第26話
翌日。
八神とリィンフォースに捕まって昨日の続きが始まろうとしている。
「うぇ・・・やっぱ質問してくんの?めんどいし・・・昨日のあれで終わりじゃ駄目?」
「駄目に決まっとるやろ?」
ですよね〜。と心の中で呟く。元々そう言われると思っていた。
「んじゃ、質問して、さっさと俺を解放してくれ。」
「あ、そうやな。まず最初に、西条君がリィンフォースを救ってくれたんやろ?どうやって?後どうして?」
「どうしてって、リィンフォースには言ったと思うけど?」
「本当は?」
「彼処で魔法の練習をしてたら魔力反応→近くの茂みに隠れる→お涙頂戴→さっさと帰って寝たいから治した。みたいな?」
あ、つい本音が・・・
「・・・つまり、私が助かったのは・・・」
「ん?俺の睡眠の邪魔の排除のついで。」
その言葉にリィンフォースは崩れ落ちる。まぁ、自分を救った奇跡<睡眠だった訳だし、当然っちゃあ当然か。
俺はリィンフォースを無視して話を進める。
「えっと、どうやって、だっけ?それはあれ、レアスキル的なやつ。」
そう言って「眼」を発動させる。右目には笑う様に鋭く欠けた七色の月、左目には同色の涙型の紋様が浮かび上がる。
「それは?」
「俺は「全ての式」って呼んでる。まぁ簡単に言えば見た物を全部作り出せる、消し去れる、改造できる、みたいな、そんな眼。」
「・・・信じられへんな。」
「なら、八神、お前を作り出してやろうか?」
「な・・・!」
「まぁ嘘だけど。こんな感じ。」
そう言って指を空中で動かし、「夜天の書」を作り上げる。
「まさか・・・闇の書!」
驚いてるな〜。まぁ、それもそうか。そう思いながら、リィンフォースにそれを渡す。
「それは夜天の書だから、只の膨大な量の魔法がつまったデバイス。八神達にあげるよ。特にリィンフォースには相性バッチリだと思うし。」
「あ・・・ああ。」
「さて、信じる気になった?」
「まぁ、信じない訳にもいかへんしなぁ。」
よし、信じたな。んじゃ、帰るか。
そう思い背を向けると、八神達は止めようとする。
「えぇぇ〜。まだなんかあるの?」
「もう少しだけや。なんでシュテルちゃんが西条君の家にいるんや?後、なんで昨日私の事を口止めしたんや?」
「シュテルの方は、最近家の前に倒れてたから、リィンフォースみたいに人間にしたらいく宛がないから暫く居候になった、って感じか。」
「もう片方は?」
「八神の所の通り魔達に絡まれないため。」
「家に通り魔はおらへんよ?」
「いや、いるぞ?四年前に人を餌とか言って後ろからかかって来た赤とピンクの通り魔が。」
「西条君も襲われたんやな。」
「まぁ二人とも気絶させて記憶を抜き取ったから、覚えてはいないだろうけど。」
「・・・それは、どっちが被害者なんだ?」
「元は俺。最終的にはあっちじゃね?」
その台詞に、二人は少し引いたような顔をする。
いや、いいけどさ。結果こっちは無傷だったし、結構一方的だったし。最終的には俺が悪者みたいだったし。けどさ、その全否定の目は無いんじゃない?元凶はそっちだよ?俺じゃないよ?
そんなことを思いながら、俺は確認をとる。
「質問はもう無い?」
「あ、ああ。」
「じゃあもう帰るから。リィンフォースが持ってる「夜天の書」はたぶん俺しかメンテナンス出来ないと思うから、メンテナンスしたかったら言え。」
そう言って俺は帰って行った。