第30話
ーなのはsideー
「・・・・ん・・」
目が覚めた私の視界に写り込んできたのは、前に見たことのある風景。
「ここは・・・はやてちゃんの家?どうしてここに・・・。」
そう言って記憶を探る。
「・・・あ、そっか。私、西条くんに気を失わされて・・・」
そこまで言った所で扉が開き、はやてちゃんが入って来る。
「あ、なのはちゃん。起きたんか。良かった。ユーノくんも心配しとったよ?」
・・・・・・へっ?
「・・・はやてちゃん。もしかして、ユーノくんって今ここに居る?」
「うん。居るよ。」
「何で!?だって、ユーノくんは今、西条くんに連れ去られてる筈で・・・どうやってはやてちゃんはそこを見つけたの?」
「どうやっても何も、本人達に連れていってもらったんやけど。」
西条くんが?わざわざ連れ去ったのに?何の目的で?
私がそんな事を考えていると、はやてちゃんは私の心を読んだ様に、
「西条くんが自分の家にユーノくんを連れていったのは、彼が無茶のし過ぎで限界だったかららしいんよ。」
「無茶?」
「うん。ユーノくんな、最低でも7日は徹夜で資料を探してたらしくて、そろそろ休まないと体調を崩すし、どうせ言っても休まないからってこういう手段に出たらしいんよ。」
「・・・なんで西条くんはそんな事も話してくれなかったのかな?」
話してくれれば、こんなことにはならなかったのに。
「・・・なのはちゃん。それ、本気で言ってるん?」
そう言って来るはやてちゃんの顔は少しだけ引きつっている。
「?・・・どういう事?」
「・・・まさか、ホントにこれを使う事になるとはなぁ。」
そう言ってはやてちゃんはデバイスを使い映像を映し出す。
「これは?」
「西条くんがくれた「なのはちゃんの反省会用の資料」。どうせあの言語能力が壊滅的な高町は必要だろう。って。」
「酷くない!?」
「ごめん、なのはちゃん。これ見るとあながち否定はできないんよ。」
「はやてちゃんまで!?」
私、そんなに酷い事してたかな。
そう思いながら私は映像を見始めた。
◆
数分後。
「・・・うん、酷い、酷すぎるよ!私!?何?何で「お話を聞かせて!!」って言いながら攻撃してるの?何で人の話を聞いてないの!何で一人で盛り上がってるの!?」
・・・はい。既にあの時の自分の思考が理解出来ません。・・・いくら国語が苦手だからって、これはないと思うの。
「さ、西条くんに謝らなきゃ!」
「うん、じゃあ西条君からもうひとつ伝言や。「めんどくさいから謝るとかは無しで。とにかく反省して、次に生かせ。・・・ってかそもそもあんなに国語が壊滅的な高町がよく分かんない事を言うのは慣れてる。気にすんな。」やって。」
「・・・何か色々馬鹿にされた事だけは分かったの。」
・・・西条くんは私がどう考えるかも分かってたんだ。
「・・・そう言う事で、そろそろ帰った方が良いんとちゃう?そろそろ士郎さん達が心配しだすやろ?」
その言葉に時計を見ると、時計は19時近くを示していた。
「にゃあぁぁぁぁ!?はやてちゃん、私、帰るから!!」
「また明日な〜。」
その言葉を背に、私は家へと走って行った。