第29話
「西条・・・・くん?」
高町は信じられないと言った表情でこちらを見る。
「ん?たった5日見なかっただけで忘れたのか?成程、その歳で痴呆か。可哀想に・・・。」
「違うよ!そうじゃ無くて・・・え〜と、そう!どうしてこんなことを!」
こんなことって何?何かとんでもなく勘違いをされてる気が・・・。
「・・・えっと、あれだ。お互いの誤解を解く為にも、今は話し合おう。うん、そうしよう。な?」
高町はそこの動けない通り魔二人と違って話を聞いてくれるは・・・うぉ!?
そう言った俺に向かってピンクの閃光が放たれ、俺はそれを避ける。
「危なっ・・・って高町、何で攻撃してってうぉあ!?」
「それじゃあ分からないよ!お話しを聞かせて。」
はい?なに言ってんの?話をしようって俺言ったじゃん。ギャグなの?ボケてるつもりなの?
そんなことを避けながら思っていると、視界の端に八神が映る。
俺は迷う事無く、八神に念話をする。
〔八神・・・ヘルプ!高町が人の話を聞かない!!〕
〔西条君?何でこんな状況になってるん?何が何だか分からないんやけど?〕
〔それも話すから取り敢えず高町を止めて!!さすがにまずってうぉわ!?〕
それだけ言って高町の攻撃を避けるのに専念する。八神は高町に近づき、何かを言って、そしてこちらに念話を飛ばしてくる。
〔ごめん。無理やった。〕
〔ちょっ、え?〕
〔何か完全に自分の世界に入り込んどる。ああなるともう頭を冷やす迄は何も聞かなくなるんや。〕
・・・あれか。もう気絶させるしかないのか。何だ、そうなるんなら最初からやっておけば良かった。はは、そうだよ。何で俺は5日も徹夜して眠いのに面倒な方をやろうとしたんだろう。は、はは、はははははは。
〔シュテル。〕
〔なんでしょうか?ユウ。〕
〔まだちょっとキツいかもしれないけど、八神にユーノを引き渡して。最低2日は安静にさせる事って伝えてさ。〕
〔分かりました。ユウは?〕
〔誰も話を聞かないからちょっとイラッとしてさ〜。取り敢えず高町を気絶させる。〕
〔・・・頑張って下さい。〕
そう言ってシュテルは念話を切る。
そのまま暫く避け続けていると、シュテルが八神と共にユーノの方へ向かったのが見えた。
そこで俺は動きを止める。
高町も此方が動きを止めたのを疑問に思ったのか動きを止める。
「なぁ、高町。純粋な殺気をぶつけられた事はあるか?」
「え?無い・・・と思うけど?」
「ふーん、そうか。んじゃ、簡単だな。」
そう言って、俺は殺気を高町にぶつけた。
◆
ーなのはsideー
西条君が殺気、について質問を終えた途端、周りの雰囲気が一気に変わる。
空気の温度が一気に下がった様に感じる。体を動かそうとしても動かない。頭が真っ白になっていく。
次に、真っ白になった頭に一つの感情が流れてくる。
ーーーー怖い。
その感情はどんどん大きくなって、他の事は考えられなくなる。
怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い。
頭の中がその感情で埋め尽くされてしまった次の瞬間、首筋に衝撃が走り、私の意識は闇に呑まれて行った。
ーなのはside終了ー
◆
「・・・やり過ぎたか?」
そう言って気絶している高町を見る。
加減はしたんだけどなぁ。そんなことを考えながら通り魔ーーーシグナムとヴィータの所へ行き、拘束を解く。
「・・・どういうつもりだ?」
「どういうも何も、高町を運ぶ人がいないと、起きる迄は道路に放置する事になるし。俺はそこまで鬼畜じゃない。」
そう言って背を向ける。
「待て、管理局まで来てもらうぞ。」
「パス。何も悪い事はしてないし。何より眠い。」
「てめえ、ふざけた事を「ふざけてんのはどっちだよ」なんだと!」
「こっちは話し合いで全てを解決しようとしたんだ。平和的にな。だけどお前らは誰も聞こうとはしなかった。それどころか攻撃までしてきたんだぞ?ったく、天下の管理局員様は何をしても許されると思ってんのか?」
「てめえ・・・」
「ま、そう言う事だ。ユーノはあんたらの主様が連れて帰る筈だから、安心しろ。んじゃ、そう言う事で〜。」
そう言って、俺は家に帰って行った。