小説『Uninstall (ダブルエイチ)』
作者:月読 灰音(灰音ノ記憶)

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ヒロユキは道路交通法が改変される寸前の16歳で中免をとっていた
ぎりぎりで僕は間に合わなかったので原付から順番にとっていかなくちゃいけなかった
夏休みを利用して僕は原付の免許を取った

その報告も兼ねて弘樹さんと里美さんに会いに行った
ますます女らしくなったねぇと里美さんはまた僕を抱きしめて頭を撫でまわった
高1の身体測定での僕の身長は160cm。チビだった。。。
ヒロユキは高2で178cm、この差は何なんだ…弘樹さんはその様子を見て目を細めている

仏壇に行き、裕子ちゃんにも挨拶した。

弘樹さんがトラックを出してくれて中古&廃パーツ屋に連れて行ってくれた
ベンチシートの真ん中に僕、でかいヒロユキが邪魔だった。
その日は、弘樹さんの工場の隅に転がっていたHONDAのモンキーのフレームに合うエンジンとパーツを買いに出かけたんだ
もちろん僕のマシン!
エンジンとタンク、ギアボックスなんかはすぐにあったけど
マフラーとシートがなかった

モノトーンのタータンチェック柄シートが欲しかったのに、手に入らなかったので
結局ノーマルシートにモノトーンの豹柄スウェードを貼ってビニールシートを張る
オートバックスで売ってるやつで我慢することにした(わかる人はわかる)

でもエンジンはこっそり排気量80ccに変えてもらった
マフラーも純正の良品が無かったので弘樹さんが捨てていたヨシムラ管を加工してつけてもらった
全部で5万円くらいでできたかな?
色はダサダサだったのでタンクやフレームは白黒に僕とヒロユキでスプレーペイントした

なんかそうした作業をしてるうちに2年間の空白が埋まっていくような
不思議な一体感が生まれて、すごく嬉しかった

結局泊まり込みで4日くらいかかったけどすごく充実してた

ヒロユキは高校に進学したと同時にチームにはいってた
暴走族じゃなくてチーマーのほうね。

マシンが完成した晩、里美さんの手料理とビールや酎ハイで宴会してると
そこのチームの面々が集まってきた

皆が「ヒカルちゃん」とか「ヒカルさん」と呼ぶので
不思議に思いヒロユキのほうを見ると

「これ、俺の女。もうみんなには紹介済みだったよな?」
と、突然の宣言。

皆ウンウンとうなずいて、すごく仲良くしゃべりかけてくれた

3年もの間、連絡も取らずもうとっくに女ができていると思ったのに
ずっと待ち続けていてくれたヒロユキに感動した
そして「俺の女」という言葉に涙がこぼれおちた

マシンもできてひと段落した私たちは久しぶりに落ち着いて枕を並べて寝た

「寮生活で浮気とかしてないだろうな?」

ヒロユキの可愛らしい焼きもちにたまらなく愛しくなってしまい
そのままヒロユキを思い切り抱きしめると

「そんなわけないやん、会いたくてたまらんかった」
そういって3年ぶりにヒロユキに抱かれた

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