side out〜
〜エヴァside〜
轟音の後、真紅狼は窓の外を見ていた。
多分、ちょっかいを出すな、これは………
真紅狼は機嫌が悪い時にその原因を作った奴を見つけると、本人は気が付いていないが嗤っているのだ。
その時はたいてい、そいつ等が酷い目に遭うんだがな………。
それ故か、私はこの後の行動に予測がついたため、準備をした。
「真紅狼、やるんだろ?」
「よくお解りで………」
そりゃ分かるものだ。
なんせ私は今………
「私は真紅狼の……つ……妻だからな」
………やはり、口に出して言うのは恥ずかしいな。
その後、真紅狼に教わった『暗黒魔法』の一つ、“ダークフレア”を取り込んで、身体強化を図った。
この“ダークフレア”の特徴は“相手の魔法障壁、または物理障壁を突破して直接、本体に攻撃を叩き込むことが出来る”のが主な特徴であとはHIT時に爆発が相手を襲うことだった。
これで、艦隊の障壁など関係なく、叩き潰せる。
そして、私達は帝国に喰いかかった。
〜エヴァside out〜
〜真紅狼side〜
俺はまず、地上で動いてる鬼神兵二体を相手にした。
キュル………ピンッ!
鋼糸で編んだ杭を鬼神兵のど真ん中に刺した。
ドスンッ!
「グオオオォ!?」
鬼神兵は突然の攻撃に悶えながら、刺さってる杭を抜こうとしたので俺は鋼糸で編んだ杭を手で解いた。
天剣技―――――――“繰弦曲 跳ね虫”
ズバババババァ・・・・・・・
手で解かれた鋼糸は鬼神兵の体内から切り裂かれて、バラバラとなった。
「!?」
帝国の艦隊の一つがこの現象を見て、驚愕した。
鬼神兵は俺を掴みかかって来たが、動きが鈍い為、いとも簡単に避けることが出来た。
その後、もう一匹の鬼神兵の周りに鋼糸を巻き付け、そのまま絞め潰した。
グシャ・・・・
先程まで地上を制圧していた鬼神兵が、たった一人の男の攻撃によりひっくり返された帝国は艦隊を真紅狼の方に向けた。
その時、横っ腹から強烈な爆音と衝撃が襲った。
バゴォン!!
グシャ…………バキベキ!!
ボォン!!
キティが横蹴りを放ったのが分かった。
「おーおー、暴れてんなぁ」
キティはすでに巡洋艦を一機、駆逐艦を二機潰していた。
だが、後ろにはまだ巡洋艦が五、六機あったのでめんどくさくなってきたので、召喚獣を出すことにした。
「エヴァ、戻って来い!!」
そう叫ぶと、空中で敵の攻撃を回避していたキティは俺の元まで戻って来た。
「紅赤主、どうかしたのか?」
「後ろにまだあんなにいるから、一気に潰すよ。あと、凄いモン魅せてやる」
「ほぅ、それは楽しみだ」
「俺より前に出るなよ?」
「うむ」
さて、じゃあ、やりますか!!
『戦場の戦神よ! 今ここに来れ!! 汝、我に仇なす者たちを劒にて両断せよ!! 来い! 戦神 オーディン!!』
その後、帝国艦隊の前に急に崖が出来た。
その時、突然馬の鳴き声が聞こえた。
ヒヒィィン!!
帝国艦隊は動きを止め、第三者の方に向いていた。
そこには鬼神兵と同等の大きさを持つ、騎士がいた。
その騎士が、自身の左籠手から炎を吹き出しながら、巨大な劒を取だし掲げた。
馬は「行くぞ!」と言わんばかりに足を上げ、そして、崖を下った。
ガラガラガラ・・・・・
ドンッ!
スレイプニールは主を乗せて、敵の元まで駆ける。
そして、オーディンは帝国艦隊をすり抜ける瞬間――――
一閃!!
“斬
鉄
剣”!!
オーディンはすでに消えており、崖も消えていた。
帝国艦隊はしばらくしてから、全て真っ二つに斬られて瓦解した。
「おぉ〜〜!! カッコいいな!!」
「だろぉ?」
「私も呼べるのか!?」
「呼べるんじゃないか? 今度やってみるか?」
「ああ!」
二人が空中で喋っていた間、下の王国では戦闘に勝ったことを喜び、この戦いの殊勲者である二人を探し始めた。
だが探しても見つからず、噂話が国中を収まることなく、世界に広まった。
こうして、帝国はオスティア攻略に失敗した。
〜真紅狼side out〜
あの後、俺達は姿を変えていたのでバレることなく、静かに過ごせた。
だって、遠くからで姿がぼやけていたしね。
―――あとがき―――
召喚獣の呪文は、オリジナルです。
それに見合った呪文は呼び出す召喚獣に応じてどんどんと考えておきます。