小説『魔法少女リリカルなのは 〜自由気ままな転生者〜』
作者:レムルス()

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 第12話



ーシュテルsideー


その場所を一言で表すなら『孤独』。


誰もいない、何もない、唯静かさだけが支配している、『無』の空間。


そこに、一人の道化師が佇んでいます。


道化師は孤独に耐えきれず、泣き叫んでいました。


寂しい、寂しい。誰か、誰か僕を見て、と。


しかし、彼がいくら叫んでも、誰も彼を見てくれる人はいません。


当然でしょう。彼のいる空間には誰ひとりとして存在していないのだから。


それでも一人孤独に泣き叫ぶ道化師の顔はまるで・・・


「ユウ・・・?」


目覚めた私は、そう呟きました。


夢、あれは記憶?の中の道化師が、余りにも彼に似ていたから。


「何故あんな夢を・・・もしかして、この目のせいでしょうか?」


そう言い目を閉じ、開くと、朱、ピンク、青に明滅する五方星が浮かび上がります。


ユウに聞いた所、これは全ての魔法を、見ただけで理解出来る「魔眼」と呼ばれる目。


名を、「複写眼」と言うそうです。


・・・まだ何か隠している様でしたが。


とにかく、この目のせいであの夢を見たとしたら、ユウはこの目に関わっていると思われます。


そこまで考えたとき、


(ヒュィィィィアァァィアァ!)


と言う叫びが聞こえました。更に人間とは違う明らかに異質な気配。


すぐにセットアップして声のする所へと向かうと、そこには、


(・・・ほう、私の声が聞こえたのか。「ニンゲン」)


と、理解出来ない事を喋る、目から蛆の湧いた、おぞましい女性がいました。


「・・・貴女は一体何ですか?」


(・・・はは、ニンゲン風情が、私の存在を問うだと?思い上がるなよ。ムシケラ)


彼女はそう言い魔法を展開させました。


「複写眼」で見ると、それは途轍もない威力を秘めていました。


「くっ・・・!パイロシューター!」


私はそれを辛うじて避け、魔力弾を撃ちますが効いていない、いや、


「魔法が消された・・・?」


(どうした?終わりか?ムシケラ。)


そう言うと同時に、彼女は醜い化物を何体も放出しました。


「なっ!」


驚きで一瞬止まった私は、化物の接近を許してしまいました。


化物の一体が私に近づき、爆発しました。


「かはっ・・・!」


私は吹き飛ばされ、地面に叩き付けられました。


全身が痛み、体は動かない。


残りの化物達も、こちらに向かってきました。


此処までですか・・・。そう思い目を瞑った時、


「廻れ、「ファブルスの月輪」」


聞き覚えのある声が聞こえました。


その声に目を開いた私の視界に映ったのは、


「この異世界に何の用だ?「女神」?」


私が居候している家の家主、ユウでした・・・。


ーシュテルside終了ー


はぁ〜、何とか間にあった。危なかった〜。


「・・・ユウ。どうして、」


「助けたか、って?そりゃ、友達が喰われかければ助けるでしょ。」


そう言いながら魔方陣を描き、完成。


「求めるは癒し手>>>・疲射」


唱えるとシュテルを光が包む。光が消えるとシュテルが驚いた顔をする。


「これは?」


「痛みと疲労を取る魔法。痛みと疲労を取っただけだから動くなよ?」


「ユウは何をする気ですか?」


「あの全てを喰らう化物を消してくる。」


「なら、私も、」


俺はそれに首を振る。


「駄目だ。ありゃ、魔法を使うだけの人間じゃあ倒せない。」


「ですが、」


「それに、」


それに反論しようとするシュテルを遮り、


「女神(バケモノ)の相手は悪魔(バケモノ)がやる。その方が良いだろ?」


と言った。


シュテルは、その言葉に一瞬だけ反論しようとするが、こちらを見てそれを止め、


「・・・後で、話を聞かせて貰いますよ?」


そう、少し悲しそうな顔で言った。


俺はそれに頷き、女神の元へ飛んでいく。そして、


「待たせたな、「女神」。んじゃ、俺の友達を傷つけた事、この「悪魔」が、後悔させてやるよ。」


そう、目の前の化物に対し、宣戦布告をした。

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