第27話
数日後。
俺は依頼で無限書庫に来ている。
「ユーノ〜〜〜〜。」
「どうしたの?エリス。」
俺は向かい側に座っている少年、ユーノ・スクライアに話しかける。
ちなみに話し方は「寂しがりの悪魔」の口調ではない。何故なら、
「俺が此処に来たの何回目だっけ?」
「三回目、だね。」
「一回目ってさ、どれ位の時間やったっけ?」
「八時間、位だったかな?」
「二回目は?」
「二日位、かな?」
「・・・今は?」
「徹夜、それも五日目だね。」
三回にも及ぶ書類地獄で、別の口調をやっている余裕がなくなったから。
「これ、ってか三回全部だけど、確かクロノ・ハラオウンだったよな?これの請求してる奴。」
「そうだけど、それがどうしたの?」
俺はその問いにニヤリと笑って答える。
「報酬の話だよ。いや、報復かな?ユーノ、手伝え。少し調子に乗ってるクロノ・ハラオウンに一回地獄を見せてやろう。」
「はは、それは良いね。じゃあ取り敢えずこれを終わらせなくちゃね。」
そう言いながらユーノは直ぐにでも寝そうな顔をしている。
「だからユーノ、そろそろ寝ろ。仕事の効率も落ちるし良いこと無いぞ?」
そう言った俺にユーノは弱々しく頷いた後、
「分かった。少し寝るよ。エリスも・・・」
「ん?ああ、俺もそろそろ寝るぞ?俺、寝る事に関してはどんなことより興味あっからね。」
その言葉に少し笑って、ユーノは寝息をたて始める。
俺はそんなユーノをを見て、やっと寝たか・・・と呟き、通信を開始する。
『何でしょうか?ユウ。』
「ユーノ・・・って言えば分かるか?まぁ取り敢えず一回無限書庫まで来てユーノを回収して。」
『師匠を、ですか?分かりました。しかし、何故?』
「いや、ユーノの奴、何日も徹夜してたらしくてさ、結構疲れが溜まってる筈なんだよ。んで、取り敢えずは二日、ユーノは絶対安静な。仕事、とか言い出しても動かさせない感じで。」
『はい、分かりました。今行きます。ユウも無茶はしないで下さい。』
「はいはい、分かったよ。」
そう言って通信を切る。そして目の前の書類を見て、
「はぁ・・・ちょっと無理しないと駄目かも・・・」
そう言いながら、ため息をついた。
◆
あの後、数分後に来たシュテルにユーノ(フェレット)を預け、十時間程度書類と格闘した結果、
「終わった・・・漸く終わった。」
俺は歓喜に震えながらそう呟く。そこには請求された資料を綺麗に纏めた物がある。
「よし、これをクロノ・ハラオウンに送って、仕事完了、と。」
クロノ・ハラオウンに資料を送り、地球へと戻る。
「ふぁ・・・眠っ ・・・」
そう言いながら歩いて行くと、あることに気付く。
「・・・な〜んで結界何かが張ってあるんだ?」
そう言って眼を発動させると、
「ふむ、相手を閉じ込めるタイプ、しかも中々の強度か。・・・まさか、戦闘が?うわ、面倒事の予感。」
そう言うが早いか立ち去ろうとする。しかし、見計らったかの様に誰かがこちらに吹き飛んでくる。
その姿は、ついさっき見たばかりの物で。
「は?・・・まず!?」
咄嗟に飛んでくる人影を捕まえて、後ろに飛びながら衝撃を軽減する。
完全に衝撃を殺して止まった後、人影に話し掛ける。
「大丈夫か?シュテル。」