第13話
いや、そんな気は全然無いし。つか
「俺、勇者に興味無いし。此処じゃあ世界壊してんのあんただしね。」
「此処はお前等のシナリオに乗ってない所だから。」
「いや、本当なんだけど。ま、いいや。消させて貰うよ。女神。」
そう言い、小さく呟く。
「碧帝の舌」
すると、一見何も見えないが、女神は怯えた様に驚愕する。
「答える必要はねぇだろ?・・・消えろ、「女神」。」
女神は、そう断末魔を上げて、消え去った。
俺はシュテルの元へと行き、回復魔法を使う。
「よし、終了。どう?まだ痛い所とかある?」
「・・・いいえ。ありません。ありがとう。ユウ。」
「いや、お礼はいらないって。こっちが好きでやってるーー」
突然、俺は膝を付く。
あぁ、あれか。碧帝使ったしな。まぁ当たり前か。
「ユウ?」
心配そうに声を掛けてくるシュテルに答える事が出来ないまま、俺は気を失った。
◆
はい、西条 悠です。ただ今、バインドで拘束されています。
「はぁ、何でこうなったんだろ?」
「ユウが質問に答えず寝るとか馬鹿な事をいうからですよ。」
いや、仕方無いじゃん。今、午前四時だよ?
と、さっき言ったら魔力弾を撃ち込まれたのでもう言わないが。
「では正直に答えて下さい。」
「・・・何から?」
「先ずは女神あれは一体なんなのですか?」
「あれは、「女神」と言う名のプログラム。」
「プログラム?」
「そう。此処じゃない世界で作られた、空も、陸も、海も、全てを喰らい尽くそうとする術式。」
「・・・プログラム、と言う事は、誰かに造られた?」
「そう、「司祭」って奴が造った。ま、彼等が何をしたかったかは知らないけど。」
「・・・そうですか。では次に、何故ユウは自分を化物と?」
「・・・俺が「女神」からも化物と呼ばれた力を持っているから。」
「・・・その化物とは?」
その問いに、俺は一旦息を吸い、
「たった一人、永遠の孤独に泣き続け、親友である「勇者」の為に全てを壊した、「寂しがりの悪魔」だよ」
そう言った。
「その「寂しがりの悪魔」とは、道化師の格好をしている?」
「・・・何で知ってるの?」
「夢に出てきました。」
「・・・「複写眼」の影響か。」
「どうしてそう思ったのですか?」
「それは、その眼は、悪魔の力の一部、ほんの少しだから。」
「これ程の力で一部、ですか。」
「あぁ。」
「・・・つまり、ユウが自らを化物と呼ぶのは、ただ力を持っているから?」
「そう。ま、呼ばれたくは無かったけど。」
「・・・どう言う事ですか?」
分かってはいないらしい。
「シュテルはさ、化物ってどうして生まれると思う?」
シュテルは答えない。しかし、気にせず続ける。
「俺はさ、化物は人によって生まれると思うんだ。」
「・・・・・」
「人が、自らが理解出来ない存在を化物と呼ぶ。勿論呼ばれた方の気持ちは考えずに。」
「・・・・・」
「んで、呼ばれた方もその内自らを化物だと思うようになる。それで化物の完成。」
「・・・・・」
「そう見れば、俺は、ただ力を持っているだけでも、忌み嫌われる化物でしかないんだよ。」
シュテルを、あまり俺に近づけてはならない。
「シュテルもさ、こんな全てを破壊する化物と居なくても良いんだぞ?」
親しくなれば、その人を、この手で殺してしまうから。
「俺と、化物と一緒になんて居たら、死ぬかもしれないぞ?」
だから・・・これで良い。
そう思い向けた言葉に対し、シュテルは、
「・・・それがどうしたのですか。」
ただ一言、そう言い放った。
「へっ?」
「だからそれがどうしたのですか?と言ったんです。」
「それってどういう」
「ユウ、貴方は確かに化物なのかもしれません。」
その、言われ慣れた筈の「化物」と言う言葉に、何も言えなくなる。
「ですが、私にとって、ユウは「化物」以上に私の「友人」なんです。」
「・・・・・」
「私は、私の友人が何であったとしても、それを理由に離れるつもりは有りません。」
「・・・・・」
「だから、だからユウも、自分から、周りから逃げないで下さい。」
俺は、なんて馬鹿だったんだろう。
「そうでなければ、貴方の友人で居て、楽しいと思う私が馬鹿みたいじゃないですか。」
俺の近くに、こんな事を言ってくれる友達が居る事に気付かないなんて。
「・・・シュテル、そんな事言って恥ずかしくない?」
何かが、切れた。
「ふふ。恥ずかしく無い訳が無いじゃないですか。少しO・HA・NA・SHIしましょうか?」
やば!地雷踏んだ!
「一応聞いとくと、しないって選択は?」
「寝ぼけた悪魔が、どんな叶わぬ夢を見たのですか?」
「・・・叶わぬ夢のレベルなのね。」
つーかなんでシュテルまでルシルを知ってるの?
その日、朝早くから悲鳴が響いた。