小説『天使ちゃんはS級魔導士のようです』
作者:コタツマン()

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まえがき

二連投稿。俺頑張った。

ここから独自解釈あり。

あとルビ振ってみました。

ちゃんと出来てますかね?

それにしても戦闘描写難し過ぎワロエナイ…
下手くそですいません…orz


第八話



妖精の尻尾(フェアリーテイル)の前の広場

そこに50メートルほど離れて二人の少女が向かい合っていた。

鎧を纏い、緋色の髪を真っ直ぐに降ろした少女。

白く長い髪を腰ほどまで降ろし後ろで一房だけ縛った髪型の少女。

妖精の尻尾が誇るS級魔導士エルザとカナデであった。

そして、そこから少し離れたところには二人フェアリーテイルの皆が集まっている。

これから彼女達の決闘が始まるのだ。

決闘と言ってもただお互いの実力を測るもので、どちらにも悪感情はない。

近くには大きめのボードが立てられている。

上部の左右に別れてエルザとカナデの名前が書かれており、その下に幾つもの線が引かれていた。

どちらが勝つかの賭けだ。

ナツを始めとする好戦的な連中のおかげでこのようなことは珍しくはない。

それゆえに彼らにとっても決闘は楽しみの一つである。

オッズの割合は7:3。

エルザが7でカナデが3だ。

この差は見た目やエルザへの信頼などからきているのだろう。

「……準備はいいな?」

「問題ないわ。あなたこそ換装をしておかなくていいの?」

「フッ…お言葉に甘えるとしようか。換装&#8252;」

エルザの身体を光が包む。

そしてその光が晴れた頃にはエルザの姿は先程までとは打って変わっていた。

「天輪の鎧」

そして手に持った剣を油断なく構える。

対するカナデは特に何をするわけでも、何か武器を持っている訳でもない。

ただエルザの姿を見て何かを確かめるようにうなづいていた。

「お前は準備しなくていいのか?」

「私に準備出来るような物は無いわ」

訝しげに問うエルザに表情を崩さず答えるカナデ。

周囲の緊張が高まってきた時、一人の少女が小走りでギルドメンバーの方へ近づいてきた。

「お、ルーシィか。遅ェじゃねえの」

「グレイ……これどういうこと?」

「ガルナ島でエルザが話してたろ、帰ったら手合わせしてもらうって」

「あ!でも帰ってきてからすぐにやる?フツー」

彼女達はギルドにつき、ルーシィ等の『罰』が終わった後、すぐに決闘の準備を始めた。

そして、一時間ほど立ったあと二人で外に飛び出して今に至っている。

よほど楽しみだったのだろう。

両者の顔にはどちらにも笑みが浮かんでいた。

「そろそろ始まるな」

マスターマカロフが二人の間に向かい、二人の顔を見比べる。

互いに問題ない事を確認すると、深呼吸の後、開戦の言葉と共に杖を振り下ろした。

「始めぇい!!」


***


S級同士の本気の決闘が幕を開ける。

先に動いたのはカナデであった。

勢いよく地を蹴り愚直なまでに直進し、エルザに肉薄する。

それだけなら問題はなかったが、その速さが異常だった。

エルザが動いたと認識する頃には既に目の前に迫っていた。

「な!?」

想定外の速さに反応が遅れたエルザだったが、流石のS級魔導士。

すぐに落ち着きを取り戻し剣を振り落ろす。

しかしそれは虚しく空を切り、代わりに腹部に強烈な衝撃が走った。

「カッ!?」

吹き飛ばされ、軽く十数メートルを飛ぶが、空中で半回転して綺麗に着地する。

しかし、未だ残る痛みにすぐに膝を付いてしまった。

カナデがゆっくりと伸ばされた右腕を引き戻すのがみえた。

そしてそこでようやく先程の衝撃の正体を知った。

(あれが…ただのパンチ!?)

唖然とする。

油断は無かった。

いつ、どこから来ても反応出来るようにしていたつもりだった。

それでも初撃を入れられたのは、
それほどまでにカナデが速かったのだ。

カナデの行ったことは単純明快。

真っ直ぐ行って右ストレートでぶっ飛ばしただけだ。

言葉にすると簡単だが、剣士であるエルザが反応することも難しい速さで動き、人を軽々と吹き飛ばす威力の攻撃を放つ。

それがどれほど恐ろしいことなのかエルザはその身に受けて理解していた。

そして、彼女が素手であることに、今更ながら気がつく。

エルザは記憶を辿り二つ知っている彼女の魔法の片方を思い出す。

今日みたばかりの魔法。

彼女自身が武器だと言っていた。

(あれが拳ではなくハンドソニックでやられていたら……)

最悪の未来が頭をよぎる。

あの一撃が彼女の武器によるものであったら、それこそエルザはただでは済まなかっただろう。

だが、それだけのことをやってのけた本人は少し首を傾げて不思議そうな顔をしていた。

それが何を意味しているかは分からない。

しかし、エルザには『この程度?』と言われているように感じた。

(……面白い。ここまでとはな)

痛みを無視して立ち上がる。

あちらはこちらが立つまで待ってくれていた。

彼女も自分との戦いを楽しみにしてくれていたのだろう。

頬を叩いて気持ちを入れ替える。

ヒリヒリとする頬の痛みさえ心地よい。

何時しか腹の痛みは消えていた。

「今度は此方から行くぞ!!」

エルザは両腕に剣を構え、勢いよく飛び出した。

カナデの後では随分と遅く感じるが一般的観点から見れば十分に速い。

風を感じ、勢いに乗ったまま突きを放つ。

身を屈める事で躱される。

そのまま懐に潜り込まれ、今まさに必殺の一撃が炸裂されようとしてーー

「ハァァッ&#8252;」

「う…」

突き出した剣を強引に叩きつける。
当たらなかったが問題ない。
あちらがバックステップで躱したことで、数メートル距離をとることが出来た。
これで少なくともやられることは無い。
ーー並の魔導士ならば
カナデにとってこの程度の距離は離れたうちに入らない。

地面が割れる強烈な爆音と共に眼前に黒い靴の裏が広がった。

蹴りだ。

変わらず途轍もない速さで放たれたそれを文字通り身を削って躱し、返しに地面と並行の軌跡をたどるように切り上げる。

攻撃後の硬直を狙ったカウンター。

完璧なタイミングだった。

素手で止める手段は無いと鷹を括っていたエルザだったが、そこで不可思議な現象が起こる。

エルザの剣撃はカナデに当たるほんの少し前で止まっていた。

『何もないところ』で。

しかし、そこに何かがあることは今尚散らし続ける火花が教えてくれていた。

それを素早く推測する。

(見えない武器!?)

驚くのも束の間、キィンという耳障りな音が響き、エルザの腕にかかっていた重みが減る。

視線をずらせば、今まさに自らの武器の半分が地に落ちようとしていた。

ーーー切られたのだ。剣を。

「くっ」

呆然とする間もなく真横から再度鎌のように迫る蹴り。

新たに呼び出した武器で受け止めるがその威力に体制を崩される。

そこへ何も持たぬように見える腕が突き出された。

パンチにしては絶対に届くはずがない距離。

しかしエルザは殆ど勘だけでその直線上に剣をおいた。

衝撃。響く金属音。

ーーー厄介すぎる

体制を立て直しながらエルザは心の中で舌打ちする。

あの腕からどの位の長さか、剣またはそれに近い形状の物があるのは、分かる。

なのに、そのリーチ、幅が分からない。

当たるか当たらないかが見分けられず、余裕を持って躱さなければならない。

もし見誤ってしまえば、その時点で終わる。

(幸いなのはあの武器の形だけはわかっていると言う事か…)

剣を止まったのは彼女の右腕の直線上。

見えずともそこにあるのがハンドソニックであるというのは想像しやすかった。

エルザが未知の武器に意識を向けている間にカナデの追撃が迫る。

大上段から振り下ろされる不可視の攻撃に二振りの剣を交差させて衝撃に備える。

しかし思惑は外され、そのまま腕は下まで振り下ろされた。

(空振り?……違う、これは!?)

急いで射程範囲から抜け出そうとするエルザだったが、遅かった。
不可視の剣が来た道をなぞるように戻ってくる。
そしてその直線上にあったエルザの剣に今度こそ衝突する。

あの体制は上からの攻撃を防ぐための構え、下からの攻撃には対応していない。

剣と共に両腕を上に弾かれる。

スキだらけの姿勢。追撃を防ぐ手段は無かった。

「いち!!」

珍しい大きめの声と共にエルザの腹部に正拳突きが刺さる。

「ガハッ」

余りの破壊力に肺の空気が全て吐き出される。

先程までの吹き飛ばすような殴りではなく、身体の中にダメージが残る殴り方。

思わず前のめりに倒れかかる。

ーーそれがいけなかった。

「にぃっ!!」

下がった顎に強烈なアッパーカットが叩き込まれ、身体が宙に打ち上げられる。

声も出ない。

脳を揺らされ朦朧とする意識を必死にかき集める。

ここで終わるはずが無い。

何故ならまだ彼女の射程範囲の中なのだから。

予想に違わず、すくい上げるように放たれたカナデの空中サマーソルトがエルザを吹き飛ばした。


「三連激!!」



***



土煙が盛大に立ち昇る。

「やった!?」

無駄にやってないフラグ建てる。

なんか結構ぶっ飛んだけど……打撃だから大丈夫だよね?

念で殴ってないから人体に損傷は無いはずだけど、あれだけ綺麗に決まると心配になってくる。

え?何で念で殴らないかって?
…念を一般人相手に使うと死、そるを逃れても身体の何処かがぶっ飛びますよ?

いや、エルザなら何とかなりそうで怖いけども。

それはともかくとして、もしかして私ってかなりつよい?

盗賊とか魔物とかしか暫く相手にしてなかったからよくわかんなかったけど、なんかエルザ私の動きについてこれて無なかったし。

私の『隠』という物体のオーラ(この場合の魔力)を隠す技術と私の魔力の塊で出来ているハンドソニックの合わせ技も大成功してるし。

おおう…私最強になりかけてる!?

とりあえずエルザが戦闘不能かどうか確かめるためにゆっくりと近付いていく。

結構手応えあったからそうそう立てないとは思うけどね。

一応警戒しながら歩いて行き、そろそろエルザが見えてくるってところまでちかづく。

そして、あと一歩を踏み出そうとしてーーー



ーーー首を横に傾けた。


「…………ちょっとショック」


やっぱフラグを建てたからか?

フラグってすごい。

無駄な事を考えている間に再度突撃して来た剣を撃ち落とす。

煙も晴れた。

流石『妖精女王(ティターニア)』ということか随分とタフだ。

こちらも数度ジャンプして身体をほぐす。

ーーーさあ、第2ラウンドと行きましょうか。



***



「…………ちょっとショック」

私の投げた剣を避けてカナデがそんなことを言っている。

ショックなのは此方の方だ。

ここまでボコボコにされるとは思わなかった。

最後、咄嗟に手で庇わなければ今頃フラフラになって起き上がることも出来なかっただろう。

剣を方向転換させて後ろから向かわせるが、見ずもせずに打ち落とされる。

(後ろに目でもついているのかあいつは!)

立ち上がり、歩き出そうとするが足が生まれたばかりの子馬のようにおぼつかない。

真っ直ぐ進む分にはまだ何とかなるが、この状態であいつと近接戦闘をしよう物なら一瞬で吹き飛ばされる自信があった。

万全の状態でもやっとなのだ。

正面を見据える。

あちらはジャンプをして身体をほぐしているようだ。

油断でもしてくれれば楽なんだがな。

自嘲気味に息を吐く。

今更勝ち負けを気にするわけじゃない。

しかし、やられっぱなしというのも癪だ。せめて一撃。一撃くらいは見舞ってやりたい。


エルザは周囲に幾つもの武器を顕現、射出した。

弾丸のように放たれたそれは、一つ残らずカナデへ向かっていく。

嵐のように襲来する武具。しかし、それはカナデの元に到達する物から一つ一つ叩き落とされていく。

金属がぶつかり合う耳障りな音が終始響く。

それが止んだ頃にはカナデを残して全て地に落ちていた。

「当たらなければどうと言うことは……っ&#8252;」

そして、エルザのいた方を向き直ろうとした時には既にその人物は目の前に迫っていた。

「ハァァァァァ!!」

気合と共に今までで無いほどのスピードで駆け抜ける。

迎撃の後の硬直で動けない今がチャンス。

このタイミングを逃せば恐らく次は無い。

直感でエルザはそう判断した。

猛突。

カナデの懐へと入り込みーーーそしてそのまま通り過ぎる。

数瞬後、四方八方から迫り来る無数の剣がカナデを切り刻む。


「天輪(てんりん)・繚乱の剣(ブルーメンブラッド)!!!」


そしてーーーー勝敗は決した。






「当たっても意味は無かったわね」

「……参った。私の負けだ」




勝ったのはカナデ。


エルザの背中にハンドソニックを突きつけて不適に微笑んでいた。






あとがき


まず最初に、エルザファンの皆さん。ごめんなさい。

当初はエルザとは互角の強さにするつもりだったんですけどねぇ…

気付いたらエルザめっちゃ吹っ飛んでます。

マジごめんなさい。


あと、オリジナル要素として、帰って来てすぐに幽鬼の支配者が攻撃して来ていないことになってます。

これはアニメと同じですが一番の理由としてコメントでご指摘頂けたように、カナデの強さを書くためです。
ここまでで書く機会はなく、かと言って幽鬼の支配者編では遅すぎるってことで急遽入れました。
上手く伝わったでしょうか?

ついでにカナデの念の系統、発など大募集しております。

今のところの一番の候補は変化系ですかね。



〜カナデの強さについて〜

『堅』でちょー堅ぇ

オーバードライブor念の強化でちょー強え

登場してませんがディレイor念で足強化でちょー速ぇ

空も飛べるよ!

………正直近接無敵じゃね?と思いました。

カンストステータスで押し切るタイプです

ただ全部物理攻撃なのでジュビアみたいなタイプとは絶対的に相性悪いですけどね。


知らない人のための説明!

ディレイ エンジェルプレイヤーで使える。
残像を残すほどの高速移動を可能にし、非現実的な速度での攻撃や回避を繰り出す。(ニコニコ大百科より転載)

隠(イン)
「絶」の応用技。自分のオーラを見えにくくする技術。(ウィキペディアより転載)


堅(ケン)
「纏」「練」の応用技。「練」で増幅したオーラを維持する技術。念での戦いは主に「堅」を維持したまま闘うことになり、これが解けると(解くと)防御力が著しく落ちるため、よほど実力に差がない限り一瞬で敗北という状況にもなりうる。維持する時間を10分間伸ばすだけでも1か月かかると言われている。(ウィキペディアより転載)

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