小説『聖痕のクェイサー×真剣で私に恋しなさい!  第2章:武士道プラン異聞録編』
作者:みおん/あるあじふ()

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第2章『武士道プラン異聞録編』



バトルエピソード2「鮮血のサディスト、壊れたマゾヒスト」


Vの放った無数の水銀の槍が、クリスとマルギッテに向けて放たれた。水銀の槍は二人を串刺しにしようと、鋭くその切っ先を尖らせている。


「くっ―――――!」


マルギッテが前線に立ち、トンファーを高速回転させながら前進して水銀の槍を払いのけた。そして徐々にVに接近し、トンファーで反撃を仕掛ける。


「―――――Schneidn!(ぶった斬れろ)


マルギッテが接近する直前、Vは地面を力強く踏み付けた。するとマルギッテとVの間に、水銀の幕がシャッターのように地面から出現する。


「―――――!?」


マルギッテは殺気を感じて後退した。あのまま突っ込んでいれば、今頃は身体を真っ二つに綺麗に裂かれていただろう。


そしてVの銀幕が降り、隠れていたVが再び姿を表す。


だが次の瞬間、Vの次なる攻撃がマルギッテをさらに待ち構えていた。


Fatal Messerstecherei!!(刺し穿て!!)


無数の水銀の針が地面から隆起し、マルギッテを襲う。


それは大地を削る銀の牙。回避行動を取ってから僅か数秒。マルギッテも全て回避する事は不可能に近い。


しかし、マルギッテは迫り来る水銀の針を待ち構えていた。トンファーの回転速度をさらに上げ、極限まで高速回転させたトンファーを拳と共に突き出し、


「トンファーショット!!」


瞬発力の高い風圧を発生させて、水銀の針を跡形も無く吹き飛ばした。トンファーの高速回転によって発生した風力が衝撃波となり、爆発的なエネルギーを生み出すマルギッテの技である。


「……は、ウスノロの割に結構やるじゃんか」


ウザってぇ、と忌々しくマルギッテを睨みつけ吐き捨てるV。マルギッテは鼻で笑い、


「この程度の攻撃、造作もない。本気を出すまでもなさそうだ」


挑発じみた言葉をぶつけたのだった。Vは挑発に乗ったのか、突然下品な笑い声を出し始めた。


「……決めた!てめぇは、ぜってー嬲り殺す。穴から孔まで犯して、肉体からだの隅から隅までぶっ壊してやるよ!!」


強気な相手ほど凌辱し、自らの手で服従させ、破壊したい衝動に駆られる。それが、Vというサディストのサガなのだろう。するとVは側で放心していたUの胸倉を掴み、


「おい豚姉、聖乳よこせ」


着ていた服の胸元を無造作に引っぺがした。Uの乳房が露わになり、引き剥がした反動で乳が揺れる。Vは搾り取るようにUの胸を掴み、聖乳を貪り始めた。


「はぅ!?あ……あああああああああ〜!!!」


絶頂したばかりだと言うのに……吸われるという快感がUを壊していく。


自分の中にある全てが、しかも妹によって吸われている上に、他人に見られているのだ……この屈辱的な仕打ちは、Uにとってこの上ない快楽だった。


「あ……ダメ、トんじゃう……トんじゃ……ああああああああ!!?」


さらに絶頂し、Uは程なくして気絶した。Vは聖乳を吸うだけ吸い終えると、まるで空になったペットボトルをポイ捨てするように、Uの身体を投げ捨てる。


「―――――まずは、」


持っていた鞭を捨て、腰につけていた水銀ロッドを手に取るV。構えるマルギッテを見据えながら、ニヤリと狂気の笑みを浮かべた。


「てめえの■■■にコイツをぶち込んで、■■が破裂するまで、あたしのを流して孕ませてやるよ。斬り刻むのはそれからだ!!」


汚い言葉を連発して、Vは水銀ロッドを振りかざした。水銀は宙を舞い、Vの周囲に渦巻いている。聖乳を得た影響か、先程よりも濃度が上がっていた。


(こいつ、さっきよりも殺気が……!?)


先程とは違う危険を感じる。このままではクリスも更なる危険が及んでしまうだろう。マルギッテはクリスの身を優先した。


「下がっていてくださいお嬢様。ここは私が―――――」


と、次の瞬間、マルギッテの正面にはVの姿があった。マルギッテと目が合った瞬間、Vがまたニヤリと不気味に笑う。


「―――――余所見してんじゃ、ねぇよ!!」


Vは水銀ロッドの先端をハンマー状に変化させ、マルギッテの顔を殴り付けた。マルギッテは辛うじてトンファーで防御しつつも、反動で吹き飛ばされてしまう。


「マルさん!?この―――――!!」


クリスが応戦し、レイピアでVに攻撃を仕掛ける。ゼロ距離による刺突……大振りなハンマーでは隙ができる。回避はほぼ不可能。


「―――――!?」


だがクリスの攻撃の間際、割り込むように水銀の槍が迸った。殺気を読み取ったクリスはギリギリで攻撃を回避するも、右腕に軽い傷を負う。


「くっ……今のは、一体……」


負傷した右腕の傷口を抑えながら、水銀の槍が飛んできた視線の先を確認するクリス。そこには、聖乳を吸われて気絶していたUが、水銀を纏いながら立っていた。


「はぁ……はぁ…!ああ、また、トんじゃいそう……」


息を荒げ、目は虚ろになり、まるで失禁しているように下腹部から水銀を滴らせ、ふらふらとクリスに向かって歩いてくる。


Vに散々罵られ、嬲られ、聖乳を吸われ、ついには"壊れて"しまったU。マゾヒズムを求めに求め続けた、彼女の末路。


「もっと……もっと、欲しいのでございま、す。ああ、欲しい!欲しいぃぃ!!もっとUを……いたぶって……そのレイピアで……Uを貫いて、奥まで……無理矢理ねじ込んで……!」


だがそれ故に、危険。絶頂して快楽に溺れているUの攻撃力は、通常の倍。だがもっと危険なのはUの歪んだ性癖。クリスは激しい嫌悪感を覚えると同時に、絶対に倒さなければならない敵であると再認識する。


「貴様は……狂っている!」


クリスはUという敵を迎え撃つ。そしてUの要望に応えるつもりはないと、目で訴えていた。それを感じ取ったUは、


「……そう、それは残念なのでございます」


快楽で蕩けていた笑みが、一瞬にして冷たく、冷徹なものに変わる。


「あなたはご主人様、失格なのでございますね。失格の人は――――」


Uの周囲に渦巻く水銀の形状が、無数の鋭い切っ先の槍に変化していく。口から水銀を零し、それをペロリと舌で舐めると、怒る事も、笑いもせず、ただ無感情のままに、


「死ぬのでございます―――――!!」


殺意という名の矛先を向けて、クリスに槍を解き放った。


自分を虐めない人間は、即座に“失格”と見なし、無慈悲に殺すという歪んだマゾヒズム。クリスは臆する事なく、Uに戦いを挑むのだった。





ついに本気になり、猛攻撃を繰り出すV。クリスを守りながら戦うマルギッテ。


そして、快楽で壊れてしまったUとそれを迎え撃つクリス。


――――――二人の命をかけた真剣な戦いの火蓋が、切って落とされた。

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