小説『天使ちゃんはS級魔導士のようです』
作者:コタツマン()

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どうもコタツマンです。書き溜めもなくなったので次の更新は遅くなると思います。

流石にこんな作品では無いと思いますが盗作はしないでくださいね?







第三話


どうもみなさんこんにちは。


私は今砂漠に来ている。砂漠。英語でいえばデザート。カタカナで書くととても美味しそうに見える。右を見ても左を見ても砂が一面に広がっていて、上空には都市部ではといていお目にかかれないであろう満天の夜空が広がっている。

マグノリアから馬車にのって約2日。すっかり辺りも暗くなって砂漠特有の突き刺すような寒さが私を襲ってくる。防寒性に優れた服を着てこなければ今頃凍え死んでいたかもしれない。私が今着ているの白いウサギのような生物の毛皮で作られた服である。イメージはモンハンのウルクスシリーズだ。知らない人はググってくれ。

そして私が何故こんなところにいるかといえば、勿論今日受けたばかりのS級クエスト、大型モンスター二頭の討伐のためである。

報酬は1000万ジュエルとかなり高め。ルーシィの家賃が月7万とかだったと思うのでそこから考えればかなりのお値段である。

もっと上の依頼になると一回で一生遊んでくらせるほどの報酬が手にはいることも有るのでS級がどれだけ危険かとってわかるというものである。

そして私の500m程前方に巨大な図体を持つ怪鳥が二体。

黄色と緑のしましま模様に両腕から伸びる大きな翼膜。そして巨大なクチバシに鋭い爪。プテラノドンの色を変えて二足歩行させたかのような形状をした生物があたりを警戒するかのように周囲を見渡している。

そしてその近くには目を閉じたまま寝そべり、大きないびきをかく同種の存在。

こいつらが今回のターゲット、ワイバーンだ。

本来こいつらは二頭同時にいる事は珍しい、たとえ合流したとしても縄張り争いを繰り広げ始め、どちらかが別の場所へ移動するというのが普通であるのだが、今私の目の前にいる奴等はそんなそぶりを全く見せない。

それどころか、一方が寝ている間にもう片方がその周囲を警戒する、いかにも私達共存してますよと言わんばかりの光景である。

これは確かにS級に相応しい依頼だ。普通の魔導士であればこのまま気付かれて二頭を同時に相手にする事になっていただろう。そうすれば苦戦は必死。

仲間がいれば話は変わってくるだろうが、こいつらは一体でもそこそこに厄介な相手である。少なくともS級相当の魔導師が複数いる事が条件なのだろうが・・・


勿論私は一人である。


別に私が困難な状況を好き好んで選ぶM性質を持っているわけでも、組んでくれる仲間のいないぼっち人間なわけでも、報酬が山分けされるのが気に食わないというお金に貪欲な精神を持ちあわせているわけでもない。

マスターの意向に背いてまで私が一人でこのクエストを受けたのにはもちろん理由があるのだ。

獣の感覚というのは鋭い。、普通の魔導師が無造作に近づけば速攻ばれて二体目を起こされる。

遮るものもないこの砂漠では隠れることも出来やしないだろう。

だが私は絶が使える。魔力と共に自分の気配を消すこの技を使っているからこそ今だ気づかれず、こうしてのんびりと観察する余裕があるのだ。

私の戦闘スタイルはナツやグレイのように派手派手しいものではない。というか念の修行ばかりしていたせいで魔法らしい魔法を習得出来ていないのだ。

私の戦い方は相手に気づかせず、隙を見せ次第高速で近づいて一撃で葬る、一撃必殺のスタイル。
まさに暗殺者。

何処にサイレントキリングをマスターした魔導士(見た目天使ちゃん)がいるのだろうか。他にいるなら見てみたい。

とにかく私はいつもと同じように、相手を確実に倒せる決定的なチャンスを伺っているのだ。

そして待つこと十数分。ついにそのときが来た。

先程まで私に右半身を向けていたワイバーンが身体の向きを変え、私に背中を向ける形になる。どっからどう見ても隙だらけだ。このチャンスを逃さぬように一気に戦闘準備を整える

「ガードスキル・ハンドソニック」

小声でキーワードを詠唱。同時に私の右袖口から飛び出てくる横に細く縦に長い光。

ーーハンドソニック。立花かなでの使うガードスキルの一つで、かなりの切れ味を持つ光子状の刃物を発現させることができる。幾つかバージョンがあるのだが、今回使うのは高速性に特化した薄い長剣型のフォルムだ。私が使うのは大抵これだったりする。

さらに私はそこにオーラーーこの世界でいう魔力を纏わせる。

周ーー念の応用技の一つで物にオーラを纏わせることで刃物の切れ味や対象物の能力を向上させる事が出来るのだが・・・

ただでさえ優秀な武器であるハンドソニックの能力を向上すればどうなるか・・・そりゃもうどえらい事になる。

今の私はダイヤをも軽々と真っ二つにするかもしれない。自信があるだけで、それ位という意味だ

そして今の魔力の流れを不思議に思ったのか、こちらにからだを向けようとするワイバーン。むぅ、中々鋭いではないか。

だがそのときには、すでに私は上半身を前に傾け、地面を強く踏みしめ、飛び出す準備が整っていた。私とターゲットの距離は約500m。(この程度)なら十分に射程範囲だ、

ワイバーンが完全にこちらを向き終わり、絶を解いた私をその視界に収める頃には私は足に魔力を纏わせ、勢いよく地面を蹴り飛ばしていた。

一瞬で視界の端を砂の地面が流れて行く、そして目の前で大きくなって来る黄色と緑のコントラストに手を横に思いっきり振り抜き、そのまま脇を通り過ぎる。数瞬経った後に聞こえてくるドンッ!!!という地面を蹴った強烈な音に振り返れば今の一撃で倒れ伏したワイバーンの姿がーーー

これが私の必殺技の一つ!!一文字スラッシュだぁ!!

と、某魔界の規格外供が使いそうな技の名前を脳内で叫びながらも油断せずに次のガードスキルを発動させる。あれだけ大きな音を出せばもう一体もすぐに起きだしてくるだろうし。

「ガードスキル・・・エンジェルズウイング」

ーーー瞬間、背中から二対の純白の翼が伸びる。本来なら飾りで付くけられた落下速度を軽減する位しか出来なかったガードスキルだが、ここに魔力を纏わせ周を行えば話は別だ。その場で数回羽ばたかせると、足が地面から離れるのを感じる。能力系『翼』(エーラ)ーー本来ならハッピーが使う魔法でモチロン本家はそっちだ。ハッピーを見てあれ?翼そっくりじゃね?とか思い至り、猛練習の末習得したのだ。

二体目のワイバーンが私が先程までいた場所を見てくるがそこにはすでに誰もいない。その頃には私は上空300mの地点で大きく羽を羽ばたかせホバリング飛行をしている。

今の時間が真夜中であることがさらに私に有利に働いた。昼なら地面に映る影で見つかっだろうから・・・ねっ!!

変わり果てた姿の仲間を見て狼狽した様子のワイバーンに向かってここぞとばかりに急降下。

ビュウウウウウウ!!!と鳴る強烈な風切り音に気付いたのか、こちらを向くがもう遅い。

右手のハンドソニックに過剰なまでに魔力を注ぎこむ!!そしてワイバーンの少し前に向かって全力で力を放出。私の持っている技の中では数少ない見た目が派手な技。

「飛天・・・無双斬」

腕を振るうと同時に巻き起こる巨大な爆発がワイバーンを巻き込み炸裂。大量の粉塵が周囲を埋め尽くし、それが晴れる頃には私の目の前に巨大なクレーターを残し、少し離れた所にボロ雑巾のような姿のワイバーンが・・・

ちなみにどんなに切れ味のいい剣で切ろうが、小ミサイル程の爆発を引き起こそうが何故かこいつ等はボロボロになるだけでR15な姿にならない。

確かに切った感触はあるのに何故?と思うが少年漫画だからと納得した。

それにしても・・・


「やり過ぎたかしら?」


もしかしなくともやり過ぎた。

念願であったマスターに気付かれない絶を習得した後で気分が高まっていたのだろう、何時もより力をいれすぎてしまったようだ。

目の前の巨大なクレーターが顕著にそれを示している。

何にしてもこれで依頼は完了。

討伐を証明するためにそいつらの爪をいただくいてーー何故かこのときは切れるーーこれで依頼完了かな。

少々あっけなかった気がするが、それだけ私も強くなっているということだろう。

それにしても寝込みをスパッとしようと夜中まで待機していたのに、片方が起きてたせいで何時もより時間がかかってしまった。

さっさと帰って風呂に入りたい・・・

あっと1000万ジュエルの使い道も考えないとな。

この後に貰えるはずの高額報酬に胸を弾ませながら私は依頼主の所へ早歩きで向かうのだった。







技のイメージはディスガイア2ポータブルです

ワイバーンはPSP フェアリーテイル ポータブルギルドから、若干のオリジナル要素を加えています。

-4-
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