小説『 ONE PIECE 〜青天の大嵐〜 』
作者:じの字()

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とある島で起こった海賊達の捕縛作戦から約三年の時が流れた。


“海軍本部”マリン・フォード


巨大な岩山の谷間を縫うように建設されたそれが、この世界の正義の象徴である“海軍”の大砦だ。
新世界の強国“ワの国”の建造様式を真似て作られ、全体が朱色に塗られたそれは、一件その建造物独特の美しさを感じさせるが、一方で海軍の砦であるという一種の畏敬の念を抱かせる。そして、万人は言うだろう。

“これが世界の秩序を守る正義の象徴である”と


そして、その建造物の中を部下を引き連れ一人の男が歩いていた。
紫色の髪に、ガッシリとした体格。そして、背には“正義”と書かれたコートを羽織っている。
その姿はまさに歴戦の勇士を連想させる。
彼は急に何かを思い出したように宙を見上げながら不意に男がポツリと呟いた。


「あれから三年か・・・。」

「・・・?どういたしましたか中将?」

「あぁ。ロジャー、レイリー、シキ、シャーロット・リンリン、そしてエドワード・ニューゲート・・・。今新世界で暴れまわっている海賊達がシャボンディ諸島に集結したの時があっただろう?その時のことを思い出してな。」

「ハッ。小生もあの時の事はよく覚えております。」

「何せあの時の奴らときたら、一人一人が一国の兵力と同じクラスの戦闘力を持っているからな。事実、ロジャーは一国の軍隊を壊滅させている。“仲間を馬鹿にされた”何て言う子供の戯言にも劣る理由でな・・・。」


そういった男の顔には怒り、というよりも子供の悪戯に呆れるような困ったような表情があった。


「えぇ。あの時は何もできずにいましたが、我々は変わりました。力量と共に地位も上がり、あなたも海賊討伐のために一個大隊を動かせる身になり、海兵達の教官の任も務めておられます。こうしている間に世界では海賊の被害が増えてきているのです。まずは、自らの手が届く範囲でやるべき事を実行すべきかと。」

「そうだな。私も人間だ。正義を守ることも、下のものを教育する事も重要だろうがまずは・・・。」


そう言って、今度は若干疲れた顔をした後、自らの進行方向でギャイギャイと口喧嘩をしているアフロと山猿のような同僚二人に視線を向けた。


「ガープ!!貴様はまた訳のわからなぬ理由で兵を動かしおって!!」

「仕方ないだろセンゴク、一々許可なんぞとっておったら間に合わん!!」

「だからって何の報告もなしに船をいきなり奪う奴がおるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!あの時、我に戻った少将の彼ををなだめるのは大変だったんだぞ!!」

「ええだろ、減るもんじゃないし。」

「減るわ!!主に予算とか、人員とか、それと船の使用期間が!!」

「ケチ!!」

「ケチではなぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!!貴様こそ中将としての誇りを持てぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」


そう言ってセンゴクと呼ばれた男が青筋を立てながら山猿もとい、ガープに殴りかかる。
それをガープがヒラリヒラリとかわし、よせばいいのにアッカンベーとして尻を叩くものだから、アフロがよりキレて、その能力を解放しようとした。


「ガープぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

「わ、待てセンゴク!!それは建物の中ではさすがにマズい!!」

「そうだぞセンゴク少し落ち着けよ。ガープも素直に謝ったらどうだ?」

「「む?」」


そう呼ばれたところで喧嘩をしていた二人が後ろに立っていた紫髪の男に気づく。


「あぁ、何だお前か。」

「お前らの喧嘩が日常茶飯事なのは今に始まったことではないが、少し場所を選んだほうがいいぞ・・・。」

「私のせいではない!!そもそもこの男が上からの命令を聞かぬからだ!!」

「それは一連の下りで理解した。というわけでガープ。お前の事はコング大将に連絡しておくからな。」

「!?」


カラカラと笑いながらセンゴクと歩いてゆく男をガープはまさに絶望という顔をしながら必死に追いかけた。


「いいぞ。俺からじゃなく、お前からも言ってくれれば罰は二倍に増えるだろうな・・・。」

「ちょ、ちょっと待ってくれ頼む!!それだけは勘弁してくれ!!」

「ハハハ、さぁ今日も仕事だ。」

「今日はシャボンディ諸島に天竜人殿が訪問するらしい。その辺りの子供よりも行動が読めん。あの諸島はハッキリ言って危険だ。一応、部下はつけているが少々心配だな・・・。」

「・・・いや。」


そう言って険しい顔をした後、彼は廊下の窓からシャボンディ諸島の方角を睨んだ。


「・・・嫌な予感がする。」


何かと言われてもうまく答えることはできない。しかし、驚異の去ったハズのあの海で何か飛んでもない事が起きるような気がした。


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海風に吹かれて海賊旗がはためく。
髑髏に9つの蛇が絡みついたマーク。“九蛇海賊団”アマゾン・リリー。
その差異はあれど、その名を知らないものはいない。


曰く、最も美しい海賊団


曰く、最も強い海賊団


曰く、最も恐ろしい海賊団


海王類でさえ恐れる巨大な毒蛇、“遊蛇”にひかれた九蛇船は現在、偉大な航路のシャボンディ諸島にきていた。
水着のような衣装を着て、警護や船の捜査をしている彼女達の中に黒いローブを羽織った人物がいた。


「ついにきたなー。シャボンディー。いーやここまで長かった。」


フワフワと近づいてきたシャボンに触ると、パチンとはじける。


「にいちゃーん。」

「にいちゃん、何やってんのー?」

「おぅおぅどうした童ども。」


抱きついてきた子供の頭をなでていると、カツカツという音とともに“九蛇皇帝”ボア・ローズマリーがやってきた。


「そろそろつくぞ。」

「あら、そうか。」

「・・・え?」

「兄ちゃんどっかの行っちゃうの・・・?」

「ああ、ちょっとね。」

「「いっちゃやだー!!」」

「うん、分かった。分かったから。締まってるから首。首が呼吸できない。助けてー。」


首に抱きついた腕がさらに力み始めるの(覇気つき)を何とかひきはがし、グズる彼女達を近くにいた兵に任せる。
こう見えて、出会った当初は、腹と頭に蹴りを入れられたのは今となっては懐かしい話だ。


「まぁ・・・三年もお世話になったね。」

「気にするでない。最初におうた時はどうなるかと思ったが、何とかものになったな。」

「いや、これもすべてボアさんのおかげだよ。」

「お、お前なら名前で呼んでよい!!」


ムキになるローズマリーを軽く笑った後、船のヘリに足をかけた。


「あぁ、もうここでいいや。」

「え?早くないか!?も、もう少し乗っていても。」

「いや、九蛇の船がシャボンディに来たら大変でしょ?あの島何かと物騒だし。ここでいいよ。」


そういった後、必至に制止するローズマリーを無視して何もない海面に飛び降りた。





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シャボンディ諸島編スタート!!



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